「印象派のふるさと ノルマンディー展 -近代風景画のはじまり-」 その2
新宿
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東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(旧:損保ジャパン東郷青児美術館)では、
昨年11月9日(日)まで、「印象派のふるさと ノルマンディー展 -近代風景画のはじまり-」が
開かれていました。

この後、2月28日(土)から4月12日(日)までひろしま美術館、
4月18日(土)から6月21日(日)まで熊本県立美術館、
6月27日(土)から8月23日(日)まで山梨県立美術館に巡回します。

私が東京展で観た作品の一部については9月8日の記事に書きましたが、
その他の作品について書いてみます。

1815年のナポレオン戦争の終結に伴い、ターナーなどイギリスの風景画家たちは
イギリスに近いノルマンディーをよく訪れるようになります。

ターナーが1834と35年に刊行した版画集、「セーヌ逍遥」はセーヌ河口のル・アーヴルから
遡る行程を描いています。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「ル・アーヴル」
 (アルバム「セーヌ逍遥」1834年)より エングレーヴィング ル・アーヴル市立図書館

ノ011

ル・アーヴルはセーヌ川右岸の河口の大きな港町です。
ターナーの尊敬するクロード・ロラン風の朝の情景です。

ウジェーヌ・イザベイ 「サン=ワンドリル修道院の列柱廊」 
 1825-30年頃 ブザンソン美術考古博物館

ノ002

サン=ワンドリル修道院はセーヌ川近くにある修道院です。
Google EarthでSaint Wandrilleを見ると、修道院は四角い中庭を建物が囲んでいる
ことが分かります。
イザベイは2つの列柱廊を効果的に画面に収めるため、本来は直角の角を鋭角にして
描いたようです。

ウジェーヌ・イザベイ(1803-86)はフランスの風景画家で、ターナーやドラクロワなどの
影響を受け、ロマン主義的な絵画を描いています。
度々ノルマンディーを訪れ、そこで出会ったブーダンやヨンキントらに自然描写の大切さを
説いたそうです。

アレクサンドル・デュブール 「オンフルール郊外、りんごの収穫」 
 制作年不詳 ウジェーヌ・ブーダン美術館、オンフルール

ノ003


オンフルールはセーヌ川左岸の河口にある古い小さな港町で、郊外に農場兼宿屋の
サン=シメオン農場があり、隣接したリンゴ園の北側からはセーヌ河口や対岸の
ル・アーヴルを望めました。
サン=シメオン農場には1860年代にはコロー、クールベ、ヨンキント、ブーダン、モネらが
集まって絵を描いていて、印象派発祥の地とも言える所です。

アレクサンドル・デュブール(1821-91)はパリで一時期パリで絵を学んだ他は生涯を
オンフルールで生涯をすごしています。
特にブーダンと親しく、ブーダンとともに故郷での美術館建設に尽力し、設立された
ウジェーヌ・ブーダン美術館の初代館長も務めています。

フェリックス・ヴァロットン 「オンフルールとセーヌ河口」 1901年 
 オンフルール、ウジェーヌ・ブーダン美術館

ノ006

男女がオンフルールの町を眺めやっていますが、どこか意味ありげで、ひょろりとした
2本の木も不思議な感じを与えます。
フェリックス・ヴァロットン(1865-1925)はスイス生まれで、フランスで活動し、
よくオンフルールに滞在しています。

アルフレッド・ステヴァンス 「サン=タドレスの海岸にて」 1884年 ダンケルク美術館
ノ004

サン=タドレスはル・アーヴルの北にある町で、パリからノルマンディーへの鉄道の
開通によって多くの観光客が訪れるようになります。
女性を描いた風俗画ですが、凝ったファッションの女性と、海水浴をしている人たちの
対比が面白い作品です。

アルベール・マルケ 「ル・アーヴルの外港」 1935年 
 ル・アーヴル、アンドレ・マルロー美術館

ノ005

アルベール・マルケ(1875-1947)はフォーヴィズム運動には参加していますが、
淡く穏やかな色調による風景画を描いています。
川辺や浜辺の絵をよく描いたので、「水辺の画家」とも呼ばれ、ノルマンディーも
訪れています。
マルケらしい、水気のある風景です。

この展覧会の見所の一つは10点ほど展示されているラウル・デュフィの作品です。
ル・アーヴル生まれのラウル・デュフィ(1877-1953)は南仏を描いた作品で有名ですが、
ノルマンディー各地もよく題材にしています。
特に晩年には黒い貨物船の描き込まれた作品が現れます。
船は正面を向いているので、自分に向かってくる物として描いているように見えます。

ラウル・デュフィ 「サン=タドレスの黒い貨物船」 1948-52年 
 パリ、国立近代美術館(カオール、アンリ・マルタン美術館へ寄託

ノ007

海岸で日光浴する人と、網を持ってエビ漁をしている漁師が一緒に描かれています。

ラウル・デュフィ 「黒い貨物船」 1948年以降 
パリ、国立近代美術館(ルーべ、アンドレ・ディリジャン美術館へ寄託)

ノ008

貨物船はどんどん迫ってきて、画面の中心を暗い色で覆っています。

ラウル・デュフィ 「赤い彫刻のあるアトリエ」 1949年頃 
 ル・アーヴル、アンドレ・マルロー美術館

ノ009

デュフィらしい明るい色彩の室内画で、窓からは海の景色が見え、イーゼルには
描きかけの絵が置いてあって、貨物船も輪郭線だけが描かれています。

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【2015/03/02 19:26】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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