「ジャック・カロ リアリズムと奇想の劇場」展 国立西洋美術館
上野
chariot

上野の国立西洋美術館では「ジャック・カロ リアリズムと奇想の劇場」展が開かれています。
会期は6月15日(日)までです。

カロ001


国立西洋美術館所蔵の所蔵するロレーヌ地方出身の版画家、ジャック・カロ(1592-1635)の
作品を紹介する展覧会です。

ジャック・カロはロレーヌ公国生まれで、ローマで版画を修行の後、1614年にはフィレンツェの
メディチ家の宮廷版画家を務めています。

「アルノ川の祝祭(扇)」(部分) 1619年 エッチング、エングレーヴィング
チラシに使われている作品です。
7月の聖ヤコブの祝日にアルノ川で布王と染料王に率いられた織師と染物師
が繰り広げる水上戦を描いています。
コジモ2世が観戦の婦人たちに配った扇のための制作と思われる絵で、
川には花火が打ち上がり、怪物の角にまで人が乗って見物しています。

「インプルネータの市」 1620年 エッチング
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インプルネータはフィレンツェ近郊の町で、テラコッタの生産で知られています。
広場の市の賑わいを描いていて、左の方には吊り下げられている罪人も見えます。
広場の前の建物などは現在もあまり変わっていないようです。

「狩り」 1620年頃? エッチング
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左右から画面奥に向かって馬や犬が駆け込んでいく、躍動的な場面です。

ジャック・カロは即興演劇のコメディア・デラルテにも関心を持って、作品にしています。

「二人のザンニ」 1616年頃 エッチング
カロ002

ザンニとはコメディア・デラルテに登場する召使役です。
狂言の太郎冠者のような役どころでしょうか。

カロはアウトサイダーズとされる、道化、身体障害者、老人、孤児などを数多く描いています。、

2011年に同じ国立西洋美術館で開かれた「アウトサイダーズ展」では彼らをカロが描いた作品が
展示されていて、今度の展覧会でも展示されていました。

「アウトサイダーズ展」の記事です。

カロは621年のコジモ2世の死で庇護者を失い、故郷のナンシーに戻りますが、
1623年にロレーヌ公国の宮廷に登用されます。

連作「槍試合」より、「ド・ヴロンクール殿、ティヨン殿、マリモン殿の入場」 
1627年出版 エッチング

カロ011

ロレーヌ公シャルル4世の催した槍試合の様子を描いた連作です。
イルカの山車に乗って入場しています。
シャチホコのようなイルカです。

カロが最も描いたのは宗教画で、プロテスタントに対するカトリックの対抗宗教改革の
時代に当り、ロレーヌ地方でも信仰心が熱狂的に高まっています。

連作「七つの大罪」より、「嫉妬」 1620年頃 エッチング、エングレーヴィング
カロ004

ラテン語でInvidiaと書いてあります。
嫉妬の象徴である蛇が腕に絡みついています。
他の大罪は「傲慢」「怠惰」「大食」「淫欲」「憤怒」「貪欲」です。

カロの仕えたロレーヌ公国は30年戦争の最中にロレーヌ地方の領有を狙ったフランスに
攻撃され、1633年にナンシーが陥落します。
1634年にはロレーヌ公国の貴族・聖職者はフランス王国への忠誠の宣誓を要求され、
カロも従っています。

連作「戦争の悲惨(大)」より、「絞首刑」 1633年 エッチング
カロ009

カロ010

軍規に違反した兵士たちが絞首刑にされ、木に吊り下げられています。
処刑の前に聖職者のかざした十字架に祈っている兵士もいます。

他の場面では「戦闘」や「略奪」などがあり、「農民たちの復讐」では麦の脱穀に使う
長いからさおを振り上げて農民が兵士を打ち据えています。

連作「戦争の悲惨(大)」は戦争のもたらす悲劇を淡々と描き出していて、30年戦争の時代、
日常に近いところにあるものとして戦争を捉えているように見えます。

「聖アントニウスの誘惑(第2作)」 1635年 エッチング
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修行中の聖アントニウスにさまざまな怪物の姿をした誘惑が襲い掛かるという、
有名な画題です。
聖アントニウスは右側で十字架をかざして立ち向かっています。
怪物の姿はヒエロニムス・ボスの絵に出てくるようで、ボスやブリューゲルの影響を
受けているそうです。

ジャック・カロは1635年に亡くなり、ナンシーに葬られますが、墓はフランス革命で破壊されています。

約220点の作品を通して、ジャック・カロの多彩な制作活動を知ることの出来る、興味深い展覧会です。
作品はどれも細密に描かれているので、天眼鏡を持っていかれると良いでしょう。

展覧会のHPです。

不忍池の景色です。

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【2014/06/01 20:30】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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