「誰が袖図-描かれたきもの-」展 根津美術館
表参道
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表参道の根津美術館ではコレクション展、「誰が袖図-描かれたきもの-」が開かれています。
会期は2月23日(火・祝)までです。

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根津美術館の所蔵する、衣桁や屏風に衣装を掛け並べた様を描いた、「誰が袖図
(たがそでず)屏風」3点を中心にした展示です。
「誰が袖図」は近世初期によく描かれた画題で、豪華な衣装を眺め、薫きしめられた香や
着ていた人を想像させるという、風雅で遊び心のある仕掛けです。

「誰が袖」の言葉は、古歌の

  色よりも香こそあわれと思ほゆれ誰が袖ふれし宿の梅ぞも

に依っています。

「誰が袖図屏風」 六曲一双 江戸時代・17世紀
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金地の画面の背景に、朝顔の描かれた腰障子を置いてあります。
右隻の衣桁には亀甲つなぎ、桐竹唐草、鹿の子絞り、扇散らしなどの衣装が掛かり、
印籠や帯も下がり、畳には双六盤が置いてあります。

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左隻には雪輪文、桜花文などの衣装や、男物の袴、紐のついた子ども用の振袖が掛かり、
手拭い掛けもあります。
冊子と硯箱の載った文机も置いてあって、主が教養人であることを示しています。

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一家族の衣装といった趣きです。

「誰が袖美人図屏風」 六曲一双 江戸時代 17世紀
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右隻には大きく桜や松が描かれ、屋外と室内が一体化しています。

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左隻では扇面散らしの屏風の前に立つ三つ巴文の小袖に唐輪髷の遊女が
鹿の子絞りに木の葉文の小袖を着て三味線を持つ禿(かむろ)から何かを
受け取るように手を差し出しています。
刀掛けには大小が、衣桁には武士好みの菖蒲柄の袴が掛かっています。

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衣装そのものを賞でる美意識については小野皇太后藤原歓子の逸話を思い出します。
小野の山荘で余生を送っていたとき、白河上皇が急に雪見を思い立って訪れ、
知らせを聞いた歓子は屋形の御簾の下に出衣(いだしぎぬ)を並べて上皇を迎えます。
出衣とは寝殿や牛車の簾の下に装束の袖や裾を少し出してその色合いを見せるもので、
上皇は歓子の雅なもてなしに感心して、荘園を贈ったというお話です。

「風俗図」 三幅対 江戸時代 17世紀 重要美術品
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中央の遊女を挟んで、左右の色男が意味ありげな視線を送っている三幅対です。

遊女は三味線を持った禿を従え、唐輪髷を結った、貫禄のある姿です。
打掛には水車を豪快に描き出し、小袖の柄とも合わせ、裏地の赤も華やかです。
水車は宇治の名物なので、伝説の宇治の橋姫を連想させます。

「桜下蹴鞠図屏風」 江戸時代 17世紀 重要美術品
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お公家さんや僧侶が満開の桜の下で蹴鞠に興じています。
鞠が画面上で半分だけ飛び出しています。

六曲一双の屏風の右隻で、今回は展示されていませんが、左隻では塀の外で
従者たちが退屈そうに主人の帰りを待っています。
大らかな雰囲気で、俵屋宗達の工房による製作と考えられています。

「洛中洛外図屏風」 八曲一双 江戸時代 17世紀
右隻
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左隻
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右隻には、東山の清水寺、八坂の塔、方広寺大仏殿、内裏、祇園祭の山鉾巡行
などが見えます。

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方広寺は豊臣秀吉の建てた寺で、東大寺大仏殿より大きな大仏殿は
1798年に焼失するまで京の名所だったということです。
右側の赤い柱の大きな建物です。

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左隻には、祇園祭の神輿行列、金閣寺、北野神社、二条城、東寺、嵐山などが
見えます。
二条城には1750年に焼失した天守閣も描き込まれています。

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天皇、足利、豊臣、徳川といった、時々の権力者の象徴を一つの画面に
納めているのが、洛中洛外図の面白さです。


展示室2は婚礼衣装の展示で、1934年(昭和9年)に竹田宮恒徳王と結婚した三條光子の
着用した、俗に十二単と呼ばれる五衣唐衣裳(うつつぎぬからぎぬも)の一揃いや
江戸から明治の婚礼衣装が展示されています。

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展示室5は館蔵の名碗20撰の展示です。

根津美術館らしく天目、青磁、祥瑞、井戸、粉引、唐津、志野、織部、信楽、色絵などが
揃っています。

「青井戸茶碗 銘 柴田」 朝鮮時代 16世紀 重要文化財
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青井戸茶碗は釉が青色がかったものを云いますが、実際には青色に限らず、
色に変化があります。
織田信長から柴田勝家が拝領したとされることから、この名があります。
胴が真直ぐにすぼまり、強くろくろ目の出ている、くっきりした姿で、
上の方がやや青みがかっていて、全体に明るい印象の茶碗です。

「小井戸茶碗 銘 忘水(わすれみず)」 朝鮮時代 16世紀
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小井戸茶碗は小振りの井戸茶碗のことを云います。
小堀遠州の所持していた茶碗で、忘水とは野を人知れず細々と流れる
水のことです。
文字通り小さく、可愛い姿をしています。

鼠志野茶碗 銘 山端 桃山時代 16~17世紀 重要文化財
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  五月雨ははれんとやする山端にかかれる雲のうすくなりゆく

花園天皇(1297-1348)の歌にちなんだ銘です。
花園天皇は実感に基いた歌風を旨とする京極派の歌人で、
この歌にもその姿勢がうかがえます。

「安南染付蜻蛉茶碗」 ベトナム 16~17世紀
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トンボを描いた黒味がかった染付が滲んでいるのが味わいになっています。
安南とはベトナム中部北部を指し、ベトナム焼きも安南と呼ばれています。

「祥瑞水玉文茶碗」 明時代 17世紀
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祥瑞(しょんずい)とは日本の茶人の注文により景徳鎮で焼かれた
染付磁器のことです。
小振りの茶碗で、鮮やかな青色の中に浮かんだ白い水玉が際立っています。

「色絵鉄仙花文茶碗」 野々村仁清 江戸時代 17世紀
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高麗茶碗のような地ですが、のびのびとした筆が入っています。

「堅手茶碗 銘 長崎」 高麗茶碗 朝鮮時代 16−17世紀 重要文化財
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堅手茶碗とは磁器のように堅く焼き締まった高麗茶碗のことです。
口縁の形にゆがみがあり、釉の掛け残しがあって姿に変化を付けています。


展示室6のテーマは「霜月の茶会」です。

夜咄の茶事や歳暮の茶会にふさわしい茶道具の展示です。

「大海茶入銘 節季」 室町時代 16世紀
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幅の広い形の茶入を大海と言います。

「村雲蒔絵棗」 小島漆壺斎作 木胎漆塗 江戸時代 19世紀
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松平不昧が作らせた棗で、木目を残した黒漆塗りの地に金蒔絵で和歌が書かれています。

  村雲の跡なきかたも時雨るゝは 風を便りの木葉なりけり


次回の展覧会は特別展、「動物礼賛」です。
会期は2015年1月10日(土)から2月22日(日)までです。

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【2014/11/16 19:35】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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