「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」展 Bunkamuraザ・ミュージアム
渋谷
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渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」展が
開かれています。
会期は6月28日(日)までで、4月13日(月)、4月20日(月)のみ休館です。

ボ001


フィレンツェで活躍したイタリアルネサンスの画家、サンドロ・ボッティチェリ
(1445-1510)の作品、10数点を中心にした展示です。 

ボッティチェリはフィレンツェの生まれで、まずフィリッポ・リッピの工房で
1464年から1467年まで修業しています。
その後、スポレートに移り、ヴェロッキオの工房にも出入りします。

「聖母子と二人の天使、洗礼者聖ヨハネ」 1468年頃 
 テンペラ・板 フィレンツェ、アカデミア美術館

ボ007

ヴェロッキオの聖母子像とよく似ています。
天使たちや洗礼者聖ヨハネは初々しく、マリアの着ている青いマントは
フリルが付いてお洒落です。

「聖母子と二人の天使」 1468-1469年頃 
 テンペラ、油彩・板 ストラスブール美術館

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こちらは屋外の情景で、花瓶や木、マリアの純潔を表す
白百合なども描かれています。

「ケルビムを伴う聖母子」 1470年頃 
 テンペラ・板 フィレンツェ、ウフィツィ美術館

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ケルビムは4つの顔と翼を持つ天使とされています。
あごの細いマリアの顔や透けて見える布の表現はフィリッポ・リッピ風です。
イエスの顔は大きく、正面からこちらを見ています。
額には金貨を表す金色の丸が並べられていて、両替商組合の本部のための
作品と考えられています。
額の下の部分には AVE MARIA GRATIA PLENA と、ラテン語の祈祷文が
書かれています。

ボッティチェリの描く幼子イエスは、同時代のピントリッキオ(1454-1513)の
描く聖母子像のイエスがまことに可愛らしいのとは、少し趣きが違います。

2013年に国立西洋美術館で開かれた「ラファエロ展」にはピントリッキオの作品も
展示されていました。

「ラファエロ展」の記事です。


「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」 1477-1480年頃 
 テンペラ・板 ピアチェンツァ市立博物館

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5月6日(水)までの展示です。
のどかな景色の中のバラ園でマリアと洗礼者ヨハネが幼子イエスを礼拝しています。
イエスは目を見開いてマリアを見上げ、ヨハネは優しくイエスを見下ろしています。
色彩も明るく、のびやかな情景です。

「受胎告知」 1481年 フレスコ フィレンツェ、ウフィツィ美術館
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横555cmの大作で、展覧会の中心となる作品です。
フレスコ画特有の淡い色調で、大天使ガブリエルがマリアに受胎告知する場面が
描かれています。
大きな画面を遠近法を効かせて4つに区切り、手前左のガブリエルは白い百合を持って
宙に浮き、右のマリアに呼びかけ、マリアは胸に手を当て、その言葉を聴いています。
目を伏せたマリアの表情は、運命を受け入れる敬虔な心を表しています。
ガブリエルの背後からは数本の光の筋がマリアに向かって延びていて、
神の意志を表しています。
左奥には野外の風景が広がり、画面に奥行きを持たせていて、右奥は
ベッドの置かれた寝室です。
元は病院に附属した聖堂の壁画だったということで、観る人に神の救い
を想い起こさせる力があります。

「ヴィーナス」 1482年頃 テンペラ、油彩・キャンバス 
 トリノ、サバウダ美術館

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ボッティチェリの工房の作品です。 
代表作、「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスだけを描いてあります。
裸体ではなく、薄物を付けていて、明るく晴れやかな「ヴィーナスの誕生」に比べると
かなり雰囲気が違い、妖艶なヴィーナスです。

繁栄を誇ったフィレンツェも、1494年にフランス軍の侵攻を受け、フィレンツェを支配していた
たメディチ家は対応に失敗した責任を問われ、追放されます。
メディチ家の庇護を受けていたボッティチェリにとっては大きな打撃となる事件です。
更に、フランス軍の侵攻を予言したとして、修道士、ジロラモ・サヴォナローラ(1452-1498)が
強い発言権を持つようになります。
サヴォナローラは清廉を求め、贅沢を敵視する宗教運動を繰り広げ、1497年には
華美な美術品などが広場に集められ、焼却されてしまいます。

ボッティチェリも華やかな作品を描くことは出来なくなり、自身もサヴォナローラの
影響を受けたこともあって、以後の作品からは華やぎが消え、冷たい情念のような
ものが表れてきます。
1500年頃にボッティチェリの工房の製作した聖母子像が3点展示されていますが、
誰もが内に閉じこもったように目を伏せています。
1482に描かれた代表作、「プリマヴェーラ」では画面の隅に小さく黒雲が現れていますが、
その黒雲が空を覆ってしまったような状態です。


会場には、商業都市フィレンツェの繁栄を偲ばせる品々も展示されています。

「フィオリーノ(フローリン)金貨」 1252-1303年 直径2㎝
ボ001

フィレンツェで鋳造され、中世からルネサンス初期にかけて国際通貨として使われた金貨です。
表にはフィレンツェの象徴の百合、裏には守護聖人の洗礼者聖ヨハネが刻印されています。

他にフラ・アンジェリコの作品も2点展示されています。

ボッティチェリの作品をこれだけまとめて観る機会は無く、イタリアルネサンスの
気分を存分に味わえる、とても貴重な展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「エリック・サティとその時代」展です。
会期は7月8日(水)から8月30日(日)までです。

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【2015/03/27 19:54】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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blog_name=【Art & Bell by Tora】 ♥   ボッティチェリとルネサンス
 
 2001年に、国立西洋美術館で開かれた「イタリア・ルネサンスー宮廷と都市の文化展」は、「日本におけるイタリア2001年」における重要な展覧会だった。その時の図録の表紙を飾っていたボッティチェリの巨大フレスコ画《受胎告知》が再来日した。  今回の展覧会は、ボッティチェリが生きていた時代のフィレンツェの盛衰を辿る流れとなっていた。 序章 富の源泉 フィオリーノ金貨  ・《フィ...
【2015/04/01 08:26】

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