「明治天皇を支えた二人 三条実美と岩倉具視 - 一代絵巻が物語る幕末維新」展 三の丸尚蔵館
大手町
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宮内庁三の丸尚蔵館では、「明治天皇を支えた二人 三条実美と岩倉具視 -
一代絵巻が物語る幕末維新」展が開かれています。
会期は9月28日(日)までです。
休館日は月曜・金曜で、入館は無料です。

三条001


明治維新の宮中活動の中心人物で、明治天皇を支え続けた三条実美(さんじょうさねとみ:
1837~91)と岩倉具視(いわくらともみ:1825~83)の業績を描いた絵巻物の展示です。

岩倉の没後に明治天皇の下命により開始された両名の年譜編纂事業に続き制作された絵巻で、
作者は田中有美(たなかゆうび:1840~1933)です。

田中有美は長く宮中関係の御用を務めた画家で、平家納経などの模写で知られる田中親美
(たなかしんび:1875~1975)
の父でもあります。

「三条実美公事蹟絵巻」24巻,田中有美(詞 東久世通禧),明治34年

文久2年(1862年)、幕府に攘夷を促す勅使として下向し、江戸城に入城するところです。

三条007

14代将軍徳川家茂自身が玄関で迎えていて、幕末に朝廷の権威が高まったことを反映して、
幕府の応対も丁重になっていることが分かります。

文久3年(1863年)、公武合体派の会津藩、薩摩藩らによる尊王攘夷派追放のクーデター
(8月18日の政変)により、三条実美らの尊王攘夷派と長州藩が京都を追われ長州に下った、
いわゆる七卿落ちの場面です。

三条005

画面は暗く、雨夜の道中の陰鬱な状況を表しています。
前年の勅使としての晴れやかな場面とは雲泥の差です。
展示室ではこの場面の直前の、長州の侍たちが武装してあわただしく集まる中で、
都落ちを決定する場面が展示されています。

この後憤激した長州藩は挙兵上洛して禁門の変を起こし、長州征伐を受けることになります。


「岩倉公画伝草稿絵巻」21巻,田中有美,明治23年頃

草稿となっているのは、岩倉公画伝の詞書の文章が決定せず、絵巻が完成しなかった
ことによるものです。

慶応3年(1867)12月9日、王政復古の大号令の同日に開かれた小御所会議の場面です。

三条008

三条009

三条010

明治天皇臨席で開かれた会議で、徳川家を排除しようとする岩倉や薩摩藩と、擁護する
土佐藩の山内容堂が激しく議論を戦わせました。
二ノ間の裃姿が山内容堂、三ノ間の敷居際で手を突いているのが薩摩の大久保利通、
大久保の左上で議論しているのが岩倉具視です。
三ノ間の侍たちは大名の家臣と思われ、二ノ間の山内容堂たちとの身分の違いを部屋の
違いで表しています。
侍たちは大刀はもちろん、小刀も帯びていません。
この会議では結局、薩摩藩が非常手段(容堂の暗殺)をほのめかして容堂をだまらせています。
8月18日の政変とは逆に徳川家が追放された訳で、この決定のために鳥羽伏見の戦いが起こり、
戊辰戦争が始まっています。

明治6年(1873)、西郷隆盛らとの征韓論争の場面です。

三条006

岩倉邸で岩倉と西郷隆盛、板垣退助、江藤新平らが征韓について議論しています。
和室に絨毯を敷いて椅子を置いた半洋風の部屋で、主客双方がが肩を怒らせて論争しています。
左から岩倉、西郷、板垣、桐野利秋、副島種臣、江藤新平です。
後にこの議論に敗れた西郷たちは下野し(明治6年の政変)、江藤は佐賀の乱、西郷は西南戦争を
起こし、板垣は自由民権運動の指導者となります。


「三条実万公事蹟絵巻」15巻,田中有美(詞 西園寺公望),明治37年

三条実美の父、三条実万(さんじょうさねつむ:1802~59)の事績を描いた絵巻も
展示されています。
三条実万は朝廷と幕府との連絡役である武家伝奏を務め、米国との条約締結について
幕府と交渉しており、安政の大獄では謹慎処分を受けています。

安政4年(1857)、米国領事、タウンゼント・ハリスが13代将軍徳川家定に米国国書
を奉呈しています。

三条002

三条004

三条003

襖絵に花鳥画の描かれた豪華な御殿で、家定は狩衣姿で上段の間に座し、
幕臣たちは大紋という正装でハリスを迎えています。
ハリスは国書を持って三ノ間に立ち、国書を受取る役の者が三宝を持って向かい合っています。
家定が台の上に座っているのは、立って挨拶するハリスと高さのバランスを取るための工夫と
思われます。
この頃は幕府もまだ権威を保っていました。


幕末維新の重要な出来事が題材になっており、当時の儀礼・習慣なども克明に描き込まれた、
とても興味深い絵巻なので、是非、全巻の内容を観たいものです。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「天皇陛下傘寿記念特別展」です。
会期は10月18日(日)~12月23日(火・祝)の予定です。

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【2014/09/18 19:56】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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