「あしたのジョー、の時代展」 練馬区立美術館
中村橋
chariot

練馬区立美術館では、「あしたのジョー、の時代展」が開かれています。
会期は9月21日(日)までです。

ジョー001


高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや作画の「あしたのジョー」は1967年暮れから
1973年まで「週刊少年マガジン」に連載されています。

展覧会では、ちばてつやの原画を中心に、「あしたのジョー」の世界を再現し、
併せて同時代の芸術作品の展示により当時の社会状況、雰囲気を伝えています。

入館券にはミシン目が入っていて、切り抜いて折ると立たせることが出来ます。

ジョー007

「立つんだ、ジョー」


扉絵原画 「週刊少年マガジン」 1968年1月1日号
ジョー002

矢吹丈が登場する場面です。
流れ着いたドヤ街の景色で、道は舗装されておらず、街灯は白熱灯、トタン屋根、
塀に埋めたガラス片、ストの貼り紙、遠くにはのこぎり屋根の工場が見えます。

扉絵原画 「週刊少年マガジン」 1972年4月9日号
ジョー005

ジョーとドヤ街の子どもたちです。
遠くにのこぎり屋根の工場と煙突、ガスタンク、トタン屋根、石置き屋根が見えます。
ジョーはこのドヤ街でトレーナーの丹下段平と出会い、ボクシングの道を進むことになります。

山田卓司 「泪橋の丹下拳闘クラブ」 ジオラマ 2014年 作家蔵
段平のボクシングジムは泪橋の下にある木造バラックで、木の橋板が天井になっていています。
洪水になったらどうなるのだろうかという場所です
泪橋は荒川区南千住に実際にあった橋の名です。

ジョーと段平の出会いは、飲んだくれて溝にはまって寝ていた段平をジョーが知らずに
踏んでしまったことによるもので、矢作橋で寝ていた木下藤吉郎を蜂須賀小六が
踏んだという俗説を思い出します。

扉絵原画 「週刊少年マガジン」 1971年8月8日号
ジョー004

「あしたのジョー」は多くの青年の共感を集め、日本航空「よど号」をハイジャックした赤軍派は
「われわれは明日のジョーである」と声明を出し、三島由紀夫は毎号欠かさず読んでいた
ということです。

ボクシングという、時には命を掛け、相手の肉体を攻撃する、スポーツを超えた
闘争の世界の物語であることも共感を得た理由でしょう。

扉絵原画 「週刊少年マガジン」 1970年2月8日号
ジョー006

宿命のライヴァル、力石徹との対戦での力石の見せたポーズです。
この両腕をだらりと下げ、ファイティングポーズを取らないのは元はジョーの戦法でした。

力石はこの戦いに勝った直後に急死しますが、フィクションにもかかわらず、
800人もが参列する葬儀が行われ、寺山修司が葬儀委員長を務めています。

ジョーと力石が出会った所は高等少年院ですが、ここで豚の群れを疾走させて
その隙に脱走しようとしたジョーに対し、
豚を叩きのめして妨害したのが力石でした。
豚の疾走は福音書に書かれている、イエスの業を示す出来事の一つです。

対戦相手のカーロス・リベラがドヤ街を訪れ、公園のベンチでギターの弾き語りをする
場面があります。

ひたいをおつる玉の汗
化して垂穂の実となりぬ

これは讃美歌の一節で、ちばてつやの作品にはキリスト教の要素も入っています。

ジョーは自分に想いを寄せる林紀子に、なぜボクシングにそんなに打ち込むのか訊かれ、
ボクシングには不完全燃焼な人生では得られない魅力があると答えています。

ほんのしゅんかんにせよ
まぶしいほどまっかに燃えあがるんだ
そしてあとにはまっ白な灰だけがのこる
燃えかすなんてのこりゃしない
まっ白な灰だけだ

この言葉は同時代人である団塊の世代の人たち、そして後の世代の人たちにとっても
重い問い掛けになります。
自分は不完全燃焼ではなく、真っ赤に燃え上がり、真っ白な灰になったことがあるのか、
なれるのかと。

扉絵原画 「週刊少年マガジン」 1973年4月22日号
ジョー003

「あしたのジョー」のラストシーンです。

燃えたよ
まっ白に燃えつきた
まっ白な灰に

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【2014/08/17 20:32】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんばんは。
  • たしかにあの頃は少年少女マンガの百花繚乱の時代と言えます。
    私は「おそ松くん」や「ハレンチ学園」などナンセンスマンガのファンでした。
    私も灰になるほど燃えたことなど無いので、今でもこのシーンにはたじろいでしまいます。

    【2014/08/17 23:57】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • なつかしい・・・
  • まさに、リアルタイムで読んでいました。
    『マガジン』以外に『サンデー』、『キング』、『チャンピオン』と週刊マンガ誌の戦国時代でしたね。

    あしたのジョーは確かに面白かったのですが、私は密かに週刊『マーガレット』の『ベルサイユのバラ』のファンでした・・・。^^

    私はいまでも埋み火状態で、完全燃焼など夢のまた夢です。


    【2014/08/17 22:46】 url[周凍 #ghTpOKX6] [ 編集]
    please comment















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