「東山御物の美―足利将軍家の至宝―」展 三井記念美術館
三越前
chariot

日本橋の三井記念美術館では特別展、「東山御物の美―足利将軍家の至宝―」が
開かれています。
会期は11月24日(月・振替休)まで、会期中、展示替えがあります。

東山001


足利義満、義教、義政らの足利将軍家によって集められたコレクション、「東山御物
(ひがしやまごもつ)」を中心にした展示です。
多くが南宋・元時代の品で、唐物と呼ばれた舶来品が珍重されたことが分かります。

「君台観左右帳記(くんだいかんそうちょうき)」 室町時代 15世紀 国立歴史民俗博物館
足利将軍家における唐絵の品評や会所(主客の集う場)の飾付の方式、調度や茶道具の
位付けを記した書物です。
8代義政に仕えた同朋衆の能阿弥が記し、孫の相阿弥が一巻にまとめたとされていますが、
多くの異本があります。

「青磁輪花碗 銘 馬蝗絆」 南宋時代 13世紀 
 東京国立博物館 重要文化財
平005

平重盛の所持と伝えられる品ですが、制作の時代はもっと新しいようです。
足利義政の所有となったときにひび割れが生じたので、明に送って代わりの品を
求めたところ、今ではこのような品は作れないとのことで、鎹(かすがい)を打って
修理してきたとの言い伝えがあります。
その鎹を大きな蝗(いなご)に見立てた命銘です。
ごく薄手の茶碗で、澄み切った青色をしており、優美な逸品です。

「油滴天目」 南宋時代 12-13世紀 建窯 大阪市立東洋陶磁美術館 国宝
東002

くっきりとした茶碗の内と外一面に油滴のような細かい模様が
浮き出ています。
光を当てられた油滴は口縁に施された金の覆輪と共に、落着いた色合いで
きらめいています。
この品は豊臣秀次が所持し、西本願寺、北三井家、若狭酒井家と伝来しています。
君台観左右帳記では油滴天目は曜変天目に次ぐものとされています。

「玳皮盞(たいひさん) 鸞天目」 南宋時代 13世紀 三井記念美術館 重要文化財
室町三井010

玳皮盞とは天目茶碗の一種で、外側にタイマイの甲羅(べっ甲)のような
模様の出ている物を言います。
この茶碗は見込に二羽の尾長鳥と蝶、底に梅花が描かれ、鸞天目(らんてんもく)
とも呼ばれています。
見込の細かい地模様の華やかな茶碗です。
君台観左右帳記にも玳皮盞についての記載があります。
小堀遠州の所持していた品で、堀田相模守、朽木家、赤星家、益田栄作、室町三井家
と続いています。

「唐物肩衝茶入 銘 遅桜」 南宋時代 13世紀 三井記念美術館
東山004

高さ9cm弱で、肩衝茶入の特徴のきりっとした端正な姿をしています。
肩衝とは肩の部分が水平に張っていることをいいます。
足利義政の所蔵で、同じく義政の所蔵の「初花」より遅れて日本に渡来し、
義政によって命名されています。
金華集に載っている藤原盛房の歌に依った銘です。

  夏山の青葉まじりのおそ桜初花よりもめずらしきかな

伝来は、義政、篠原宗久、藤堂高虎、蒲生忠郷、徳川将軍家、松平忠明、
徳川将軍家、松平徳松、徳川将軍家、徳川宗家、室町三井家と続き、
三井記念美術館にたどり着いています。

「春日山蒔絵硯箱」 室町時代 15世紀 根津美術館 重要文化財
春日013

足利義政愛用の硯箱の一つです。
鳴く鹿に秋草を配し、銀の満月には薄がかかっています。
雅びで繊細な作品で、義政の洗練された好みを伝え、古今集の壬生忠岑の歌に依っています。

  山里は秋こそことにわびしけれ鹿の鳴く音に目をさましつつ

鹿、山、秋、月などから春日山が連想され、作品名にもなったそうです。

「鶉図」 伝 李安忠筆 南宋時代 12-13世紀 根津美術館 国宝
井007

11月4日(火)からの展示です。

ウズラの歩くところが細密に描かれています。
右脚を上げている瞬間が捉えられていて、眼は鋭く、張りのある姿です。
赤い実を付けているのはクコの木ということで、木の葉の虫食いまで
描かれています。
6代将軍足利義教の所蔵を示す「雑華室印」が捺されています。

「漁村夕照図」 牧谿筆 南宋時代 13世紀  根津美術館 国宝
東山006

11月18日(火)からの展示です。
10月19日までは根津美術館の、「名画を切り、名器を継ぐ 美術にみる愛蔵のかたち」に
展示されています。
牧谿の描いた「瀟湘八景」の中の一つで、元は一続きの巻物を3代将軍足利義満が
座敷飾りのために切断したと考えられています。
水気の多い江南の風景を薄墨で淡く表していて、山々の連なりにはリズムがあります。
画面右の木立には長く夕陽が差していて、夕暮れの一ときの印象を描き出しています。

「六祖破経図」 伝 梁楷筆 南宋時代 13世紀 三井記念美術館
デ009

六祖図とは中国禅宗で達磨を初祖として六番目の慧能(えのう)(638-713)を描いた
図像をいいます。
この絵では慧能が経典を破り捨てています。
禅宗では書かれた経典に頼らないという、不立文字(ふりゅうもんじ)の教義があり、
それを表しています。
慧能は歯をむいて嬉々としてお経を破っていますが、慧能の伝記にはこのような話は
無いそうです。

梁楷は南宋宮廷画院の画家の中で、日本で最も高く評価されている一人で、
山水や人物を得意としており、描き方は「精妙之筆」と、「草々」とした「減筆」の2種類ある
とされています。
この絵は「減筆」の方ですが、手足の動きや表情が活き活きとしています。

足利義満の「道有」印があり、足利将軍家、豊臣秀吉、西本願寺、松平不昧、
新町三井家と伝来しています。

「布袋図」 梁楷筆・大川普済賛 南宋時代 13世紀 香雪美術館
10月19日(日)までの展示です。
踊り布袋とも呼ばれる作品で、頭陀袋を括り付けた杖を担いだ布袋が両手を伸ばし、
笑いながら踊るようにして歩いています。
こちらも大らかな動きで、手先の表現も巧みです。

「紅白芙蓉図」 李迪筆 南宋時代 慶元3(1197)年 東京国立博物館 国宝
東山003

東山002

10月13日(月・祝)までの展示です。
一日のうちに白から紅に色の変わる酔芙蓉を描いています。
ふっくらとした花弁、淡い紅の色付き、濃淡のある葉の色など、繊細優美な描き振りです。
李迪(りてき)は南宋宮廷画院の画家で、花鳥画を得意としています。

「宮女図」 伝 銭選筆 元時代 13-14世紀 個人蔵 国宝
東山008

10月19日(日)までの展示です。
6代将軍足利義教の邸宅にあったとされています。
唐の時代に宮廷の女性が男装することが流行していて、その流れを汲む
美人画とのことです。
私も解説を読むまでは、男性の姿なのになぜ「宮女図」なのだろうと
不思議に思っていました。
自分の指先を見つめる、女性らしい何気ない動作を上手く捉えた、
品の良い作品です。
銭選は宋末元初の人で、南宋の滅亡のため仕官をしておらず、
文人画家として有名です。

「梅花小禽図」 伝 馬麟筆 南宋時代 13世紀 五島美術館 重要文化財
東山005

梅の枝に止まる小鳥を描いていて、並んで展示されている、同じく伝馬麟筆の
重要文化財、「梅花双雀図」(東京国立博物館蔵)と共に足利義教の「雑華室印」が
捺されています。
元は大きな画面だったものが、小さく切断されたのではないかとされています。

「鴨図」 伝 徽宗筆 南宋時代 12-13世紀 五島美術館
東山007

北宋の徽宗皇帝筆とされる作品で、首を廻して羽繕いする鴨を描いています。
徽宗(1082-1135)は芸術を好み、絵に巧みで「猫図」や「桃鳩図」で有名ですが、
北方の金との戦いに敗れ、捕えられて、異郷で没しています。

徽宗筆とされる国宝、「桃鳩図」は11月18日(火)からの展示です。


東山御物に代表される足利将軍家の価値観は、美しく希少な唐物を第一としていて、
後の桃山時代以降の茶の湯の文化とは趣が異なるそうです。
たしかに侘び茶の流行する前の時代です。
また、今日まで伝来している東山御物の多くは絵画で、茶道具などの調度品は
少ないとのことです。

今回の展覧会では特に天目茶碗の優品や、李迪や梁楷など南宋の画家の作品を
まとめて観ることが出来ました。

展覧会のHPです。


三井記念美術館の次回の展覧会は、『雪と月と花 ~国宝「雪松図」と季節の草花~』です。
会期は12月11日(木)から2015年1月24日(土)までです。

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【2014/10/08 19:57】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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