「ジャン・フォートリエ展」 東京ステーションギャラリー
東京
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東京駅の東京ステーションギャラリーでは、「ジャン・フォートリエ展」が開かれています。
会期は7月13日(日)までです。
入館料は一般1100円です。

フ001


ジャン・フォートリエ(1898-1964)はフランスの画家、彫刻家で、第二次世界大戦後の
フランスの芸術運動であるアンフォルメルの創始者とされています。

ジャン・フォートリエはパリ生まれで、少年時代にロンドンに移住しています。
美術学校に入学し、デッサンの才能を見せていたということです。
テート・ギャラリーのターナーの作品に感銘を受け、生涯高く評価しています。

第一次大戦のため1917年に応召し、毒ガスで負傷しています。

「管理人の肖像」1922年 ウジェーヌ・ルロワ美術館
フ003

アパートのコンセルジェ(管理人)の姿で、腰に鍵を提げています。
細密な写実で、技量の高さを示していますが、顔は緑色がかり、目元と唇は赤く、
手はごつごつとして、異様な感じを与える作品です。
いわゆる綺麗な絵を描こうという意識は無いことが分かります。
はじめからこれだけ上手いと、やがて単なる写実では飽き足らなくなるのは
分かるような気がします。

1920年代の肖像画が何点か展示されていて、どれもセザンヌ風の大づかみで
がっしりした描写です。

1920年代後半は先史時代やアフリカ芸術の影響を受けた、プリミティブな
画風になります。
裸婦像は縄文時代の土偶に似ています。
対象の本質を掴まえようとすると土偶のようになるのでしょうか。

「兎の皮」 1927年 個人蔵
フ004

「黒の時代」と言われる頃の作品で、黒を背景にして吊るされた兎の皮が
浮き上がっています。

1929年からの世界大恐慌のため、フォートリエはしばらく油彩画を描かず、
アルプスでスキーのインストラクターをしたり、ホテルを経営したりしています。
やがて厚塗りで色彩の多い作品を描くようになり、1940年には第二次大戦で
ドイツに占領されたパリに戻ります。

「林檎」 1940-41年 個人蔵
フ006

かなりの厚塗りが始まっていて、画面も抽象画に近くなってきています。

「悲劇的な頭部(大)」 1942年 ブロンズ パリ国立近代美術館
フ005

フォートリエは彫刻を20点ほど制作しています。
人の頭部ですが、顔の半分は削り取られています。
フォートリエは第一次大戦では救護隊員の経験があり、第二次大戦の最中でもあるので、
人の陥った悲劇的な状況を数多く見聞きしていたことでしょう。

1943年には最初の個展を開いていますが、対独レジスタンス運動にかかわっていた
として、ゲシュタポの追及を受け、パリ郊外のシャトネ=マラブリーに匿われます。
近くのフレーヌ監獄では多くの捕われたレジスタンスの人たちが拷問を受け、
処刑されていました。

「人質の頭部」 1944年 国立国際美術館
フ002

厚塗りで人の顔らしいものが描かれていますが、目は暗く虚ろです。
拷問の苦しみを表しているのでしょうか。

「人質」シリーズはフォートリエの代表作であり、パリ解放後の1945年に
発表されています。
この展覧会にも油彩画や彫刻などが何点か展示されています。

「黒の青」 1959年 個人蔵
フ007

漆喰壁のような灰色の地に、明るい色彩が載っていて、一面に引っ掻き跡が
入っている抽象画です。

制作の様子を写した1964年のフィルムが上映されています。
先ずパレットナイフで絵具をたっぷり勢い良く盛り付け、その上にパラパラと
顔料をまぶし、さらに全体をざっと引っ掻いて仕上げています。
あっという間に一つの作品が出来上がっています。

ジャン・フォートリエの抽象画はアンフォルメル(不定形)と位置付けられています。
アンフォルメルとは1950年に評論家のミシェル・タピエによって提唱された
第二次世界大戦後のフランスの抽象画の新しい動きを指す言葉です。

2011年にブリヂストン美術館で開かれた、「アンフォルメルとは何か?」展の記事です。

ただ、フォートリエは自身はフィルムの中で、「自分は技法には関心が無い。
どんな技法でも傑作は描ける」と言っています。

2度の世界大戦を経験したフォートリエは、同じ抽象画でも整然とした作画で
は収まらない衝動を抱えることになったのでしょうか。


展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「泥象(でいしょう) 鈴木治の世界」展です。
会期は7月26日(土)から8月31日(日)です。

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【2014/06/13 23:15】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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