「のぞいてびっくり江戸絵画」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
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六本木のサントリー美術館では、「のぞいてびっくり江戸絵画」展が
開かれています。
会期は5月11日(日)まで、休館日は火曜日です。

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江戸時代後期の蘭学の興隆とともに顕微鏡や望遠鏡などがもたらされます。

そこで、西洋の遠近法を用いた風景画や顕微鏡で見た世界、博物学の知識に
基いた作品も描かれるようになります。
また、鏡に映る映像や影絵にも関心が持たれるようになります。

展覧会では、これらの作品約160点が展示されています。
4月21日までの前期と、23日以降の後期で、かなりの展示替えがあります。

第1章 <遠近法>との出会い

「不忍池図」 小田野直武 1770年代 
 秋田県立近代美術館 重要文化財

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前期の展示です。
上野不忍池を遠景にしてシャクヤクやムシャリンドウの鉢を置いています。
従来の日本の絵には無い空間性を感じさせ、シャクヤクの蕾に止まっている
アリまで描いてあります。
前田家でしょうか、藩邸の白壁の長屋も見えます。

小田野直武(1750-80)は秋田藩士で、平賀源内から西洋画を教わり、
秋田蘭画といわれる洋風画の一派を起こしています。

小田野直武に洋風画を習った司馬江漢の作品や、洋風銅版画を制作した
亜欧堂田善の銅版画も展示されています。

「眼鏡絵 三十三間堂」 丸山応挙 18世紀 帰空庵コレクション
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後期の展示です。
眼鏡絵は、遠近法で描かれた絵を鏡に映し、凸レンズを通して見ると
遠近感がより強くなるというものです。
丸山応挙は若い頃、眼鏡絵を描いていました。
正確な一点消失法で三十三間堂通し矢の様子を描いています。

この絵は鏡に映った像を観る反射式の絵のため左右が逆転していて、
武士は右手で弓を持っているように見えます。

現在は通し矢は前庭で行なわれていますが、当時は外廊下を使っていて、
廂には今でも矢柄がびっしりと刺さっています。

第2章 <鳥の眼>を得た絵師たち

景色を上空からの視点で描く鳥瞰図や、望遠鏡を使う人たちを描いた絵の展示です。

「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」 歌川広重 
 安政4年(1857) 個人蔵

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前期の展示です。
舞い降りようとする鷲の視点から見た江戸湾の湿地帯の雪景色で、
遠くに筑波山が見えます。
斬新な構図の絵で、翼を翻す鷲の姿が印象的です。

当時の外国製や和製の望遠鏡も展示されています。

第3章 <顕微鏡>でのぞくミクロの世界

「蚤図」 山田訥斎 19世紀 個人蔵
前期の展示です。
墨で蚤を1匹描いた巨大な掛軸です。
顕微鏡を覗いてスケッチしたのだと思うと何だか可笑しくなります。

「雪華図説」 土井利位 天保3年(1832) 古川歴史博物館
土井利位は古河藩藩主で老中を勤めています。
雪の結晶を顕微鏡で観察し、その図を家老の鷹見泉石の協力で
出版したものです。
鷹見泉石は渡辺崋山の描いた肖像画、「鷹見泉石像」で知られています。

「雪華文蒔絵印籠」 原羊遊斎 
 天保3~11年(1832~40) 古川歴史博物館

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「雪華図説」に描かれた雪の結晶をデザインした印籠です。
古河藩が蒔絵の名工、原羊遊斎に作らせたもので、大名間の贈答などに
使われたようです。

第4章 <博物学>で観察する。

博物学への関心の高まりとともに、記録を目的として動物や植物、
鉱物などを詳細に描いた博物画が描かれます。

「本草図説」 高木春山 19世紀  西尾市岩瀬文庫
高木春山(?-1852)は20年かけて動物・植物・鉱物・自然現象などを集めた
全195冊の「本草図説」の編纂に取組みますが、未完のまま亡くなっています。
遺稿の中から水産部30冊が明治16年(1883)に発表されて、その存在が
知られることになりました。

高木春山の「本草図説」は2013年に東京ステーションギャラリーで開かれていた
『大野麥風展 「大日本魚類画集」と博物画にみる魚たち』にも展示されていました。

「大野麥風展」の記事です。

「魚蟲譜」 栗本瑞見 文政2~天保2年(1819~31) 宮城県図書館
さまざまな魚、亀などを写した全7巻のうち、いろいろな金魚を描いた
部分が展示されています。
どの金魚もウロコが金銀泥で彩色されて輝いています。

第5章 <光>と<影>を描く-影絵・鞘絵・鏡・水面

「即興かげぼしづくし 値上りのまつ 梅にうぐいす」 歌川広重 
 天保年間(1830~44) サントリー美術館

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前期の展示です。
今でも宴会芸に使えそうな技です。

「鏡中図(さや絵) 桜寧斎画集」 桜寧斎 
 寛延年間(1848~54) メ~テレ8名古屋テレビ放送

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絵を円筒形の鏡に映して画像を見る、アナモルフォーズという技法を使っています。
鏡の代わりに塗鞘を使ったりしたので、鞘絵と呼ばれていました。
本能寺の変でしょうか、刀を振りかざす男と鎧を着て衝立の陰から薙刀を
繰り出す男が描かれています。

「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」 歌川国芳 
 弘化4年(1847)頃 町田市立博物館

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後期の展示です。
前期は同じ国芳の「人をばかにした人だ」が展示されています。
裸の男が寄ってたかって人の顔や手を作っています。
特に鼻の部分に上手く使われています。

さまざまな視覚を利用した絵や博物画を通して、江戸時代の人の好奇心を
うかがうことの出来る、なかなか面白い展覧会です。

展覧会のHPです。


サントリー美術館の次回の展覧会は、「徒然草」展です。
会期は6月11日(水)から7月21日(月・祝)までです。

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【2014/04/07 20:33】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(4) |
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  • まっきいさん、こんばんは。
  • 雪の結晶を顕微鏡で見てデザインになると思ったのですから、なかなかセンスのあるお殿様です。
    着物の模様にもなったということですから、当時の人たちも流行に敏感だったのでしょうね。

    【2014/04/09 22:35】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • これが目に入らぬか・・!
  • 印籠・・・やっぱり眼を引きますね。古河博物館に行ったことがありますが、この雪模様はお殿様自らデザインしていて 当時、江戸では着物の模様としても流行していたとか読んだ記憶があります。

    色々な身の回りのグッズに取り入れたいですね~

    【2014/04/09 14:50】 url[まっきい #-] [ 編集]
  • こんばんは。
  • 印籠は現在でも何かに使えるほどモダンなデザインです。
    保存状態も良く、とてもきれいでした。
    今の時代だったらこれを贈られた殿様はTwitterで自慢したことでしょう。

    【2014/04/08 22:58】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 控え控え控えおろう
  •  やっぱり印籠かっこええーー。
     こんにちは。
     三つ葉葵の印籠というのも悪くは無いが、やはりこういうデザインの方が数倍かっこいいですな。是非一つ欲しいです。値段?聞かぬが華って奴ですよね。はい、聞きませんよ(笑い

    【2014/04/08 21:17】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















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    「のぞいてびっくり江戸絵画」/サントリー美術館 【東京ミッドタウン(2014/4/19撮影)】 以前、江戸東京博物館で江戸時代の“だまし絵”を見たことがありました。また、海外の作品でも、こうしたトリック絵画の展覧会を、確か渋谷は文化村のザ・...
    【2014/04/29 08:25】

    blog_name=【Star Prince JUGEM】 ♥   のぞいてびっくり江戸絵画
     
    今日からサントリー美術館で開催されたのぞいてびっくり江戸絵画 科学の眼、視覚の不思議をみてきました。いろいろと面白いものに出会えました。紅毛雑話が多数展示され、興味深いものが多数ありオランダドイツの影響を感じさせる展示も多数ありました。名古屋ボストン美術館で観た葛飾北斎の北斎漫画も展示されていました。5月11日まで。 その後庭園を歩き花見さらに国立新美術館へ続く道の桜も見て帰宅しました。
    【2014/04/11 21:50】

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