「プラハ国立美術工芸博物館所蔵 ボヘミアン・グラス 耀きの静と動」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
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六本木のサントリー美術館では、「プラハ国立美術工芸博物館所蔵 ボヘミアン・グラス
耀きの静と動」展が開かれています。
会期は9月28日(日)まで、休館日は火曜日です。

つ018


チェコ共和国周辺で発展したボヘミアン・グラスの歴史をプラハ国立美術工芸博物館の
所蔵する170件で紹介する展覧会です。

第1章 中世後期:14~15世紀

4点が展示されています。
ボヘミアに多くのガラス工場が作られたのは15世紀後半以降とのことです。
緑色か茶色の物が多く、まだ素朴な感じです。


第2章 ルネサンスとマニエリスム:1550~1650年頃

多様な器形が現れてきます。
エナメル絵付けや、ガラスを削るエングレーヴィングの技法が行なわれるようになります。

「ザクセン選帝侯クリスティアン2世肖像文パネル」 カスパー・レーマン(エングレーヴィング)
/プラハまたはドレスデン 1602年または1606年

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神聖ローマ帝国皇帝を選挙する権利のあるザクセン選帝侯クリスティアン2世
(1583~1611)の即位を記念して制作されたものと思われます。
下の方にザクセン選帝侯の紋章が彫られています。
カスパー・レーマン(1563または1565~1622)はプラハで最初にエングレーヴィングを
ガラス装飾に取り入れています。


第3章 バロックとロココ:1650~1790年頃

透明度の高いカリ石灰ガラス素地が開発され、カットやエングレーヴィングを多用した
無色透明な器の生産が拡大します。

「コロウラット家紋章文蓋付ゴブレット」 ボヘミア 1720年頃
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展示室の最初に置かれていて、高さ60㎝ほどはある、とても大きな作品です。
蓋の先からステム(脚)までカットが施され、繊細なエングレーヴィングでおおわれています。

「四季寓意文二層蓋付ゴブレット」 ボヘミア 1730-40年
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2層のガラスの間に金箔を挟むゴールドサンドイッチの技法です。
古来からある技法ですが、18世紀のボヘミアでよく行なわれていました。
金色が華やかに輝いています。

「狩猟文瓶」 ダニエル&イグナッツ・プライスラーの工房(絵付)
/ボヘミア(ガラス)  1725-30年

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鉛筆画のように陰影のある表現の出来る、シュヴァルツロット(黒エナメル彩)という
技法も発展します。


第4章 古典主義、帝政様式、ビーダーマイヤー様式、ロココ・リヴァイヴァル:
     1800~1865年頃

19世紀は古代ギリシャ・ローマへの憧れからシンプルな形の古典主義様式が盛んになります。
やがて、ナポレオンの没落に伴う王政復古により政治的情熱の醒めた人々は身近な物事に
関心を向けるようになり、ビーダーマイヤー様式が現れ、色ガラスが好まれるようになります。

「男性肖像文ビーカー」 ドミニク・ビーマン(エングレーヴィング)/ハラフ・ガラス工場、
クルコノシェ山脈ノヴィー・スヴェット[ノイヴェルト](ガラスとカット)  1830年以前

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1815年にナポレオン軍をワーテルローで破ったイギリスの初代ウェリントン公爵、
アーサー・ウェルズリー(1769~1852)の肖像で、特徴のある鷲鼻も
表現されています。
ドミニク・ビーマン(1800~1857)は肖像画彫刻で有名な彫刻師です。

一方のナポレオンの使用していた旅行用タンブラーが、2011年に東京都庭園美術館で
開かれていた、「国立エルミタージュ美術館所蔵 皇帝の愛したガラス」展に展示
されていました。

「皇帝の愛したガラス」展の記事です。

ヨーロッパを代表するガラスのヴェネチアン・グラスの産地、ヴェネツィア共和国は
ナポレオンがイタリア派遣軍司令官として1796~97年に北部イタリアに侵攻した
イタリア戦役で滅亡し、ヴェネチアン・グラスも大きな打撃を受けています。

サントリー美術館では、2011年に「あこがれのヴェネチアン・グラス」展が
開かれていました。

「あこがれのヴェネチアン・グラス」展の記事です。

「最後の晩餐文蓋付ゴブレット」 北ボヘミア(エングレーヴィングと絵付)
/ハラフ・ガラス工場、クルコノシェ山脈ノヴィー・スヴェット[ノイヴェルト](ガラスとカット)
1840年頃

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淡いオレンジ色のゴブレットで、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」が彫られています。
ナポレオンのイタリア戦役では、「最後の晩餐」が壁に描かれていた部屋は軍馬の厩舎に
使われるという扱いを受けていました。

「小椅子の聖母文ビーカー」 アントン・ハインリッヒ・プファイファー(エングレーヴィング)
/ハラフ・ガラス工場、クルコノシェ山脈ノヴィー・スヴェット[ノイヴェルト](ガラスとカット)
1845年頃

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鮮やかな紅色の素地にラファエロの「小椅子の聖母」が彫られています。


第5章 歴史主義:1860~1890年頃

19世紀後半の西欧では、歴史的様式に着想を得ながら美術工芸品の質の向上を目指す
改革運動が起きています。
ボヘミアではガラス工芸専門学校が設立されています。


第6章 アール・ヌーヴォー、アール・デコ、機能主義:1890年頃~第2次世界大戦

19世紀末から20世紀初頭のアール・ヌーヴォー、それに続くアール・デコの時代です。

「花器」 ヨハン・レッツ・ヴィドフ[ヴィトヴェ]ガラス工場、
クラーシュテルスキー・ムーリン[クロスターミューレ](製作)  1902年

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曲線的で流れるような模様のアール・ヌーヴォー様式です。

第7章 1945年から現代まで

第2次世界大戦後のボヘミア・グラスは各地の万博で高い評価を受け、チェコスロバキアの
ガラス産業は政府の手厚い保護を受けます。

「ヘッドI」 スタニスラフ・リベンスキー、ヤロスラヴァ・ブリフトヴァー(デザイン)/
ジェレズノブロツケ・ガラス工場、ジェレズニー・ブロド(製作) 1958-59年

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スタニスラフ・リベンスキーと妻のヤロスラヴァ・ブリフトヴァーは鋳造ガラスを開発しています。
この作品は写真では顔があるように見えますが、実際は円筒形で、空洞になった内側に
顔が彫ってあり、外からそれが浮いて見えるようになっています。

戦後のボヘミア・グラスは器としての域を超えたさまざまなアート作品になっていて、
とても面白いものがあります。

カットとエングレーヴィングを持ち味とするボヘミア・グラスの魅力を伝える、
夏にふさわしい涼さのある展覧会です。

展覧会のHPです。


サントリー美術館8月12日(火)は「まるごといちにちこどもびじゅつかん!」になります。
小中学生とその保護者が対象で、入館は無料です。
大人のみでの入館はできません。


サントリー美術館の次回の展覧会は、「高野山開創1200年記念 高野山の名宝」展です。
会期は10月11日(土)から12月7日(日)までです。

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