「輝ける金と銀―琳派から加山又造まで―」展 山種美術館
恵比寿
chariot

恵比寿の山種美術館では特別展、「輝ける金と銀―琳派から加山又造まで―」が
開かれています。
会期は11月16日(日)までで、10月19日(日)までの前期と10月21日(火)からの後期で、
一部展示替えがあります。

金001


日本の絵画での金と銀のさまざまな使われ方を紹介する展覧会です。
それぞれの技法のサンプルも展示してあります。

加山又造 「千羽鶴」 1977(昭和52)年
速水0037

番浦史郎制作の陶板に絵付けした作品で、受付横に飾ってあります。


第1章 伝統に挑む ―近代日本画に受け継がれた金と銀―

松岡映丘 「春光春衣」1917(大正6)年
金銀006

部分
金銀007

会場の最初に展示されています。
松岡映丘は大和絵の復興を目指し、古画や有職故実を研究して作品を描いています。
金箔を四角く切った切箔、細く切った野毛、粒にした金砂子を散りばめ、
華麗な王朝絵巻を再現しています。

藤原定信 「石山切(貫之集下)」 平安時代・12世紀 重要美術品
りん002

前期の展示です。
「石山切」は白河天皇の六十の賀を祝って制作された、「西本願寺本三十六人家集」の
うち、「貫之集下」と「伊勢集」のことです。
西本願寺の所蔵でしたが、昭和4年(1929)に2つの集が分割され、断簡になった時に、
昔は本願寺が石山(後の大阪城)にあったことにちなんでつけられた名です。
料紙には銀泥を使って草花、鳥、蝶の文様が描かれ、金や銀の箔が散らされています。

右側の歌です。

  いたづらによにふるものとたかさごのまつもわれをやともとみるらむ


「新古今集鹿下絵和歌巻断簡」 俵屋宗達(絵) 本阿弥光悦(書) 
 17世紀前半(江戸初期)
金銀009

前期の展示です。
宗達と光悦の合作です。
画面上に金泥、下に銀泥を塗り、金泥を使った優美な筆遣いで、
振り返る鹿の姿を描いています。
歌は、新古今集の西行の作です。

  こころなき身にも哀はしられけり鴫たつ澤の秋の夕暮

元は巻物で、三井財閥の益田鈍翁の所蔵していたものが、戦後になって切り離され、
現在のような断簡になっています。

「四季草花下絵和歌短冊帖」 俵屋宗達(絵) 本阿弥光悦(書) 
 17世紀前半(江戸初期)
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短冊に金銀泥で四季の草花を描き、和歌を書いた短冊です。

「官女観菊図」 岩佐又兵衛 17世紀前半(江戸前期) 重要文化財
金銀008

前期の展示です。
乗った牛車の簾を上げ、道端に咲く菊を官女が眺めているところです。
料紙に金泥を薄く塗る、雲霞という下塗りを施した上に描かれていて、深みのある
画面になっています。
岩佐又兵衛の特徴とされる、豊頬長頤といわれる下ぶくれの顔で、墨一色の中に
唇と頬にわずかに紅を差しています。
又兵衛風といわれた人物画の最初の作品とのことですが、端正な中にも戦国の
名残の力強さを見せています。

元は福井の豪商、金屋家の所蔵の「金谷屏風」と呼ばれた屏風で、六曲一双だったものが、
明治時代になって別々に剥がされた、そのうちの1枚です。

酒井抱一 「秋草鶉図」 江戸時代・19世紀 重要美術品
江戸7-19-2010_003

薄、女郎花、露草、楓の茂る中にウズラが群れています。
薄の葉は細くリズミカルに描かれ、繊細で、デザイン感覚に満ちています。
銀の月も低く置かれ、落着いた風情と品の良い華やかさがあります。
月の黒いのは銀が酸化したのではなく、銀の上に黒を塗ってあるそうです。
ウズラは土佐派の好んだ画題で、この作品も土佐派に倣った画風です。
金箔地に描かれているので、照明の具合によってかなり作品の雰囲気が変わります。

横山大観 「喜撰山」 1919(大正8)年
大観001

百人一首の喜撰法師の歌を元にしています。
喜撰法師は京都の東南、宇治に住んでいたとされます。

 わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり

裏に金箔を押した鳥の子紙の表面を薄く剥いだ、金箋紙という紙に描いた
最初の作品で、明るく温かい地色が浮かんでいます。
京都の土の赤さを表現するために使ったと考えられるそうで、金箔の継ぎ目の線
(箔足)も見えます。

速水御舟 「名樹散椿」 1929(昭和4)年 重要文化財
速10-6-2009_009

2009年に山種美術館で開かれた、「速水御舟 -日本画への挑戦-」で、
「名樹散椿」を観た時の記事です。

横山大観 「木兎」 1926(大正15)年 
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森の中のミミズクです。
深々とした木立は墨の濃淡で表され、目にだけ金泥が入っています。
横山大観は動物好きだったそうで、この絵にも温かい眼差しが感じられます。

川端龍子 「草の実」 1931(昭和6)年 大田区立龍子記念館
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部分
金銀002

秋の自宅の庭に茂った雑草を描いています。
紺地に金泥やプラチナを使って描いていて、草の葉には立体感があります。
平安時代に制作された紺紙金字経の優美な色調に想を得た作品です。
雑草の揺らぎも経文の一節なのかもしれません。

第2章 新たなる試み ―戦後の日本画にみる金と銀―

山本丘人 「真昼の火山」 1959(昭和34)年
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浅間山でしょうか、金銀箔、金銀泥で埋め尽くされた作品です。
銀箔をちぎって貼るなどして、山容のごつごつした感じを出しています。

加山又造 「満月光」 1973(昭和48)年
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満月に照らされた浅間山で、噴煙は薄赤く染まり、人を畏怖させる神秘的な山容です。
近景には萩、薄、薊、竜胆、女郎花の秋草がやさしく装飾的に描かれ、雄大な山塊と
対照をなしています。
銀をふんだんに使って月の光を表しています。

加山又造 「華扇屏風」 1966(昭和41)年
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左隻
金銀011

右隻
金銀012

季節の花を描いた扇面を貼り並べた扇面散らし屏風です。
継ぎ紙、色の異なる銀箔、野毛、銀泥などを駆使した、加山又造らしい、
とても工芸的な作品です。

「憶昔(おくせき)」 小倉遊亀 1968(昭和41)年
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古九谷の徳利と山吹の花です。
徳利は小林古径が愛蔵し、作品にも描かれたていて、後に小倉遊亀に譲られています。
花と陶磁器という取り合わせも、小林古径の作品の清雅な気品に対して、小倉遊亀は
女性らしくふっくらと艶やかです。
銀箔地の輝きが山吹や徳利に映えています。

田渕俊夫 「輪中の村」 1979(昭和54)年
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木曽川下流の輪中の風景です。
背景の部分は銀箔を紙に貼った時に偶然出来る皺をそのまま使って、
雲の感じを出しています。


日本の絵画は金銀と馴染みが深く、多くの作品は金箔、銀箔地に描かれたり、
金銀をあしらっています。
現代にいたる、そのさまざまな工夫を観ることの出来る、面白い視点の展覧会です。

山種美術館のHPです。


山種美術館の次回の展覧会は特別展、「没後15年記念 東山魁夷と日本の四季」展です。
会期は11月22日(土)から2015年2月1日(日)までです。

金銀013

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【2014/10/17 20:15】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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