「名画を切り、名器を継ぐ 美術にみる愛蔵のかたち」展 根津美術館
表参道
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表参道の根津美術館では新創開館5周年記念特別展、「名画を切り、名器を継ぐ 
美術にみる愛蔵のかたち」が開かれています。
会期は11月3日(月・祝)までです。

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切断されて改装された絵巻や古筆、破損して補修された茶道具など、制作時とは異なる形に
改変された古美術品を集めて展示する展覧会です。
古画、古書は仕立て直されることが多く、陶磁器の優品は補修され、その補修の跡まで
愛でられたりもします。

「漁村夕照図」 牧谿筆 中国・南宋時代 13世紀  根津美術館蔵 国宝
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10月19日までの展示です。
牧谿の描いた「瀟湘八景」の中の一つで、元は一続きの巻物を足利義満が
座敷飾りのために切断したと考えられています。
水気の多い江南の風景を薄墨で淡く表していて、山々の連なりにはリズムがあります。
画面右の木立には長く夕陽が差していて、夕暮れの一ときの印象を描き出しています。

「佐竹本三十六歌仙絵 斎宮女御」(部分) 鎌倉時代 13世紀 個人蔵 重要美術品
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10月13日までと、10月28日から11月3日までの展示です。
斎宮女御は醍醐天皇の孫で、伊勢斎宮を務め、後に村上天皇の女御となったことから
斎宮女御と呼ばれています。
その身分の高さから、几帳と屏風を立て、畳の上にいる姿で描かれています。

添えられている歌は斎宮女御の代表作です。

 ことのねにみねの松風かよふらしいづれのおよりしらべそめけむ

「佐竹本三十六歌仙絵 小野小町」(部分) 鎌倉時代 13世紀 個人蔵 重要文化財
10月13日までの展示です。
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 いろ見えてうつろふものはよの中の人のこゝろのはなにぞありける

絶世の美女ということで、顔は見せないで描かれています。

「佐竹本三十六歌仙絵 小大君」(部分) 
 鎌倉時代 13世紀 大和文華館蔵 重要文化財

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10月13日までの展示です。

 いはゞしのよるのちぎりも絶ぬべしあくるわびしきかづらきの神

佐竹本三十六歌仙絵は元は大名の佐竹家に伝わった2巻の絵巻だったものです。
大正時代に売りに出され、新しい所有者も第一次大戦後の不況で手放すことになった時、
このままだとあまりに高額で買い手が付かないため、大正8年(1919)年に巻頭部分の
「住吉明神」を含め37枚に切断され、購入希望者にくじ引きで絵を割り当てて売却されています。
これを決めたのは三井物産の設立者で茶人としても有名な益田孝(鈍翁)で、
自身はもっとも華やかな「斎宮女御」を入手しています。

佐竹本の中でも評判の高い女性3人を一度に観られるというのも、中々無い機会です。

「平治物語絵巻断簡(六波羅合戦巻)」 鎌倉時代 13世紀 個人蔵
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平安末期の平治元年に起こり、源義朝と平清盛が戦った平治の乱を描いています。
弓を持った騎馬武者と長刀を手にした徒歩武者が駆けています。
ボストン美術館所蔵の「三条殿夜討巻」や東京国立博物館所蔵の「六波羅行幸巻」と
同じセットの「六波羅合戦巻」の断簡で、破損した1巻から切り取ったと推定されています。
白描部分は東京国立博物館の所蔵する摸本で、パネル展示されています。

「平治物語絵巻断簡(六波羅合戦巻)」 鎌倉時代 13世紀 大和文華館蔵
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10月15日からの展示です。
鎧の袖に矢の刺さった武者もいます。

「石山切 伊勢集」 伝藤原公任筆 平安時代 12世紀 個人蔵
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3.4行目の歌

 なつのひのもゆるわがみのわびしさに
 みずこひどりのねをのみぞなく

「石山切」は白河天皇の六十の賀を祝って制作された、「西本願寺本三十六人家集」の
うち、「貫之集下」と「伊勢集」のことです。
西本願寺の所蔵でしたが、昭和4年(1929)に2つの集が分割され、
断簡になった時に付けられた名です。
昔は本願寺が石山(後の大坂城)にあったことにちなんでいます。
料紙には草花や鳥、蝶の文様が描かれ、金銀箔が散らされています。
分割されたのは昭和4年(1929)で、1枚の紙を剥いで表裏2ページにしてそれぞれ売却し、
女子大学創設のための資金としています。

「伊勢物語 梓弓図(旧金谷屏風)」 
 岩佐又兵衛筆 江戸時代 17世紀 文化庁蔵 重要文化財

「弄玉仙図(旧金谷屏風)」 岩佐又兵衛筆 
 江戸時代 17世紀 千葉・滴水軒記念文化振興財団蔵 重要文化財


元は福井藩主から豪商の金屋家が拝領した屏風で、後に掛軸に仕立てられています。
岩佐又兵衛の福井時代の作で、力がみなぎっています。

「刀 無銘 切り付け銘 名物 籠手切正宗」 
 鎌倉時代 14世紀 東京国立博物博物館蔵


織田信長が越前の朝倉氏から奪った後、磨り上げて短くした刀です。
茎(なかご)にまで刀身の樋が続いているので、磨り上げてあることが分かります。

「青磁輪花碗 銘 馬蝗絆」 南宋時代 13世紀 
 東京国立博物館蔵 重要文化財
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10月1日までの展示です。
平重盛の所持と伝えられる品です。
後に足利義政の所有となったときにひび割れが生じたので、明に送って代わりの品を
求めたところ、今ではこのような品は作れないとのことで、鎹(かすがい)を打って
修理してきたとの言い伝えがあります。
その鎹を大きな蝗(いなご)に見立てた命銘です。
ごく薄手の茶碗で、澄み切った青色をしており、優美な逸品です。

「青磁花生 銘 鎹(かすがい)」 
 南宋時代 13世紀 大阪市東洋陶磁美術館蔵 

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割れた部分を鎹(かすがい)で補修してあることから、この名が付いています。

「青磁貼花牡丹唐草文瓶」 
 龍泉窯 南宋~元時代 13−14世紀 京都・北野天満宮蔵

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高さ50.4㎝の大きな瓶で、胴に牡丹唐草文が貼り付けられています。
頸の部分の修理は豊臣秀吉の命によるものとされています。
京焼の永楽和全(1823-96)が別の陶片を使って継ぎ足す、呼び続ぎをした箇所もあります。

「獅子香炉」 瀬戸 室町時代 16世紀 根津美術館蔵 重要美術品
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元は狛犬の像で、千利休が口から後頭部を打ち割って、外せるようにして
香炉としたとされる品で、小堀遠州が所持していました。
実際には、割れてしまったので香炉として使うようにしたのだろうということです。

「大井戸茶碗 銘 須弥(別銘 十文字)」 
 高麗茶碗 朝鮮時代 16世紀 東京・三井記念美術館蔵

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戦国時代の武将、古田織部の所持とされる茶碗で、寸法を縮めるためか、
縦横十文字に切って、漆で継いであります
古田織部は芸術家気質の強かった人のようで、わざわざ茶碗を割って継ぐことで、
自分の美意識を持ち込んだりしていて、そのことは司馬遼太郎の短編小説、
「割って、城を」にも書かれています。

「赤楽茶碗 銘 木守」 長次郎作/ 楽惺入補作 陶器 
 桃山時代 16世紀/昭和時代 昭和9年(1934) 香川・高松松平家歴史資料

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千利休の孫、千宗旦から武者小路千家に伝わり、高松松平家の所蔵となった茶碗ですが、
関東大震災で焼け、破片になっています。
その破片の一つを組み込んで楽家13代惺入が昭和9年(1934)に再現した品です。
赤楽茶碗で、柿の葉が実に貼り付いているように見えます。


展示室5は源氏絵と伊勢絵の展示です。

源氏物語や伊勢物語の各場面が屏風や冊子に描かれています。

「源氏物語画帖 若紫」 伝土佐光起 江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
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有名な垣間見の場面です。
のどかな春の景色の中を雀が逃げて行きます。


展示室6のテーマは「秋光を楽しむ茶」です。
晩秋を楽しむ茶道具約20件が展示されています。

茶室の掛軸は伝西行筆の色紙です。

 せきでらや人もかよわずなりぬればもみぢゝりしくにはのをもかな

「正木手茶入 銘 正木」 瀬戸 江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
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二色の釉薬でくっきりと色分けされ、正木の紅葉になぞらえて、この銘が付けられています。


今回の展覧会は根津美術館の新創開館5周年記念ということもあり、名品、優品の揃った、
とても充実した展覧会です。
会期中、かなりの展示替えがあるので、展覧会のHPの中の出品リストをご確認ください。

展覧会のHPです。


次回の展覧会はコレクション展、「誰が袖図-描かれたきもの-」です。
会期は11月13日(木)から12月23日(火・祝)です。

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【2014/09/28 19:37】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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