「ザ・ビューティフル―英国の唯美主義 1860-1900」展のブロガー・特別内覧会 三菱一号館美術館
東京
chariot

丸の内の三菱一号館美術館で3月6日の夜に、「ザ・ビューティフル
―英国の唯美主義1860-1900」展のブロガー・特別内覧会が開かれましたので
行ってきました。
展覧会の会期は5月6日(火・祝)までです。

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「青い日記帳」主宰のTakさんをナビゲーターにしての内覧会で、
学芸員の加藤明子さんの解説を伺った後、作品を鑑賞しました。

「唯美主義」は19世紀後半の英国で興った新しい芸術運動で、
それまでの芸術のように物語的な要素を重視せず、視覚的な美しさを
追求するものです。
展覧会では油彩画、家具、工芸品など約140点が展示されています。

加藤さんの解説のあった作品を中心に書きます。
撮影は美術館の許可を得ています。


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右 ローレンス・アルマ=タデマ 「目に見えている結末」 
 1885年 油彩・板 テイト


左 ローレンス・アルマ=タデマ 「肘掛け椅子」 
 1884-86年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館

古代ギリシャ・ローマ風の意匠を取り入れたデザインです。
座ったらアレキサンダー大王かシーザーになった気分を味わえそうです。

唯美主義はよく古典古代をテーマにしていますが、これはラファエル前派が
ルネサンス以前に戻ろうという運動であったため、それへの反動として、
ルネサンスが理想としていた古典古代を見直す動きが現れたものだそうです。
ラファエル前派と唯美主義は一続きだと思っていましたが、そうでも
無かったことを知りました。

ローレンス・アルマ=タデマ(1836-1912)は古代の世界を写実的に描いた
画家として知られていますが、デザインも手掛けています。


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右 フレデリック・レイトン 「母と子(さくらんぼ)」 
 1864-65年 油彩・カンヴァス ブラックバーン美術館


白百合を活けた壺、鶴を描いた日本の金屏風を置き、ペルシャ絨緞の上で
くつろぐ母子はまさに唯美的な世界を表しています。
西洋人の習慣には無い、絨緞の上で寝ている姿にはちょっとデカダンな
雰囲気もあります。
当時の富裕層は唯美主義の示した様式に憧れ、自分たちの生活にも
取り入れるようになります。

フレデリック・レイトン(1830-1896)はロイヤル・アカデミーの会長職も
勤めた、アカデミズムの画家ですが、ラファエル前派と親交があり、
このような唯美主義的な作品も描いています。

左 ウィリアム・ブレイク・リッチモンド 「ルーク・アイオニディーズ夫人」 
 1882年 油彩・カンヴァス ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館


日本の着物柄の壁紙、古代ローマ風の椅子、ムーア文化のコーヒーテーブルを
取り合わせた豪華な室内でインドのビーズのネックレスを手にくつろぐのは
ギリシャの海運業で財を成した人の夫人です。
当時のヴィクトリア朝の女性の服はコルセットを使った窮屈なものでしたが、
唯美主義のデザインは自然でゆったりしたものになっているとのことです。


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右 アルバート・ムーア 「黄色いマーガレット」 
 1881年 油彩・カンヴァス 郡山市立美術館

深く腰掛けた姿勢は大英博物館に展示されている、パルテノン神殿の彫刻、
エルギン・マーブルに拠っているものだそうです。
たっぷりとしたドレープも古代ギリシャ風ですが、首の周りにリボンが付いて
ケープになっていて、古代のデザインとは少し違うそうです。
置かれた扇子も東洋の物ですし、古代ギリシャの時代に黄色いマーガレットは
無かった筈と批判もされていますが、美的であれば構わないところが
唯美主義的です。
作品には下描きの足の線が見えていて、体の線を描いた上に衣装を描いている
ことが分かります。

アルバート・ムーア(1841-1893)はギリシャ彫刻に学んで、
古代風の衣装の女性を装飾的に描いた画家で、作品から物語性を除き、
絵としての形式美を追求しています。

左 アルバート・ムーア 「花」 
 1881年 油彩・カンヴァス テイト

古代ギリシャのような衣装の女性が彫像のように立っていて、カリアティード
(女性の姿に彫った柱)を思わせます。
衣装の表現が見せ所で、ムーアは布を描くことが好きだったそうです。
とても細長い作品で、日本の掛軸に想を得ているのだろうとのことです。


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左 アルフレッド・ギルバート 「武装するペルセウス」 
 1882年 ブロンズ リーズ美術館


右 アルバート・ムーア 「真夏」 
 1887年 油彩・カンヴァス ラッセル=コート美術館

会場の最後に展示されています。
東ローマ帝国の象徴の双頭の鷲を彫った豪華な銀の椅子で眠る
女性の両脇に古代ギリシャ風の髪型と衣装のギリシャ鼻の女性が
仏教の僧のような衣装を着て、東洋風の金扇を持って立っています。
衣装とマリーゴールドの花輪のオレンジ色がとりわけ眼を惹き、
古代趣味と東方趣味が一緒になった、まさに唯美的な作品です。


会場の三菱一号館の建物はジョサイア・コンドルの設計ですが、
これも当時の英国の流行である、クイーン・アン様式に拠っています。

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私はこの展覧会をすでに観ていたのですが、加藤さんのていねいな
解説のおかげで、より理解を深めることが出来ました。

展覧会の始まった頃に書いた、「ザ・ビューティフル―英国の唯美主義
1860-1900」展の記事
です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「ヴァロットン-冷たい炎の画家」展です。
会期は6月14日(土)から9月23日(火・祝)までです。

ヴァ001

フェリックス・ヴァロットン(1865-1925)はスイス生まれで、
どこか冷やりとした独特の感性を持った画家です。

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【2014/03/09 22:12】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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