「 茶の湯釜の美―京釜の系譜を辿る―」 六本木 泉屋博古館分館
六本木1丁目
chariot

六本木の泉屋博古館分館では特別展、「 茶の湯釜の美―京釜の系譜を辿る―」が
開かれています。
会期は12月14日(日)までです。

茶釜001


チラシに登場している狸は、現代的鎧武者人形の制作で有名な野口哲哉さんが
展覧会のために作った物で、会場にも展示されています。

江戸時代以降、茶人の好みを反映した茶釜の制作の中心となった京釜の歴史を辿る展覧会で、
住友コレクションの茶釜約40点が展示されています。
京釜は室町末期から京都の三条釜座に集まった釜師たちによって制作された茶釜で、
大西家、名越家、西村家などの釜師の家が知られています。

「大講堂釜」 室町後期~室町末期・16世紀
茶釜002

元は比叡山延暦寺の大講堂で使われていた香炉を千利休が茶釜に仕立てたと
云われています。
肩に3本、胴に1本の線が廻り、横向きに「大講堂」の字を鋳出してあります。
釜を持ち上げる鐶ををかける鐶付(かんつき)は上に向かって外側に突き出している
常張(じょうはり)形になっています。
大きな古びた共蓋にも味わいがあります。
徳川家光より加賀前田家3代当主、前田利常が拝領の釜とされています。

「海老鐶付網千鳥地紋釜」 大西浄清 江戸前期・17世紀
チラシに載っている釜です。
口の部分に輪違文、胴に干網と千鳥を鋳出してあり、鐶付は海老の形で
長いヒゲが延びています。
大西浄清は京都の釜師、大西家の2代目で、名人と謳われています。
大西家は当代の16代まで続いています。

「又玄斎好老松唐犬釜」 大西浄玄 江戸中期・18世紀後半
茶釜004

裏千家8代又玄斎好みの釜で、鐶付が犬の耳に似ているので、唐犬と呼ばれています。
大西家7代浄玄の作で、胴が締まり、松の木が鋳出されています。

「一燈好大四方釜」 名越浄味 江戸中期・18世紀中頃
茶釜003

裏千家8代又玄斎一燈好みの四方釜で、名越家6代昌光か7代昌永の作とされています。
鐶付は鬼面で、裏千家の別名である「今日庵」の字が鋳出してあります。

京名越家は桃山時代の名越善正を事実上の祖とする、京の釜師の中でも最も古い家系で、
善正の子の三昌は国家安康の銘文で有名な方広寺の梵鐘鋳造の棟梁を務めています。


会場には芦屋釜の里の提供による、茶釜作りの工程の分かる資料が展示され、
制作の様子を写したビデオも放映されています。

茶釜007


芦屋釜は筑前芦屋津で南北朝時代から盛んに制作され、優美な文様と真形(しんなり)と
呼ばれる端正な形が京の茶人に好まれたということですが、庇護者である大内氏の滅亡や
京釜の台頭で、江戸時代初期に絶えています。
現在は芦屋釜の里により復興されています。

いろいろな茶釜の形です。

茶釜006

文福茶釜は茶釜として最も古い形の真形釜(しんなりがま)のようです。

さまざまな意匠の、存在感のある茶釜の並んでいる様を見ると、たしかに茶釜が
「席中の主」と呼ばれる訳が分かります。
こうして茶釜について学んでおくと、三井記念美術館や根津美術館の茶室に置かれている
茶釜を観る興味が増しそうです。


展示室IIでは、住友家15代当主、住友春翠(1864~1926)の愛用した茶道具や
茶会で使われた品などを展示しています。

「小井戸茶碗 銘 六地蔵」 朝鮮時代・16世紀
住002

小振りの井戸茶碗を小井戸と呼びます。
小堀遠州の愛蔵の品で、京都の六地蔵で見出したことからこの名が付いています。
元が日常品なのであっさりした姿をしていて、高台に釉の固まったカイラギが見えます。

「祥瑞共蓋水指」 明時代・17世紀
住003

祥瑞(しょんずい)とは日本からの注文で中国で焼かれた染付磁器を言います。
胴の形は砂金袋形と呼ばれ、3つに区分して鶏、山水、宝尽くしが描かれています。
鶏の絵の隅には唐の岑参(しんしん、しんじん)の詩の一節が書かれています。

 鶏鳴紫陌曙光寒

紫陌とは都の街路のことです。


「唐物文琳茶入 銘 若草」 南宋~元時代・13~14世紀
住008

文琳とは林檎の異名で、ふっくらした形から名付けられています。
釉が下まで垂れた、なだれのあるのが景色になっています。
「若草」は後陽成天皇(1571-1617)の命銘です。
新古今集の後鳥羽院宮内卿の歌に拠っているとのことです。
 
 うすくこき野辺のみどりの若草に跡までみゆる雪のむら消え

「瀬戸肩衝茶入 銘 真如堂」 江戸時代・17世紀
茶釜005

京都の真如堂東陽坊に伝来したとされる茶入です。
肩衝(かたつき)とは肩の部分が水平に張っていることをいいます。

「色絵鶏撮丸香炉」 仁清 江戸時代・17世紀
住004

香炉の蓋の横を向いた鶏が撮みになっています。
羽毛の描き具合が面白く、胴の唐草、蓋の牡丹模様の赤と緑が華やかです。

「白鶴香合」 仁清 江戸時代・17世紀
住007

うずくまり、首を少し横に向けた鶴の姿です。
表情やたたんだ脚の具合が可愛く、釉の色合もやわらかく、温かです。
仁清は鳥や動物の姿を写した作品をよく作っています。


展覧会のHPです。


次回の展覧会は「小川千甕展 縦横無尽に生きる」です。
会期は2015年3月7日(土)から5月10日(日)までです。

関連記事

【2014/12/03 20:01】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
please comment















管理者にだけ表示を許可する

trackback
trackback url ↓
http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/2460-70e82337

プロフィール

chariot

Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム |