「みちのくの仏像」展 東京国立博物館
上野
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上野の東京国立博物館では特別展、「みちのくの仏像」が開かれています。
会期は4月5日(日)までです。

みちのく012


東北の三大薬師とされる福島・勝常寺、宮城・双林寺、岩手・黒石寺をはじめ、
東北6県の代表的な仏像が展示されています。

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「聖観音菩薩立像」 平安時代・11世紀 岩手・天台寺
みちのく001

会場の最初に展示されています。
天台寺は二戸市にある天台宗のお寺で、江戸時代は南部藩の庇護を受けて栄えましたが、
明治維新の廃仏毀釈で大きな被害を受けています。
聖観音菩薩は衣文の彫りも簡略化され、お顔や腕以外の部分に規則的なノミ跡を残しています。
仏像を刻むノミの音には功徳があると書かれた経典があることから、それを視覚化した像かも
しれないとのことです。

「薬師如来坐像」 平安時代・貞観4年(862) 岩手・黒石寺 重要文化財
「日光菩薩立像・月光菩薩立像」 平安時代・12世紀 岩手・黒石寺
みちのく004

黒石寺は水沢にある天台宗のお寺です。
元は薬師寺という寺で、行基が開き、延暦年間に兵火で焼けたのを坂上田村麻呂が再建し、
円仁が中興となって現在の寺号としたとなっています。
裸祭の蘇民祭でも知られたお寺です。

薬師如来はカツラの一木造で、内刳りを施した像内に貞観四年十二月の墨書銘があります。
願主の名も書かれていて、物部や額田部といった姓もあります。
貞観11年に東北地方を襲った貞観地震の直前に当たります。
頭を少し後ろにそらした姿勢で、目の吊り上がった厳しいお顔をしています。
脇侍の日光月光菩薩は少し腰をひねった優しい姿で、薬師如来とは制作時期が異なります。

薬師如来は東日本大震災では、もう少しで台座から落ちるところだったそうです。

「薬師如来坐像および両脇侍立像」 平安時代・9世紀 福島・勝常寺 国宝
みちのく005

勝常寺は河沼郡にある、現在は真言宗のお寺です。
最澄との論争でも知られている徳一の創建と伝えられ、平安時代初期の仏像が
12体も置かれています。
薬師如来はケヤキの一木造で、厚い胸の堂々とした体躯で、光背も当初のものです。
衣のひだの粘り強さや足先を衣で包む形は都風で、徳一の指導による制作の可能性も
あるとのことです。

「薬師如来坐像」 平安時代・9世紀 宮城・双林寺 重要文化財
みちのく002

双林寺は栗原市にある、現在は曹洞宗のお寺です。
天平宝字元年(757)、この地にあった杉の木の霊が孝謙天皇を患わせていたのを鎮め、
建てたお堂に始まるそうです。
ケヤキの一木造で、薬師如来は厚い胸の堂々とした姿ですが、切れ長の目、小さな唇の
とても優しいお顔をしています。

東日本大震災では脇侍の持国天が倒れ掛かり、左腕が折れるなどの損傷を受けましたが、
2年かけて修復されています。

「聖観音菩薩立像」 平安時代・10世紀 秋田・小沼神社
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小沼神社は大仙市の小沼山頂にあり、小沼観音堂とも呼ばれ、養老2年(718)創建と
伝えられています。
すぐにはたどり着けない山の中の、池を前にした小さな神社です。
ちょっと唇の突き出たお顔で、ほっそりとして衣文の彫りは浅く、腰の位置が高く、
とても足の長い特異な姿をしておられます。
頭上には化仏のような小さな像が刻まれています。

. みちのく007

「十二神将立像(丑神・寅神・卯神・酉神」 
鎌倉時代・13世紀 山形・本山慈恩寺 重要文化財

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慈恩寺は寒河江市にあり、現在は慈恩宗の本山です。
寒河江には藤原氏の荘園があり、都の影響の強い仏教文化が栄えています。
十二神将は小像ながら躍動的な姿で、慶派の仏師の作と思われるそうです。

「十一面観音菩薩立像」 鎌倉時代・14世紀 宮城・給分浜観音堂 重要文化財
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牡鹿半島の高台の御堂に祀られている、高さ290㎝の大きな像です。
カヤの割矧造(像を割って内刳りを施す技法)で、卵形の顔、短い膝下、隙間なく彫られた
衣文のひだなどは鎌倉時代後期の特徴とのことです。
前九年の役に敗れた安倍氏が川に流したとも、奥州藤原氏が都から運んできた時に
船が難破し、流れ着いたとも言い伝えられています。
像の大きさから生まれた伝承でしょう。

給分浜は東日本大震災の大津波で地区の住宅の8割が全壊する被害を受けていますが、
観音堂は高台にあったので被災を免れています。

「釈迦如来立像」 円空作 江戸時代・17世紀 青森・常楽寺
.....みちのく008

常楽寺はむつ市にある真言宗のお寺です。
円空の初期の作で、後の円空仏のような粗削りではなく、滑らかに仕上げられていますが、
お顔で円空と分かります。
背中は平らな板のようになっていますが、きちんと衣文が彫り込まれています。

円空は青森県から北海道に渡っており、その折に多くの仏像を刻んでいて、青森県には
17体の円空仏が残っているそうです。


東北固有の文化を伝え、都との関係や制作時期の違いの表われた、さまざまの特徴のある
仏像に出会える良い機会です。

展覧会のHPです。


同時開催で、特別展「3.11大津波と文化財の再生」も開かれています。

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東日本大震災による大津波の被害に遭った文化財の再生に取り組んできた東京国立博物館が、
その成果と現状を紹介するものです。
こちらは総合文化展(平常展)の料金で観覧出来ます。

土砂混じりの潮水を被って痛ましい状態になっていた文化財が復元され、展示されていて、
再生への熱意が伝わります。


次回の特別展は、「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」です。
会期は3月17日(火)から年5月17日(日)までです。

インド001

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【2015/01/17 20:28】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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