「絵画の時間 24のエピソード」展 ブリヂストン美術館
京橋・東京
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京橋のブリヂストン美術館ではコレクション展、「絵画の時間 24のエピソード」が開かれています。
会期は9月23日(火・祝)までです。

絵画001


約160点の作品が「時間」に注目した24のエピソードとともに展示されています。

第1室 伝統から近代へ

印象派以前の作品の展示です。

レンブラント・ファン・レイン 「聖書あるいは物語に取材した夜の情景」 
 油彩・銅板 1626~28年

色004

とても小さな作品で、火の周りで男たちが話をしていて、鎧を着た男も見えます。
新約聖書に書かれた、「ペテロの否認」の場面でしょうか。

ギュスターヴ・クールベ 「雪の中を駆ける鹿」 1856-57年頃
絵画002

飛び出してきた鹿の一瞬の姿を捉えています。
狩猟は当時人気の合った画題とのことで、注文も多く、クールベもよく描いています。

第2室は順路の最後にあり、第3室は古代美術です。


第4室 印象派へのいざない

ピエール=オーギュス・ルノワール 
「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」 1876年


東2-4-2010_003

この作品を中心にルノワールは5点、展示されています。

ブリヂストン美術館を代表する作品で、1階のカフェ、「ジョルジェット」も
彼女の名前に由来します。

印象派時代の、まだ無名で絵の売れないルノワールに最初に注目したのは
出版業を営むジョルジュ・シャルパンティエです。
彼の依頼で、当時4歳の娘を描いたものです。
まだ足の届かない、大人用の椅子に座らせることでジョルジェットの可愛さを
強調しています。
ルノワールは、家族を描いた、「シャルパンティエ夫人と子供たち」で、
肖像画家としての評判を得たとのことです。


ギュスターヴ・カイユボット 「ピアノを弾く若い男」 1876年
ブリ003

1876年の第2回印象派展に出品された作品の一つです。

ピアノを弾いているのは弟で、パリの裕福な家庭の一こまを見せています。
グランドピアノの奥行き、窓の位置など、カイユボットらしい考えられた構図です。
床の絨緞、壁紙、カーテンの模様も細かく描かれて華やかです。

第5室 モネ、そして印象派以降

モネとセザンヌを中心にした展示です。

クロード・モネ 「黄昏、ヴェネツィア」 1908年頃
9.jpg

67歳のモネが2番目の妻、アリスとヴェネツィアを訪れた時の作品です。
静養のつもりが、ヴェネツィアの光に魅了されて制作に没頭したそうです。
尖塔のあるシルエットがサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会で、
右側にぼんやり見えるのはサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂です。
夕暮れのひと時、空と海が溶け合い、虹のように輝いています。
モネの手紙には、老いを忘れ去り、甘美な時間を過ごした、とあります。

ポール・セザンヌ 「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」
 1904-06年頃

b004.jpg

シャトー・ノワールとは黒い城という意味で、サント=ヴィクトワール山と
シャトー・ノワールを共に描いた作品は少ないそうです。
頑固なほどにどっしり安定していて、対象の本質を描こうとしたセザンヌらしい
風景画です。

第6室 マティスとフォーヴィズム

マティスの6点を中心にフォーヴィズムの画家たちの展示です。

アンリ・マティス 「縞ジャケット」 1914年
b012.jpg

長女のマルグリット、20歳を描いています。
激しい色彩のフォーヴィズム時代が終わり、実験的な時代の作品とのことです。
色彩も筆遣いも軽やかで心地良く、マティスの特質が表れています。

モーリス・ド・ヴラマンク 「運河船」 1906年
セ010

ヴラマンクのフォーヴィスム時代の作品で、強烈な色彩が目を惹きます。
シャトゥーの対岸の工場地帯の景色で、シャトゥーはヴラマンクとドランが
共同でアトリエを使っていました。

アルベール・マルケ 「道行く人、ラ・フレット」 1946年
セ011

マルケの亡くなる前の年の作品です。
土手をのんびり歩いている人の姿には東洋画のような味わいがあります。
マルケは画学校でマティスやルオーの同窓ということで、マティスたちの
フォーヴィズムに加わりますが、作風は荒々しいフォーヴィズムとはかなり異なり、
色彩も柔らかく、穏やかです。


第7室 世紀末から20世紀へ―内面を見つめる世界

ルドン、ルオーなどの展示です。

ジョルジュ・ルオー 「郊外のキリスト」 1920-24年
ルオー005

生まれ育った貧しい街でルオーの見た、母親が子供を連れ、食を乞うため
一軒一軒回っている状景を元にした作品で、母親はキリストとなって描かれています。
1929年に日本に紹介され、日本でのルオーの理解と普及に貢献した作品
とのことです。


第8室 ピカソからキュビズムの周辺

ピカソの油彩画6点を中心にした展示です。

パブロ・ピカソ 「腕を組んですわるサルタンバンク」 1923年
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第一次世界大戦中に訪れたイタリアで観た古典文化にインスピレーションを受け、
それ以前のキュビズムから新古典主義に移った時代の作品です。
古代彫刻のような顔立ちで端然と腰かけていて、色彩も明快です。
サルタンバンクとは大道芸を行なう最下層の芸人ですが、この作品のサルタンバンクは
物静かで高貴さも漂わせています。
ピカソの自画像の一種でもあるとのことです。
元はピアニストのホロヴィッツの居間を飾っていて、ブリヂストン美術館は
1980年にオークションで入手したとのことです。

アンリ・ルソー 「イヴリー河岸」 1907年頃
セ009

おもちゃのような家と人形のような人たちは現実感から離れていて、
飛行船には浮遊感が漂います。
その非現実性の中に不思議な懐かしさがあります。

ラウル・デュフィ 「オーケストラ」 1942年
絵画005

音楽の好きだったデュフィの作品で、湧き上がる音楽が聞こえてくるようです。
ティンパニやシンバルも鳴っていて、交響曲のクライマックスの場面でしょうか。

第9室 20世紀美術の広がり

エコール・ド・パリの画家を中心にした展示です。

藤田嗣治 「猫のいる静物」 1939-40年
ブリ007

スペインのファン・サンチェス・コタン(1560-1627)の静物画の構図に
倣っていますが、飛び立つ鳥と藤田得意の猫が画面に動きを添えています。
きわめて細く均一な線描を観ると、藤田の技量の高さがよく分かります。


ベルナール・ビュフェ 「アナベル夫人像」 1960年
絵画004

黑く太い線描が勢いよく上から下に伸び広がっていて、極端に長い手の表現が印象的です。
赤と白の対比も効いています。


第10室 抽象への道

ザオ・ウーキー 「07.06.85」

東2-4-2010_004

抽象画の展示の中でとりわけ印象に残る作品で、立ち上がる波のような深い青色に
引き込まれます。
ザオ・ウーキーの作品には東洋画の雰囲気があります。
2013年に亡くなった時、ブリヂストン美術館では「追悼 ザオ・ウーキー」として、
作品9点を展示していました。


第2室 日本の洋画

浅井忠から梅原龍三郎まで、日本の洋画の展示です。

小出楢重 「帽子をかぶった自画像」 1924年
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小出楢重の自画像は8点あり、全身像はこの作品だけとのことです。
夏物の背広を着て絵筆を持ち、イーゼルの前に立つ姿は颯爽としています。
ラッパと黒い帽子はフランスで買ったもので、お気に入りの品とのことです。
出世作となった、暗くて不機嫌そうな「Nの家族」や、不気味な雰囲気の漂う、
絶筆の「枯木のある風景」とはかなり違い、いかにも脂の乗った感じがします。

安井曾太郎「F夫人像」 1939年

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美術評論家で収集家、福島繁太郎の慶子夫人の肖像です。
左肩を極端に下げた姿勢で、顔と帽子は小さく、組んだ足は大きく描いて、
遠近感を出しています。
色彩も明るく華やかで、スカーフや髪の黒、帽子や唇の赤がグレーの
縞の服に映えます。
慶子夫人は、わざと描きにくい縞柄の服を着て、安井曾太郎を試したという
ことですが、そんな慶子夫人の性格まで描き出されています。

第2室の椅子に座っていると、「帽子をかぶった自画像」と「F夫人像」からの
自信ありげな視線を前と横から受けることになります。


展覧会のHPです。


次回の展覧会は「ウィレム・デ・クーニング展」です。
会期は10月8日(水)〜2015年1月12日(月)です。

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【2014/08/31 19:59】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(2) |
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  • こんばんは。
  • ルソーの絵は写実などの約束から外れているので、何だか自分でも描けそうな気がして、親しみが持てます。
    美術の教育を受けなかったことがかえって良かったのでしょう。
    ピカソの新古典主義時代の絵は、安定感があります。
    「サルタンバンク」の赤も静かで、画面は落着いています。
    「ゲルニカ」などの激しさとはかなり違いますね。

    【2014/08/31 22:42】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 基本全く無視
  •  ルソーの絵は基本を全く無視してます。大きさはデタラメだし、遠近関係ないし、デッサンもめちゃくちゃ。なのに、何故か惹かれる不思議な絵です。ポスターにするには最適なんですよね。
     ピカソは後年の有名な奴より、此の頃の絵の方が良いですね。色はがんがん使っているのになぜか抑えられている様な、イメージ的には灰色になってしまう不思議な所が好きです。

    【2014/08/31 21:33】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















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    【2014/09/01 19:32】

    blog_name=【Star Prince JUGEM】 ♥   絵画の時間 24のエピソード
     
    ブリヂストン美術館で今日8月2日から開催された絵画の時間 24のエピソードを見てきました。ブリヂストン美術館コレクション展Time and the Painting-24Episodes夏休みの関係で子供を多く見かけました。絵画は約120点展示され、今までに見たものが大半ですが特に印象に残ったのはジャン=パティスト 水浴 アングル 若い女の頭部 コロー ヴィル・タヴレー ルノワール すわるジ...
    【2014/09/01 19:32】

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