「オランダ・ハーグ派展」 損保ジャパン東郷青児美術館
新宿
chariot

新宿の損保ジャパン東郷青児美術館では、「オランダ・ハーグ派展」が開かれています。
会期は6月29日(日)までです。

ハーグ001


副題に「ゴッホの原点、近代自然主義絵画の成立」となっていて、ハーグ市立美術館所蔵の
作品を中心に19世紀後半にハーグを拠点に活動した画家たちの作品などが展示されています。

ハーグ派はフランスのバルビゾン派の影響を受け、屋外の自然や働く人たち、室内の情景
などを描いています。
またバルビゾン派を通じて、レンブラントやフェルメールの17世紀オランダ絵画を再評価
しています。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 「浅瀬を渡る山羊の番人、イタリアの思い出」
 1872年頃 吉野石膏美術振興財団

ハーグ009

銀灰色に包まれた穏やかな景色とアクセントの赤い帽子という、コロー独特の世界です。

ジャン=フランソワ・ミレー 「バター作りの女」 1870年 吉野石膏美術振興財団
ハーグ003

腕に力を入れて牛乳の入った桶をかき混ぜている女性に、匂いを嗅ぎ付けたのか、
猫がすり寄っています。
戸口では鶏がその様子を窺っています。

ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875)はバルビゾン派を代表する画家です。

ヴィレム・ルーロフス 「アプカウデ近く、風車のある干拓地の風景」 
 1870年頃 ハーグ市立美術館

ハーグ010

横の線を強調した広々とした画面で、風車を回す風は水辺の葦を揺らし、
雲が流れ、鳥が騒いでいます。

ヴィレム・ルーロフス(1822-1897)はオランダの画家の中で最も早くバルビゾンを
訪れて感銘を受けています。 
後にメスダッハを教えるなど、ハーグ派に影響を与えています。

ヤン・ヘンドリック・ヴァイセンブルフ 「トレックフリート」 
 1870年 ハーグ市立美術館

ハーグ008

トレックフリートはハーグ近くの運河で、晴れた空に雲が浮かび、帆を広げた川船が
行き交い、風車が回っています。
手前の道を母子と犬が歩いてきて、対岸の船を引っ張る馬の通る曳船道や地面を
走り抜ける雲の影も見えます。
ストリートビューでトレックフリート(trekvliet)の辺りを見ると、のどかな郊外を通る
運河が見えます。

ヤン・ヘンドリック・ヴァイセンブルフ(1838-1865)はハーグ派の中で最も成功した
画家の一人とのことで、運河や川など水辺の光景を描いています。

ヘラルト・ビルデルス 「干拓地の風景のなかの牝牛(オーステルベーク)」 
 1857年頃 ハーグ市立美術館

ハーグ002

オーステルベークはアルンヘムに近く、バルビゾン派がフォンテーヌブローの森に
出かけたように、ハーグ派はオーステルベークの自然を描いています。
牝牛はハーグ派の画家にとって、オランダの経済を支える存在としての象徴的な
意味があったそうです。

ヘラルト・ビルデルス(1824-1903)は動物のいる風景をよく描いています。

ヤコプ・マリス 「漁船」 1878年 ハーグ市立美術館
ハーグ005

高さ124㎝の大きな画面いっぱいに灰色の空が広がり、その色が海に映っています。
ニシンを獲る漁船のマストの旗は風で千切れそうになってはためいています。
スヘフェニンゲンはハーグ郊外の漁村ですが、港が無いので、漁船は綱で浜に
引き上げられます。

ヤコプ・マリス(1837-1899)は自然の風景や都会の光景を描いています。

ヘンドリック・ヴィレム・メスダッハ 「オランダの海岸沿い」 
 1885年 ハーグ市立美術館

ハーグ011

夕暮れの海岸の状景で、夕陽が雲を照らし、漁船はシルエットになっています。
空や雲を大きく描く海景画はオランダ絵画の見所の一つです。

ヘンドリック・ヴィレム・メスダッハ(1831-1915)は裕福な銀行家の家に生まれますが、
画家を志し、ヴィレム・ルーロフスに師事しています。
海景画家として知られ、スヘフェニンゲンの海岸を360度見回した景色を高さ14m、
幅120mという巨大なリング状の絵画にしたパノラマ・メスダグで有名です。
パノラマ・メスダグはハーグ市にある、メスダッハの建てた美術館で、その巨大な
パノラマを観ることが出来ます。
美術館のHPにはパノラマのスクリーンセーバーも載っています。
パノラマ・メスダグのHPです。

メスダッハの作品は2009年にホテルオークラで開かれた、「栄光のオランダ絵画展」にも
展示されていました。
「栄光のオランダ絵画展」の記事です。

フィリップ・サデー 「貧しい人たちの運命」 1901年 ハーグ市立美術館
ハーグ012


漁村の女性たちが海岸で水揚げした時にこぼれたニシンをカモメと一緒になって拾っています。
女性は木靴を履いていて、女の子は裸足です。

フィリップ・サデー(1837-1904)はスヘフェニンゲンの漁村の生活を描いています。

ヨーゼフ・イスラエルス 「縫い物をする若い女」 1880年頃 ハーグ市立美術館
ハーグ006


窓からの光で縫い物をしている女性で、窓の外にはわずかに青空が見えます。
フェルメールのような情景ですが、光と影の雰囲気はレンブラント風です。

ヨーゼフ・イスラエルス(1824-1911)は落着いた色調と精神性の高さから
第2のレンブラントと呼ばれていたそうです。

ベルナルデュス・ヨハネス・ブロンメルス 「室内」 1872年 ハーグ市立美術館
ハーグ013

窓辺のテーブルを囲んでくつろぐ家族の一コマです。
オランダ絵画は宗教改革の後は世俗画中心になりますが、この絵には聖ヨセフと
聖母子のモチーフの面影を感じます。

ベルナルデュス・ヨハネス・ブロンメルス(1845-1914)はイスラエルスの影響を受けながら、
海辺の風景や漁師の生活を描いた画家とのことです。

アルベルト・ヌウハウス 「母と子どもたち」 ハーグ市立美術館
ハーグ014

赤ちゃんをあやす母親と後ろから覗き込んでいる姉です。
こちらの作品からは聖母子と洗礼者ヨハネを思い出します。

アルベルト・ヌウハウス(1844-1914)は農民の生活や室内の光景を描いた画家とのことです。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「白い帽子をかぶった農婦の顔」 
 1884~85年 クレラー=ミュラー美術館

ハーグ004

初期の有名な「ジャガイモを食べる人々」(1885)に描かれた人物を思わせる、
力のこもった作品です。

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)は16歳から20歳までハーグの画商の下で働き、
27歳のとき再びハーグを訪れて、いとこと結婚したハーグ派の画家に絵を習っています。
ハーグ派は全体に暗い色調なのが特徴ですが、ゴッホの初期の作品にもそれが表れています。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「じゃがいもを掘る2人の農婦」 
 1885年 クレラー=ミュラー美術館

ハーグ015

ミレーのような雰囲気の作品で、庶民の生活を描くハーグ派にも通じています。

近代オランダ絵画を代表するモンドリアンの作品も4点、展示されています。

ピート・モンドリアン 「アムステルダムの東、オーストザイゼの風車」 
 1907年頃 ハーグ市立美術館

ハーグ016

ピート・モンドリアン(1872-1944)は初期にはハーグ派の影響を受けた風景画を描いています。 

ピート・モンドリアン 「夕暮れの風車」 1917年頃 ハーグ市立美術館
ハーグ007

すでにモンドリアンの関心が情景ではなく、色面の構成に移っていることがよく分かります。

初めて観る画家たちの作品も多く、どれも親しみやすく、ハーグ派と呼ばれる画家たちを
知ることの出来る、面白い展覧会です。

展覧会のHPです。

次回の展覧会は「不思議な動き キネティック・アート展」です。
会期は7月8日(火)から8月24日(日)までです。

キネ001

関連記事

【2014/05/22 20:52】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
please comment















管理者にだけ表示を許可する

trackback
trackback url ↓
http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/2258-4d818024

プロフィール

chariot

Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム |