「徒然草 美術で楽しむ古典文学」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
chariot

六本木のサントリー美術館では、「徒然草 美術で楽しむ古典文学」展が
開かれています。
会期は7月21日(月・祝)まで、休館日は火曜日です。
会期中、一部展示替えがあります。

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兼好法師は鎌倉時代から南北朝時代にかけての歌人、随筆家です。
「徒然草」の作者として有名ですが、「徒然草」が知られるようになったのは
没後約100年経った室町時代で、江戸時代になって広く読まれるようになったそうです。

展覧会では「徒然草」の有名な章段を描いた屏風や絵巻などが展示されています。
また、ほとんどの章段を描いてある「徒然草絵巻」全20巻を制作した海北友雪の
紹介もされています。

奈良絵本 「徒然草」(部分) 江戸時代 17世紀 富美文庫
つ001

序段、「つれづれなるままに日ぐらし硯に向かひて」の場面で、草庵の中で兼好法師が
よしなしごとを書き付けています。
奈良絵本は室町時代から江戸時代初期にかけて制作された彩色絵本です。

「兼好法師図」 尾形乾山 江戸時代 17世紀後半~18世紀前半 個人蔵
つ004

何だか野性味のある兼好法師です。
尾形乾山は兼好が庵を結んでいた双ヶ岡に住んだことがあります。

「徒然草図屏風」 六曲一双(右隻) 江戸時代 17世紀 米沢市上杉博物館
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「徒然草」の代表的な章段を描き込んだ屏風です。

序段
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第11段 囲いをしたみかんの木を眺める兼好
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第53段 鼎をかぶっておどる法師
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「徒然草・御室法師図」 英一蝶 江戸時代 17世紀後半 個人蔵
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6月30日までの展示です。
第53段、仁和寺の法師が宴会の座興にふざけて鼎(かなえ)をかぶったら、
抜けなくなったというお話です。
すっぽり鼎をかぶった羽織姿が体を支えてもらいながら、医師に脈を診てもらっていて、
横では小僧さんが薬研で薬を作っています。
医師には「かかることは文にも見えず、伝へたる教へもなし」と、匙を投げられ、
結局皆で力任せに鼎を引き抜いて、命は助かっています。

「徒然草絵巻」第1巻 序段(部分) 海北友雪 
江戸時代 17世紀後半 サントリー美術館

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「徒然草絵巻」は243段のほとんどを20巻にまとめた絵巻で、詞書とおだやかな筆遣いの
挿絵によって構成されています。

第4巻 第41段(部分)
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賀茂の競馬の場面で、木に登って見物していた法師が居眠りをして木から落ちそうに
なっています。
それを見て人々が笑っているので、兼好は「われわれも明日がどうなるかは分からない
というのにそれに気付かず競馬を見て喜んでいるのは、あの法師と同じことだ」と語ると、
皆がその通りだと感心して、見物しやすい場所を空けてくれたという話です。
結局、兼好も競馬見物を楽しんでいる訳ですが、無常観の強かった時代の雰囲気を
表しています。

第8巻 第89段(部分)
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ある法師が夜道を帰るとき、猫又という化け物が出ると聞いていたので用心していたら、
本当に現れて法師に襲い掛かってきます。
驚き慌てて小川に落ちて、「助けよや、猫またよやよや」と叫び、近所の人が助けに来ます。
ところが、猫又と思ったのは、法師の飼い犬が主人が帰ってきたので飛び付いたのでした。
「よやよや」の言葉に法師の慌てようが表れています。

第9巻 第109段(部分)
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高名の木登りと呼ばれた男が、人を指示して枝を伐らせているとき、高い所にいる時は
何も言わず、低い所に降りてくると、「あやまちすな。心して降りよ」と注意します。
聞いていた人が、なぜ低い所になってから注意するのかと聞くと男は、「高い所では本人も
落ちるのを恐れているので声はかけません。恐れる落ちてしまうのは安心するほど
低くなってからなのです」と答えています。

この話や、初心者は二の矢を持って的に向かうなという話(第92段)、双六の名人の、
「勝たんと打つべからず。負けじと打つべきなり」との言葉(第110段)など、今も通じる
教訓が含まれているのも「徒然草」の魅力です。
このような、専門家への敬意というのは日本人の特徴と言えそうです。

第137段も展示されています。
「花は盛りに月は隈なきをのみ見るものかは」で始まる有名な章段です。
兼好の嗜好がよく表れていて、改めて読んでみるとうなずけるところが多くあります。
賀茂の祭りの行列が通り過ぎて行き、桟敷の畳なども片付けられて元の大路に戻っていく
様子に風情を感じると述べているところなど、深い共感を覚えます。

第20巻 第243段(部分)
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最後の段で、会場の最後に展示されています。
数え年8歳の頃の兼好が父に、仏は誰に教えられて仏になったのか、最初に教えた仏は
どんな仏なのか問い続けて、とうとう父は答えられなくなったという話です。
父親の袖を掴んで答えを迫っている幼い兼好が描かれています。
ちょっとした自慢話と懐旧の心が混じり合った、最終段にふさわしい微笑ましいお話です。


「徒然草絵巻」を描いた海北友雪(1598-1677)の作品も何点か展示されています。

海北友雪は海北友松(1533-1615)の子で、明智光秀の重臣で友松と交流のあった斎藤利三が
磔刑にされたとき、その遺骸を友松が丁重に葬ったことから、利三の子である春日局は友雪を
庇護しています。

「一の谷合戦図屏風」 六曲一双(右隻) 海北友雪 
 江戸時代 17世紀 埼玉県立歴史と民俗の博物館

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扇面画に見えますが、実際は大きな屏風です。
平家物語の一場面で、沖の船に逃げようとする平敦盛を熊谷直実が扇をかざして
呼び戻しているところです。
左隻は逆に金地に紺色の扇面になっていて、萌黄縅の鎧を着け、連銭葦毛の馬に乗った
敦盛が海の中で振り向いています。


絵巻を読み進めていくと、こんな話があった、これは覚えていないなど、いろいろなことが
思い浮かびます。
改めて徒然草をゆっくり読み返してみたくなりました。

展覧会のHPです。


サントリー美術館の次回の展覧会は、「ボヘミアングラス 耀きの静と動」展です。
会期は8月2日(土)から9月28日(日)までです。

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【2014/06/20 20:50】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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