「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」 国立新美術館
乃木坂
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六本木の国立新美術館では、「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみる
ヨーロッパ絵画の真髄」が開かれています。
会期は6月1日(月)まで、火曜日は休館日です。

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ルーヴル美術館の所蔵品の中でも、日常生活を題材にした、「風俗画」を中心に
約80点が展示されています。

クエンティン・マセイス 「両替商とその妻」 1514年
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クエンティン・マセイス(1465/66-1530)はアントワープで活躍した画家で、
宗教画や風俗画を多く描いています。
両替商の男が金貨の重さを量っているのを聖書のような本を読んでいた妻が見ています。
信仰と欲望の寓意か、正しい計量を促しているのかだろうとのことですが、
夫婦の真面目そうな雰囲気からすると、正しい計量の勧めを描いているのでは
ないでしょうか。
商業都市アントワープらしい題材ではあります。
テーブルには指輪の嵌まった筒や真珠、背後の棚には本や書類、フラスコ、オレンジなどと
一緒に銅鏡も置かれています。
扉の向うで男が二人、何かしゃべっているのが見えます。
テーブルの小さな鏡には、窓の外の景色と赤い帽子を被った男が映っています。
この男たちは何を表しているのでしょうか。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 「鏡の前の女」 1515年頃
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ティツィアーノが25歳頃の時の作品です。
輝く白い肌と金髪の女性が男性の差し出す合わせ鏡に自分の姿を映しています。
鏡に女性の背中が映っていて、これは彫刻がその立体性を誇るのに対し、
絵画でも同じことを表現できることを示したのだろうということです。

アンニーバレ・カラッチ 「狩り」 1585-88年頃
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アンニーバレ・カラッチ(1560-1609)はボローニャで活動した画家で、バロックを代表し、
マニエリスムの技巧や奇抜さを離れ、古典様式を復活させた画家とされています。
若い頃の作品で、貴族や狩人、猟犬、勢子などを一つの画面に入れ込んで賑やかです。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 「聖家族」、または「指物師の家族」 1640年
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小品で、聖母子とヨセフ、マリアの母アンナの形を取って、当時のオランダの庶民生活の
情景を描いています。
窓からの光が室内を照らし、幼子イエスを輝かせています。

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ 「物乞いの少年(蚤をとる少年)」 1647-48年頃
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ムリーリョの初期の作品で、後期の霞がかかったような描き方ではありません。
ムリーリョの活動したセビリアは当時繁栄を誇っていましたが、取り残された人たちも
多かったようです。
カラヴァッジョ風の強い光でボロを着た少年を浮かび上がらせています。
汚れた足の裏の描写もカラヴァッジョの「ロレートの聖女」を思わせています。
貧窮者を描いていますが、どこか品の良い静けさを感じます。

ヨハネス・フェルメール 「天文学者」 1668年
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評判の作品で、会場でも一番人が集まっていました。
着物に似せた服を着た学者が天球儀に手をやって、何か調べています。
壁の絵はモーセを描いてあり、モーセは知識と科学の象徴とされているそうです。
何といっても、窓から差し込み室内を柔らかく照らす光に魅せられます。
色調も統一され、机に掛けられた織物の描写が見事です。
天球儀は1600年の発表、本は1621年の刊行で、この作品の時代より古い物であるため、
同時代の情景というより、学者の理想像として描いたのだろうということです。

ジャン=アントワーヌ・ヴァトー  「二人の従姉妹」 1716年頃
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小品で、池や彫像のある庭園で男女が何か語らっています。
ジャン=アントワーヌ・ヴァトー(1684-1721)はロココ時代の画家で、
庭園での優雅な宴などの様子を描く雅宴画(フェート・ギャラント)という
ジャンルを始めています。
ロココを代表する画家の一人ですが、36歳で亡くなっています。

ジャン・シメオン・シャルダン 「猿の画家」 1739-40年頃
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ジャン・シメオン・シャルダン(1699-1779)もロココ時代の画家ですが、誠実な画風で
静物画や慎ましい庶民の生活を描いています。
猿を擬人化して描くのは17世紀のフランドルの流行で、18-19世紀のフランスでも
続いていたそうです。
大真面目に支え棒まで使ってキャンバスに向かっているところなど、何となくシャルダンの
自画像のようにも見えてきます。
レオナール・フジタがパリの職業人を子どもの姿で描いた、「小さな職人たち」のシリーズも
このような絵から発想したのでしょうか。
シャルダンの作品は「買い物帰りの召使い」(1739年)も展示されています。

フランソワ・ブーシェ 「オダリスク」 1745年(?)
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イスラムの後宮の女奴隷を題材にした、オリエンタリズム(東方趣味)による作品です。
モデルは13歳年下の妻ということで、真っ白い肌をこれ見よがしにさらけ出して
笑みを浮かべています。
広げられた青い布地がとても明るく鮮やかで、モデルの姿を引き立て、
刺激的な絵柄でありながら優雅な雰囲気です。
フランソワ・ブーシェ(1703-1770)はロココを代表する画家で、ルイ15世や
愛妾ポンパドゥール夫人に寵愛されています。

ジャン=オノレ・フラゴナール 「嵐」、または「ぬかるみにはまった荷車」 1759年頃
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重い荷を載せ、行き悩む荷車、後ろから押す人、喘ぐ牛、駆け下る羊の群れなどが
描かれています。
幌は強い風に煽られ、空には雲が湧き出していて、逆光によってさらに
劇的な情景になっています。
ジャン=オノレ・フラゴナール(1732-1806)はロココの最期を飾る画家で、
ブーシェやシャルダンに師事したことがあります。
「ぶらんこ」が特に有名ですが、フランス革命でロココ様式が廃れると、
不遇のうちに亡くなったそうです。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー 「コローのアトリエ」 1873年頃 
この作品と同じ図柄の絵が丸の内の三菱一号館美術館で開かれている、
「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展~アメリカ合衆国が誇る印象派コレクション」に
展示されています。

「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」の記事です。

ユベール・ロベール 「ルーヴル宮グランド・ギャラリーの改修計画、1798年頃」 1798年頃
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ユベール・ロベール(1733-1808)は、荒廃した古代神殿やモニュメントのある風景を描いて、
「廃墟のロベール」と呼ばれていました。
ルイ16世の絵画コレクションの管理者を務め、「国王の庭園デザイナー」の称号も得ています。
フランス革命の時は一時投獄もされていますが、革命政権によるルーヴル宮殿の美術館への
改造計画にも参加しています
ルーヴル宮殿は革命の翌年の1793年に美術館として開館し、改修工事のため一旦閉館した後、
1801年に再び開館しています。
作品ではロベールの思った理想の形が描かれていて、天井をガラス張りにしたギャラリーは
来館者で賑わい、座り込んでスケッチをしている人もいます。

2012年に上野の国立西洋美術館で開かれた、「ユベール・ロベール-時間の庭-」展の記事です。


とても人気のある展覧会で、私は初日の2月21日(土)の開館とほぼ同時に入りましたが、
すでに大勢の来館者で賑わっていました。

展覧会のHPです。


展覧会を記念して、近くの東京ミッドタウンには、「サモトラケのニケ」のレプリカが
展示してあります。

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【2015/02/24 20:53】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんにちは。
  • 一番新しいのがカミーユ・コローで、印象派の前までですが、日常生活を描いた作品揃いなので事前知識なしで楽しめます。
    混雑すると思うので、平日の早い時間か、夜8時まで開いている金曜日をお勧めします。

    【2015/02/25 07:19】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • chariotさん☆

    わ~行かれたんですね~!
    素晴らしい絵画がたくさん・・・

    今、やっぱり人が多いですよね^^;
    私も、この展覧会は絶対観にいきます~~^^v

    【2015/02/24 23:33】 url[慧喜 #-] [ 編集]
    please comment















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