「シャヴァンヌ展」 Bunkamuraザ・ミュージアム
渋谷
chariot

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは、Bunkamura25周年記念、
「シャヴァンヌ展」が開かれています。

シ001


副題は「水辺のアルカディア ビュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界」と
なっています。
会期は3月9日(日)までで、会期中は無休です。
その後、島根県立美術館に巡回します。

フランスを代表する壁画画家のビュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824-1898)は
リヨン生まれで、若いときのイタリア旅行によってジョットやピエロ・デラ・
フランチェスカなどの初期ルネサンス絵画に感銘を受けています。

「アレゴリー」1848年 油彩・カンヴァス クライスラー美術館
シ004

初期の作品で、まだシャヴァンヌ独特の淡い色調ではありません。
3人は建築、宗教、文学の寓意で、図面を持った建築家の首飾りや
指輪などの質感まで描き出されています。

やがてシャヴァンヌは壁画画家としての才能を見出され、公共建築の壁画を
手掛けるようになります。
そして遂には、ドラクロワ、シャセリオーを継ぐ、公共建築の壁画画家と
されるまでになります。

「幻想」 油彩・カンヴァス 1866年 大原美術館
シ008

縦264cmの大きな作品で、ニンフが葡萄の蔓を投げてペガサスを
捉えようとしていて、子供がリースを作っています。
青い色調が幻想性を増し、神話的な理想郷への憧れを見せています。

「聖ジュヌヴィエーヴの幼少期」 
 油彩・鉛筆・カンヴァス 1875年頃 島根県立美術館

シ009

シ010

パリのパンテオンの装飾壁画の縮小版です。
聖ジュヌヴィエーヴはパリの守護聖人で、451年のフン族の攻撃から
パリを守ったとされています。
パリのパンテオンは元は聖ジュヌヴィエーヴ教会として建設され、
1792年に竣工しています。
故郷のナンテールで、聖ジェルマンに見出された場面で、対角線構図で
配された群像の中心に幼いジュヌヴィエーヴが立っています。
手前の水面はセーヌ川を表しています。
フレスコ画のような淡い色調の整然とした、壁画にふさわしい画面です。

「プロ・パトリア・ルドゥス(祖国のための競技)」 
 油彩・カンヴァス 1885-87年 個人蔵

シ005

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アミアン美術館階段壁画の縮小版で、横280cmあります。 
フランスは1870-71年の普仏戦争に敗れます。
そのフランスの再建の願いを込めた作品で、若者たちが槍投げの練習をしています。
流れているのはソンム川です。
ベルギー国境に近いピカルディ地方にあるアミアンは普仏戦争、第一次・
第二次世界大戦と3度、ドイツ軍に占領されています。

「プロ・パトリア・ルドゥス(祖国のための競技)もしくは家族」 
 油彩・カンヴァス 1885-87年 トレド美術館

シ006

現在は切り離されていますが、元は「プロ・パトリア・ルドゥス」の
右側に続く画面で、的になった木の幹に槍が突き刺さっています。
作品の切断後に、今回初めて並べて展示されています。

シ007シ006

「羊飼いの歌」 油彩・カンヴァス 1891年 メトロポリタン美術館
シ011

シャヴァンヌはギリシャのアルカディアを題材にした作品を多く描いています。
アルカディアはニコラ・プッサンの「アルカディアの牧人たち」にも描かれた、
理想郷とされる場所です。

この作品では4人の人物が互いに無関係にそれぞれ自分の世界に没入していて、
不思議な雰囲気をつくっています。
シャヴァンヌが象徴主義の画家とされる由縁です。

「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」 油彩・カンヴァス
シ003シ002

シ012
 
リヨン美術館の壁画の縮小版です。
リヨンはローヌ川とソーヌ川の合流する街で、絹織物の産地としても
知られています。
山の中の水辺の、清らかに澄んだ、静けさに満ちた理想郷の情景です。
ギリシャ神殿の前にいるのは、建築(石柱の欠片に腰掛けている)、
彫刻(立っている)、絵画(パレットを置いている)の化身で、
周りには月桂冠を冠ったミューズたちが集まっています。

シャヴァンヌはフランスに留学していた黒田清輝が会って助言を受けたことがあり、
藤島武二や小杉放菴などにも大きな影響を与えています。
東洋画に通じる平面的な画面、優しい色調などに日本の画家は親しみやすさを
感じるのでしょう。
会場には黒田清輝が西洋に倣った「構想画」として描いた、「昔語り」の
下絵類も展示されています。

オーギュスト・ロダン 「ビュヴィス・ド・シャヴァンヌの胸像」 
 ブロンズ 1890-91年 国立西洋美術館

手003

親しかったロダンの制作した像で、シャヴァンヌはロダンにフロックコートと
ネクタイ、レジオン・ドヌール勲章を着けた姿にしてほしいと要望しています。

展覧会のHPです。

シャヴァンヌは壁画を多く描いた画家ですが、精密な縮小版を遺してくれた
おかげで、このような展覧会によってその魅力を知ることが出来ます。


次回の展覧会はBunkamura25周年記念、「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 
華麗なる貴族コレクション展」です。
会期は4月4日(金)から5月25日(日)までです。

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【2014/01/10 22:37】 美術館・博物館 | トラックバック(4) | コメント(0) |
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