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「富士と桜と春の花展」 広尾 山種美術館
恵比寿
chariot

広尾の山種美術館では特別展、富士山世界文化遺産登録記念、
「富士と桜と春の花展」が開かれています。
会期は5月11日(日)までで、会期中一部展示替えがあります。

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富士山や桜を描いた作品を中心に約90点が展示されています。

司馬江漢 「駿州薩陀山富士遠望図」(部分) 1804年 静岡県立美術館
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司馬江漢(1747-1818)は江戸時代に西洋画を学び、独自の油絵具を開発して、
洋風画を描いています。
富士の景色を油彩で描いた作品で、富士山の形は写実的です。
長崎への旅の途中で見た富士山に感動して、よく富士の絵を描いています。
ちょっと稚拙なところが銭湯の絵を思わせる、のどかな景色です。


葛飾北斎 「冨嶽三十六景 凱風快晴」 大判錦絵 1830年 山種美術館
冨士003

3月30日までの展示です。
歌川広重の「東海道五拾三次」のうち、富士山を描いた作品も展示されています。

片岡球子 「めでたき富士」 1991年 東京美術倶楽部 東美ミュージアム
冨士004

元気いっぱいの富士山で、ふもとには梅や鈴蘭が咲いています。


上村松園 「桜可里」 1926-29年頃 山種美術館
冨士001
 
4月15日から5月11日までの展示です。
浮世絵風の華やかな絵柄です。

川合玉堂 「春風春水」 1940年 山種美術館
玉006

川の急流に張ったワイヤーを使った渡し舟には農婦が乗り、
岩場には山桜が咲いています。
満々とした蒼い水の描写が印象的な作品です。
ワイヤーと滑車を使った渡し舟は岐阜県出身の実業家、
岡田只治(1850-1914)の発明で、最盛期には全国約60ヶ所で
使われていたそうです。

小野竹喬 『春野秋溪のうち「春野」』 1944年頃 山種美術館
冨士007

4月13日までの展示です。
いかにも京都の画家、小野竹喬らしいやわらかな色彩で、
空も霞と同じ色に霞んでいます。

奥村土牛 「醍醐」 1972年 山種美術館 
百003

醍醐寺三宝院の枝垂桜に感激し、その後10年越しで完成させた作品です。
幹と支柱の縦線、土塀の横線を基本にして、幹を真中に据え、画面上を
桜で埋め尽くし、土塀の連なりで奥行きを見せています。
花弁の重なりは濃く薄く描かれて、立体感があり、塗りを重ねた幹の色は
桜の経てきた年月を感じさせます。

奥村土牛 「吉野」 1977年 山種美術館
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霞の中に広がる、花の吉野です。
緑から青へと変わる色彩と山の間の霞によって、遠近感を出しています。
手前から奥へと三角形を重ね、桜の木も三角形にした理知的な構成の画面ですが、
描いていて、「歴史画を描いているようで、目頭が熱くなった」とのことです。
歴史画を描かなかった奥村土牛ですが、戦前の人だけに、南朝の歴史への思いは
深かったのでしょう。

千住博 「夜桜」 2001年 山種美術館
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覆いかぶさる夜桜を、下から見上げた視線で捉えています。
黒々とした夜空の中、ライトに照らされたような紅く細かい点を
びっしり重ねた桜は、現実の夜桜を見ているようで、伝統的な
日本画とは異なる凄みがあります。

鈴木其一 「牡丹図」 1851年 山種美術館
冨士002

白、薄紅、赤と色を変え、蕾から盛り、しおれ始めまでを
一つの絵の中に収めています。

山種美術館で桜の絵が展示されると春本番です。

山種美術館のHPです。


山種美術館の次回の展覧会は、「クールな男とおしゃれな女
-絵の中のよそおい」展です。
会期は5月17日(土)から7月13日(日)までです。

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【2014/03/22 19:52】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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