「よみがえるバロックの画家 グエルチーノ展」 国立西洋美術館
上野
chariot

上野の国立西洋美術館では、「よみがえるバロックの画家 グエルチーノ展」が開かれています。
会期は5月31日(日)までです。

グ001


グエルチーノ、本名:ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ(1591-1666)はイタリアの
チェントの出身で、バロックを代表する画家の一人です。
生涯の大半をチェントとボローニャで過ごしています。

展覧会ではチェント市立絵画館の所蔵する作品11点を含め、約40点が展示されています。

チェント市立絵画館は2015年5月の地震で大きな被害を受け、現在も復旧の目途が
立っていないとのことです。
この展覧会は震災復興事業の一環で、収益の一部は絵画館の復興資金に充てられます。

グエルチーノはほぼ独学で絵画を習得していて、ボローニャを中心に活躍したアンニーバレや
ルドヴィコなどカラッチ一族の絵画に影響を受けています。

ルドヴィコ・カラッチ 「聖家族と聖フランチェスコ、寄進者たち」 
 1591年 チェント市立絵画館

グ002

チェントの教会の祭壇画です。
大きな作品で、見上げるような高い位置に光を浴びた聖母子が居ます。
画面下の人物は絵の寄進者と親族です。
聖フランチェスコ(1182?-1226)はフランシスコ会の創始者で、ジヨットの
「小鳥への説教」でも有名な聖者です。
聖母子は体を傾けてフランチェスコを見下ろしていて、動きのある、
崇高さの感じられる作品です。

「聖母子と雀」 1615-16年頃 ボローニャ国立絵画館
グ003

イエスの受難の象徴としてヒワがよく描かれますが、こちらは雀ということです。
聖母子はルドヴィコ・カラッチの「聖家族と聖フランチェスコ、寄進者たち」とよく似ています。
カラバッジョ風の、明暗の対照の強い作品ですが、聖母子には後光が描かれて
いないので、宗教画ではない、おだやかな母子像に見えます。

「キリストから鍵を受け取る聖ペテロ」 1618年 チェント市立絵画館
グ010

聖ペテロはカトリックでは初代ローマ教皇とされる人物です。
イエスから天国の鍵である金の鍵と地上の権力を表す銀の鍵を授かっているところで、
イエスはペテロに玉座を示し、天使が教皇の被る三重冠を持っています。
この頃のカトリック教会ではルターの宗教改革に対する対抗宗教改革の一つとして、
カトリックの教義を分かりやすい絵画の形で表すことを始めています。
場面を劇的な表現で描くバロック絵画はこうして生まれています。

「マルシュアスの皮をはぐアポロ」 1618年 フィレンツェ、パラティーナ美術館
グ009

ギリシャ神話のお話で、笛の名手のマルシュアスは竪琴の名手のアポロと
技量を争って敗れ、生きたまま皮を剥がれてしまいます。
この作品ではアポロの楽器は竪琴ではなく、バイオリンに似た楽器が
右上に描かれています。
アポロは光を浴びて白く輝き、勝者と敗者の差を見せています。

「聖イレネに介抱される聖セバスティアヌス」 1619年 ボローニャ国立絵画館
グ004

聖セバスティアヌスは3世紀の殉教者とされる人で、体中に矢が刺さった姿で
描かれることが多いです。
伝説によれば、聖イレネは矢のために瀕死の状態のセバスティアヌスを介抱して
救ったとされています。
作品では医師が治療している傍らで、海綿を手にしています。
明暗のコントラストが強く、生々しさのある画面です。

「聖フランチェスコの法悦」 1620年頃 
 チェント、クリスティーナ&ジャンニ・ファーヴァ・コレクション

グ005

ある時、聖フランチェスコは天使の奏でる妙なる音楽を聴いたという話があって、
その場面が描かれています。
眩しそうに目をそらすフランチェスコの手には傷があります。
キリストの受けた傷と同じ傷がフランチェスコにも表れたという伝承に拠るものです。

「聖母被昇天」 1622年頃 チェント、サンティッシモ・ロザリオ聖堂
グ011

聖母マリアが神によって天に上げられたという、カトリックの信仰を描いています。
マリアの頭は星に囲まれていて、EUの旗に似ていますが、EUの旗は五芒星です。
1621年にグエルチーノは教皇グレゴリウス15世に呼ばれ、1623年までローマで
活動しています。
この作品は制作に時間がかかり、ローマ滞在中に完成したそうです。

「放蕩息子の帰還(部分)」 1627-28年頃 ローマ、ボルゲーゼ美術館
グ012

新約聖書のルカによる福音書にある、家を出て放浪していた息子が帰ってきたのを
父親が優しく迎えるという話です。
新しい服を与えられ、着替えているところで、青、赤、白の服の色が鮮やかです。
ご主人の帰還を喜んで、飼い犬が飛び付いています。

「聖母のもとに現れる復活したキリスト」 1628-30年 チェント市立絵画館
グ006

磔にされた後、復活したイエスが聖母マリアの前に現れたところを描いています。
聖書には書かれていない場面です。
イエスは復活による勝利を示す旗を持ち、マリアに体を寄せています。
ローマ滞在後のグエルチーノの作品はローマでの流行の影響を受けて、
古典主義的な端正な画面になっていきます。

「スザンナと老人たち」 1649-50年 パルマ国立美術館
グ007

旧約聖書「ダニエル書」の補遺として伝わる話で、水浴をしていたスザンナが
2人の長老に覗き見され、関係を迫られるという話です。
この作品も初期の絵に比べ、すっきりした描き方になっています。

「ゴリアテの首を持つダヴィデ」 1650年頃 国立西洋美術館
グ008

国立西洋美術館の所蔵するグエルチーノの作品です。
旧約聖書「サムエル記」にある話で、ダビデが投石器を使ってペリシテ人の巨人、
ゴリアテを倒し、ゴリアテの剣を使って首を斬っています。
ダビデは天を仰いでイスラエルの神に感謝していて、ダビデを照らす光は
神の祝福を表しています。


会場にはボローニャを中心に活躍し、グエルチーノのライヴァルでもあった、
グイド・レーニ(1575-1642)の作品も3点、展示されています。

グエルチーノという画家については今までよく知りませんでしたが、この展覧会で
バロックを代表する画家としての魅力を十分に味わうことが出来ました。

展覧会のHPです。

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【2015/03/15 19:19】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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