山種美術館 「琳派から日本画へ」 その2
半蔵門・九段下
chariot

前回書いた『「琳派から日本画へ」その1』の続きです。

近代日本画の名品を数多く集めている、三番町の山種美術館では
「琳派から日本画へ」という題の展覧会が開かれています。

山種美術館の並びの石垣には萩の花が咲いていました。

萩


琳派は大胆な画面構成と装飾性、たらし込みのような水墨の技法に特徴がありますが、
近代日本画にも伝えられています。

近代日本画の部の最初には加山又造の「裸婦習作」が展示されています。
小品ですが、輝く銀色の地の豪華な織物を背景に裸婦を描いた、きわめて
装飾性の高い作品です。

加山又造は華麗な装飾性の際立つ人で、琳派といえばこの人は欠かせません。
なお、国立新美術館では2009年1月21日から3月2日まで加山又造展が
開かれるとのことです。

速水御舟の「名樹散椿」は京都の地蔵院の五色八重散り椿という、花びらが一枚づつ
散る珍しい椿を描いたものです。
速水御舟は、するどい、すご味を感じさせる絵を描く人です。
この作品も、琳派の装飾的な手法によりながら、幹はうねりながら伸び広がり、
花を付けた枝葉はかたまりになってなだれ落ちて、有無を言わさぬ迫力があります。

東山魁夷の「満ち来る潮」は皇居新宮殿を飾った作品と同じ題材ですが、
横長の大画面いっぱいに春の潮が寄せています。
暖かい緑色の潮に金とプラチナのしぶきが散り、装飾性の高い作品です。
山種美術館が茅場町にあった時によく展示されていたので、私にも懐かしい絵です。

前田青邨の「大物浦」は源頼朝に追われた源義経一行が摂津の大物浦から
船出したところ、嵐に遭って散り散りになってしまったという史実を描いています。
大画面の絵で、鎧武者達を乗せた舟が一艘、波に揉まれる様が描かれています。

一面に、たらし込みの技法で塗られた深い藍色の波は観る人を引き込む力があり、
緊張感にあふれた作品となっています。
私はこの絵が院展に出品された時に観ており、その迫力に圧倒されました。

この絵は、今回は出品されていませんが、「知盛幻生」という、千切れた鎧を着け、
長刀を手にした平知盛達の亡霊が暗い波間から浮かび上がる様を描いた作品と
対になっています。
この2作品は能の「船弁慶」を題材にしていると思われますが、歴史画の大家である
前田青邨の傑作です。

このように、琳派の技法、思想は近代日本画に受け継がれ、それを豊かなものにしています。


帰りに通った千鳥ケ淵の桜並木です。

千鳥ケ淵

幹の曲がり具合も屏風絵に見えてきます。


【2008/11/18 20:02】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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