「マグリット展」 国立新美術館
乃木坂
chariot

六本木の国立新美術館では、「マグリット展」が開かれています。
会期は6月29日(月)までです。

シュルレアリスムの画家、ルネ・マグリット(1898-1967)の初期から晩年までの作品、
約130点を展示する展覧会です。

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マ002


「水浴の女」 1925年 油彩/カンヴァス シャルルロワ美術館
マ011

ベルギー生まれのマグリットは1916年にブリュッセルの美術学校に入学しています。
初期のマグリットはこのようなキュビズムによる作品を描いていました。

マグリットは生活費を得るため、ポスターや壁紙などの商業美術も手掛けています。
マグリットの作品が明快なのは、商業美術の影響とも考えられています。

マグリットはジョルジュ・デ・キリコやマックス・エルンストの作品を知って、
シュルレアリスムに傾倒しています。

「一夜の博物館」 1927年 油彩/カンヴァス
マ008

1927年にパリに出て、シュルレアリスムの画家たちと親交を結びます。
影が濃く、ポツンとした感じはキリコ風です。

「恋人たち」 1928年 油彩/カンヴァス ニューヨーク近代美術館
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マグリットの少年時代、母親は入水自殺しています。
川から揚げられた母親の顔が布で隠されていたことから、マグリットは隠れて見えない顔という
モチーフを描き続けています。

パリに出たマグリットですが、シュルレアリスムの唱道者であるアンドレ・ブルトンとの仲違いや、
1929年に始まる世界大恐慌で後援者を失ったことから、1930にブリュッセルに戻っています。

「ジョルジェット」 1935年 姫路市立美術館
シュ003

ジョルジェットはマグリットの夫人で幼馴染だった人です。
理知的で聡明な顔立ちをしています。
画面はタイルの線できちんと分割され、それぞれに何か描かれています。

「野の鍵」 1936年 油彩/カンヴァス ティッセン=ボルネミッサ美術館
マ006

割れたガラスに景色が付着したままになっています。
マグリットのシュルレアリスムは、デペイズマン(転置)という、時間や大きさ、
場所、材質などを本来とは違うものに置き換える技法を使っています。
そのため、幻想や夢の世界とは少し違って、理知的です。

「応用弁証法」 1944または1945年 油彩/カンヴァス レスリー&デイヴィッド・ロガース蔵
第2次世界大戦でベルギーがナチス・ドイツに占領されたことを題材にしています。
2枚セットになっていて、左側には行進するドイツ兵やティーガ-らしい戦車が描かれています。
右側は敗走するドイツ兵で、略奪した品を荷車や乳母車に積み、豚を曳いて逃げて行きます。
略奪品がピアノや鳥かご、乳母車なのがシュールです。

大戦中のマグリットは敢えて印象派風の明るい絵を描いて、ルノワールの時代(1943-47)と
呼ばれたり、1948年にパリで初の個展を開いた時は、フォームもどきの荒々しい色彩と筆遣いの
作品を描いたりもしています。

「シェヘラザード」 1948年 油彩/カンヴァス ベルギー王立美術館
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明るい光の中に、真珠で出来た顔が立っています。
シェヘラザードは千夜一夜物語を語ったとされる王妃で、夜に活躍していますが、
この絵では真昼の日を浴びています。

やがてマグリットは自己の様式を完成させて行きます。

「光の帝国 Ⅱ」 1950年 油彩/カンヴァス ニューヨーク近代美術館
マ007

夜の街角と昼の空が一緒になって、詩的な雰囲気を生んでいます。
夕方には実際にこのような景色を見ることがありそうで、親しみやすさを感じます。

「ゴルコンダ」 1953年 油彩/カンヴァス メニル・コレクション
マ010

ゴルコンダはインド南部にあった王国で、ダイヤモンドを産したことで有名ですが、
17世紀に滅びています。
街角の空に、黑いコートに山高帽の男たちが浮かんでいます。
石炭の煙の煤で汚れた雨粒が、男の形になって降っているようにも見えます。

「再開」 1965年 油彩/カンヴァス 東京富士美術館
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マグリットがよく題材にしている、樹木や卵が描かれています。
円形の枠は草花のシルエットになっています。

「白紙委任状」 1965年 油彩/カンヴァス ワシントン・ナショナル・ギャラリー
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ちょっと見ると森の中を行く騎馬の婦人ですが、よく視ると木と人馬の前後関係が
おかしくなっています。
掛け抜けて行く馬を見た場合、こんな錯覚を起こしそうです。

「空の鳥」 1966年 油彩/カンヴァス ヒラリー&ウィルバー・ロス蔵
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空を飛ぶ鳥によって、昼と夜、鳥の形と空が逆転しています。
下の方の海に漁り火のような灯も見えます。

マグリットは少年時代、手の付けられない悪童でしたが、後には静かで何の波風も立てない
紳士になっています。
作品も不思議ですが、人物も不思議で、どこか騙されているような気持ちもします。

初期から作風が変わって行き、やがてマグリットとして完成する過程がよく分かる展覧会です。
130点ものマグリットが揃うと、観ているうちに自分の視覚というものにだんだん自信が
持てなくなり、周りの景色を用心深く視るようになりました。
ミュージアムショップの店員さんたちもマグリットと同じ黒の山高帽を被って応対していましたが、
あれは錯覚だったのでしょうか。

展覧会のHPです。

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【2015/04/06 19:42】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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