「Kawaii(かわいい)日本美術-若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで」 山種美術館
恵比寿
chariot

広尾の山種美術館では特別展、「Kawaii(かわいい)日本美術
-若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで」が開かれています。
会期は3月2日(日)までです。

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最近は世界に広まっている、「Kawaii(かわいい)」を表現した、
子どもや動物を題材にした作品、約100点が展示されています。

第1章 描かれた子ども―人物の中のKawaii

伝 長沢芦雪 「唐子遊び図」  18世紀・江戸中期 重要美術品
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文人の嗜みである四芸(琴碁書画)と唐子を組合わせた絵柄です。
こっけいな表情や目尻の垂れた黒目がちの目元は長沢芦雪のスタイルに近い
とのことです。

上村松園 「折鶴」(部分) 1940年頃
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無心に折鶴を折っている江戸時代の少女です。
一人は紅葉模様の振袖、一人は飾り紐の付いた菊の模様の振袖を着ています。
立て膝姿は浮世絵に倣っています。

小出楢重 「子供立像」 1923年
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山種美術館では数少ない洋画の作品です。
息子がモデルで、フランス帰りの小出楢重らしくお洒落な装いを
させられています。
夕日を浴びたような強い赤色の画面で、帽子も毛糸のズボンも、
テーブルクロスも絨毯も赤です。
花瓶や椅子の布、毛糸の服の縞も明快で、勢いのある作品です。

川崎小虎 「ふるさとの夢」 四曲一隻 1928年
角兵衛獅子の子どもが太鼓を枕にうたた寝をした夢には、父母、炉端、
凧揚げ、水遊び、牛の世話、水車小屋などが現れています。
角兵衛獅子(越後獅子)は江戸時代に始まった、越後蒲原郡月潟村発祥の
子どもの大道芸です。
子どもを使う芸能なので、学校教育の普及などにより昭和の初めには
廃れています。

川端龍子 「百子図」 1949年 大田区立龍子記念館
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戦後間もなく、上野動物園に象がいなくなり、象を見たいという台東区の
子どもたちの希望が実って、インドのネール首相から象のインディラが
贈られています。
芝浦に着いたインディラが上野動物園まで首の鈴を鳴らしながら歩いていった
というエピソードを描いています。
会場芸術を標榜し、大作を手掛けた川端龍子らしい、直径2mほどの大きな作品で、
「百子図」とは子孫繁栄を表す図柄です。
インディラは1983年に死亡しています。

第2章 生きもの大集合―動物の中のKawaii

「雀の小藤太絵巻」 室町時代 サントリー美術館
子を蛇に食べられて悲しむ雀の小藤太夫婦の許にさまざまの鳥たちが弔問に訪れ、
和歌を詠み交わします。
やがて出家した夫婦は諸国の社寺を訪れた後、庵を結んで極楽往生を遂げます。
墨染の衣を着た雀の姿がとても可愛らしく描かれています。

「樹花鳥獣図屏風」 六曲一双 伊藤若冲 
 江戸時代/18世紀後半 静岡県立美術館

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不思議な、変わった雰囲気の屏風です。
画面を方眼紙のような細かい桝目で埋め、一桝ずつ色を塗る「桝目描」という
技法を使っています。
一種の点描法で、伊藤若冲の独創ということです。
よく観ると桝目も残っていて、一つ一つ丁寧に色を塗っていったことが分かります。
とても賑やかな画面はタイル画のように見えて、お風呂屋さんの壁を思い出します。
それにしても伊藤若冲という人はいろいろなことを考えるものです。

竹内栖鳳 「緑池」 1927年
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一匹の蛙が池から顔を出しています。
いかにも暖かそうな春の情景です。
竹内栖鳳の描く動物はどれも見事にその姿を捉えています。

西山翠嶂 「狗子」 1958年
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子犬はむかしから宗達、応挙など、よく画題に選ばれています。
ちらりとこちらを見ているところがなんとも可愛いです。

奥村土牛 「兎」 1947年頃
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耳を立ててきりりとした、奥村土牛らしい描きぶりですが、
丸い姿に愛らしさがあります。
赤い芥子の花との取り合わせも効いています。

奥村土牛 「鹿」 1968年
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簡潔な描写で、鹿の体のしなやかさと命の張りを捉えています。
奥村土牛らしい造形的な描き方です。

山口華楊 「生」 1974年
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戦前の夏の日に但馬の農家で子牛を見て、その命に感動した記憶を元に
20年以上後に描いた作品です。
脚もまだ頼りなげですが、柔らかな光に包まれ、優しい目でこちらを見ています。
板壁にも時を経た風合いがあります。

第3章 小さい・ほのぼの・ユーモラス―Kawaiiってなに?

川崎小虎 「伝説中将姫」 六曲一隻 1920年
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中将姫は奈良時代の女性で、伝説では継母にいじめられて世の無常を悟り、
当麻寺に入って尼となり、蓮の糸で当麻曼荼羅を織り上げたとされています。
髪を切って合掌する姫の周りに侍女たちが集まり、蓮の糸束や糸を五色に
染め上げたという井戸も描かれています。
それぞれの衣装には蔦や宝相華唐草の模様が描き込まれた、淡くて繊細な作品です。

結城素明 「巴里風俗」のうち、「サンタル門外所見」 1925年
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結城素明(1875~1957)が文部省留学生として渡欧した時の作品です。
肩をすくめる子供のしぐさを珍しく思って描きとめています。

熊谷守一 「ほたるぶくろ」 1961年 静岡県立美術館 
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熊谷守一の作品は4点、展示されています。
すべて板に描かれた油彩の小品で、天狗の落とし札と称された、
極度に単純化された画面です。

谷内六郎 「うさぎ うさぎ」 1970年頃 谷内達子氏蔵
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学習研究社の刊行した、「にっぽんのわらべうた」の挿絵原画です。
他に、「ほ ほ ほたるこい」「かごめ かごめ」「ねんね ころいち」が
展示されています。
どれも今では懐かしく、郷愁を誘う世界です。

サントリー美術館所蔵の紅板(べにいた)も20点、展示されています。
紅板は江戸時代を中心に使われた、化粧用の紅を持ち運ぶ小さな容器で、
精巧な蒔絵や細工が施されています。

こうして観てみると、日本美術はむかしからKawaiiという感性を豊かに
持っていたことが分かります。

山種美術館のHPです。


山種美術館の次回の展覧会は特別展 富士山世界文化遺産登録記念、
「富士と桜と春の花」展です。
会期は3月11日(火)から5月11日(日)までです。

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【2014/02/15 21:58】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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