「デュフィ展」 Bunkamuraザ・ミュージアム
渋谷
chariot

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは「デュフィ展」が開かれています。
会期は7月27日(日)まで、会期中は無休で、7月2日(水)のみ休館です。
会期中、一部展示替えがあります。

デ001


フランスの画家、ラウル・デュフィ(1877-1953)の回顧展です。

デュフィはフランス北部の港町、ル・アーブルに生まれています。
両親は音楽の素養がありましたが、家は貧しく14歳で働きに出ています。
23歳で奨学金を得て、パリの国立美術学校に学び、初めは印象派の影響を受けた絵を
描いています。
やがてマティスやマルケと知り合ってフォーヴィズムに関心を向けるようになります。

「トゥリーヴィルのポスター」  油彩、カンヴァス 1906年 
 パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター

デ006

フォーヴィズムの頃の作品で、画面は色の面によって構成されています。

1907年から11年までは木版画も手掛けています。
特に1908年にドイツに行き、ドイツ表現派の木版画に関心を持ち、帰国後4点の版画を
制作しています。

「ダンス」 木版、紙 1910年頃 島根県立石見美術館
デ004

7月1日までの展示です。
緊密な構成の活き活きとした画面で、竹などの植物の表現は装飾的です。
デュフィの作品にはこの装飾性が強く表れるようになります。

アポリネールの詩集、「動物詩集あるいはオルフェウスのお供たち」の挿絵の木版画も
展示されていて、どれも巧みな画面構成です。

デュフィはデザイン関係の作品も多く手がけています。
1909年にファッションデザイナーのポール・ポワレと出会い、1911年には共同でテキスタイルの
製作所を設立しています。
また、1912年にはリヨンの絹織物制作会社、ビアンキーニ・フェリエ社とデザイナー契約を結んで、
テキスタイル画を描いています。

「たちあおい」 シルクにプリント 1918年 島根県立石見美術館 
デ007

7月1日までの展示です。
装飾性にあふれた、華やかな連続模様です。

「かごのある静物」 墨、紙 1913年  パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター
白い紙に墨で描かれたデッサンでモノクロの画面ですが、その分筆遣いの
伸びやかさがよく分かります。

1920年代になると明るく透明な色彩でのびのびと描く、デュフィらしい画風が表れてきます。
南仏にも旅行し、青色を基調にした地中海沿いの光景が描かれるようになります。

「ニースの窓辺」 油彩、カンヴァス 1928年 島根県立美術館
デ005

2つの窓の向こうに広がる海辺の景色、窓の間の鏡に映る室内という面白い構図で、
部屋の中に風が吹き込んでくるようです。

「馬に乗ったケスラー一家」 油彩、カンヴァス 1932年 テート
デ002

イギリスの富豪、ジャン・バティスト・オーグスト・ケスラーの注文で制作された作品で、
横2.7mの大作です。
乗馬という、イギリス人好みの場面で、色彩はまとめられ、背景に地模様のように
びっしりと樹木が描かれ、人馬も連続模様のようなリズム感をもっています。
一番左の馬は半分青色に塗られています。

「アンフィトリテ(海の女神)」 油彩、カンヴァス 1936年 伊丹市立美術館
デ009

朝日の昇る海にボート、ヨット、帆船、外輪船、貨物船が浮かび、地引網や浜辺を
散歩する人が見えます。
中心にギリシャ神話の海の女神、アンフィトリテが座って、巻貝から聞こえる海の音を
聴いています。
海の色は自在に塗り分けられ、豊かな地中海世界が広がっています。
デュフィはクロード・ロランを「私の神である」と語っていたそうですが、まさしく
クロード・ロランへのオマージュのような作品です。

デュフィはギリシャ・ローマ神話の神々をよく描いています。
地中海世界の豊穣さを象徴しているのでしょうか。

「電気の精」 リトグラフ、グアッシュ、紙 1952-53年  
 パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター

縦1m、横6mになる大きな作品で、1937年のパリ万国博の電気館に描いた
巨大な壁画の1/10縮小版です。
真中に巨大な発電機、左右に農業や工業、上にはギリシャの神々、下には古代の
哲学者から近代のエジソンやベルまでの科学者たちがびっしりと描かれています。
あちこちに三色旗が描かれていて、フランスの栄光を称えた画面です。
壁画の「電気の精」はデュフィの代表作になっています。

デュフィは壁画を完成させた後、関節炎を発症し、生涯悩みますが、絵筆を離すことは
ありませんでした。

「マキシム」 水彩、グアッシュ、紙 1950年 個人蔵
デ008

1945年に第2次世界大戦が終わり、平和の戻ったパリのレストラン、マキシムの賑わいを
描いています。

デュフィは音楽を題材にした作品も多く描いています。
オーケストラを描いた作品は音楽が響き渡るような高揚感があります。

「ヴァイオリンのある静物:バッハへのオマージュ」 油彩、カンヴァス 1952年 
 パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター

デ001

バッハをヴァイオリンと紅色で表現しています。
描いてある壁紙はデュフィのデザインした、ビアンキーニ・フェリエ社の壁紙です。
右の壁に描かれている絵は、「花束」(フレスコ 1951年 宇都宮美術館)で、
この展覧会にも出展されています。

「クロード・ドビュッシーへのオマージュ」 油彩、カンヴァス 1952年 
 アンドレ・マルロー近代美術館

デ003

ドビュッシーはやはりピアノで表されています。

「麦打ち」 油彩、カンヴァス 1953年 パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター
デュフィの亡くなったとき、アトリエのイーゼルに置かれていた作品です。
農場での機械を使っての脱穀作業の情景で、その中に裸体の男女がいます。
「古代ローマの豊穣の女神ケレースと農業経営者」という主題で、神話と資本主義を
組合わせたものということです。
麦の収穫でも、ミレーの「落穂拾い」が大地主と零細農民を対照的に描いているのとは
大きく異なります。


一見、楽天的に見えるデュフィの作品ですが、少年時代は貧しかったり、晩年は関節炎に
苦しんだり、第二次大戦中はフランスがドイツに占領されたのでスペイン国境近くに
逃れたりと、人生は平坦ではありませんでした。
しかし、それを表に出すことは無く、世界を明るく肯定的に描き続けています。
貴族出身のロートレックやブルジョワ出身のドガが醒めた目で描いていたのとは
異なるのが興味深いところです。


展覧会のHPです。


次回の展覧会は「進化するだまし絵」展です。
会期は8月9日(土)から10月5日(日)までです。

デ010

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【2014/06/09 20:47】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中のデュフィ展 絵筆が奏でる 色彩のメロディーに行ってきました。知人のレポートを拝見するとかなりいい感じでしたが、150点あまりの展示で期待通り、期待以上の展覧会でした。 展覧会の構成は以下の通りです。 第1章:1900−1910年代 造形的革新のただなかで 第2章:木版画とテキスタイル・デザイン 第3章:1920−1930年代 様式の確立から...
【2014/06/19 19:20】

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