「松林桂月展―水墨を極め、画中に詠う」 練馬区立美術館
中村橋
chariot

練馬区立美術館では、「松林桂月展―水墨を極め、画中に詠う」が
開かれています。
会期は6月8日(日)までです。

松林001


松林桂月(1876-1963)の没後50年を記念する回顧展で、
約100点が展示されています。
5月11日までの前期と13日からの後期で一部展示替えがあります。

松林桂月は山口県萩市の出身で、野口幽谷に南画を学んでいます。

「不老長春」 昭和後期 おおすみ歴史博物館
松林008

5月13日からの展示です。
不老を表す松を桂月が、長春花と呼ばれる薔薇を妻の雪貞が描いています。
松林雪貞も優れた画家でしたが、桂月と結婚してからは表立った活動は
していません。
雪貞の作品が数点展示されていますが、色彩が鮮やかでくっきりと
明快な描き方です。

夫妻が田原の渡辺崋山の墓参りをしている写真も展示されています。
師の野口幽谷の師は椿椿山で、椿椿山の師は渡辺崋山です。

「秋園」 六曲一双 1938年
左隻
松林004

右隻
松林005

水墨による文人画を能く描いた桂月ですが、装飾的な作品も手掛けています。
琳派のたらし込みも用いた華麗な屏風絵で、松林桂月の特徴の、
右上から左下に流れる構図になっています。
松を左隻に紅葉を右隻に置いて、菊・萩・薄・秋海棠・葉鶏頭などを
描いています。

「伏見鳥羽戦」 大下図 昭和初期 個人蔵
松林006

松林007

完成作の下図となった絵です。
現在、明治神宮の聖徳記念絵画館に展示されている、和洋の画家が
明治天皇一代記を描いた80枚の一部です。
歴史画家ではありませんが、山口県出身の松林桂月は毛利公の依頼と
いうこともあって、入念に調査して描いています。

戊辰戦争の発端となった鳥羽伏見の戦いを描いていて、伏見街道上での
戦いでは、銃や大砲を放つ薩長軍は洋服を着て、腰に銃剣を着けた上に
刀をサーベルのように吊り、指揮官は軍刀で指揮しています。
攻めてくる幕府軍は会津藩を示す「會」の字の旗を立て、槍を振るって戦い、
大将は陣羽織を着て采配を振っています。
多くの兵は和服で、鎧を着ている者もいます。
新選組の永倉新八は鎧を着て出陣したものの、その重さに難渋したと後に
語っています。
後方には敗走する幕府軍が見え、拠点だった伏見奉行所が炎上しています。

「愛吾廬」 1936年 山口県立美術館
松林003

陶淵明の詩、読山海経に依って付けた題で、吾が廬(いおり)を愛す、
という意味です。
陶淵明に自分をなぞらえ、文人画家としての自由な境地を表しています。
世田谷の自宅の庭を描いていて、池に睡蓮が咲いているところなど、
モネの庭のようです。

「春宵花影」 1939年 東京国立近代美術館
松林002

5月11日までの展示です。
この年のニューヨーク万国博覧会に出品され、好評を得た作品です。
水墨の濃淡や筆遣いによって光や空間を表し、桜の花弁には胡粉を
用いて画面に輝きを添えています。
気品と華やぎの備わった、松林桂月の最高傑作といえる作品です。

松林桂月は自作の詩を添えるなど、漢詩の素養に基く高雅な作品を描いた
画家ですが、最近は古典の教養を基にした画家の作品を観る機会が
あまり無いのは惜しいことです。

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【2014/05/07 22:56】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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