「生誕110年 片岡球子展」 国立近代美術館
竹橋
chariot

竹橋の国立近代美術館では、「生誕110年 片岡球子展」が開かれています。
会期は5月17日(日)までです。

片岡001


日本美術院の同人で、103歳の長寿だった日本画家、片岡球子(1905~2008)の回顧展です。


第1章 個性との闘い―初期作品 

片岡球子は札幌市出身で、1926年に女子美術専門学校(現女子美術大学)を卒業し、
横浜市の小学校で教員を勤めながら、制作に励んでいます。

「枇杷」 1930年 北海道立近代美術館
片岡010

院展の初入選作です。
写実的に描かれていて、まだ後の片岡球子らしさは出ていません。

その後は院展の落選を何回も繰り返し、「落選の神様」と自らを呼んだこともあったそうです。


第2章 対象の観察と個性の発露―身近な人物、風景

「飼育」 1954年 横浜市立大岡小学校
片岡009

勤務していた小学校での情景を作品にしています。
がっちりとした人物、細かい描き込みなどの特徴が表れています。
いわゆる上手く描こうという絵ではありません。
逆に教え子の小学生の描いたような、元気いっぱいの画面です。
片岡球子には、子どもの絵の感覚を取り入れているようなところがあります。

「初夏」 1956年 北海道立近代美術館
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輝く金地に描かれた、色とりどりの芥子の花と女性です。
真っ直ぐに立つ芥子は牡丹のように大きく、その生命力を装飾的に描いています。
白い袖のレース模様も描き込んであります。

「火山(浅間山)」 1965年 神奈川県立近代美術館
片岡012

片岡球子は火山をよく描いています。
近景から遠景に、黄金の稲穂、人家、浅間山と連なり、噴煙が空に上がっています。
山容の描写はフォーヴィズムと言って良いような、荒々しい力強さがあります。

片岡球子は、対象をただ写し取ったり、雰囲気で描くのではなく、ぐいぐい掴み取る
という描き方をします。
若い頃はゲテモノとまで言われたこともあったそうですが、先輩の小林古径からは、
「あなたの絵はゲテモノに違いないが、ゲテモノと本物とは紙一重、とことん描いて行けば
やがて嫌になり、薄紙がはがれるように変わるはずだから、やり方を変えてはいけない」と
励まされています。
嫌になるところまで描け、とは鋭い忠告だと思います。

「富士に献花」 1990年 個人蔵
片岡002

片岡球子の風景画の代表は、富士山を描いた作品です。
文化勲章を受章した翌年の作品で、富士山は朝日を浴びて紅く染まり、お供えするように
向日葵、牡丹、泰山木などが並んでいます。
片岡球子は、富士山を描く時には富士に着物を着せるような気持ちで描いている、
と述べています。
文字通り、富士の裾模様になっています。


第3章 羽ばたく想像の翼―物語、歴史上の人物

片岡球子は富士山のシリーズと並んで、「面構(つらがまえ)」のシリーズを中心にした、
人物画でも有名です。

「幻想」 1961年 神奈川県立近代美術館
片岡008

雅楽の舞人で、右が蘭陵王、左が還城楽(げんじょうらく)を演じています。
二つは違う演目ですが、作品では自由に組み合わされています。
どっしりとして煌びやかな衣装の表現が効果的です。

「面構 足利尊氏」 1966年 神奈川県立近代美術館
片岡004

片岡球子を代表する、面構の連作の第1作です。
京都等持院に置かれている足利尊氏の木像の顔に惹かれたからだということです
義満、義政とともに組になっていて、尊氏が黄色を基調にしているのに対して、
義満は赤色、義政は緑色で、黄不動、赤不動、青不動をイメージしているそうです。

「面構」シリーズは1966年の「足利尊氏、義満、義政」から始まっています。
足利尊氏を最初に選んだのは、京都等持院に置かれている木像の顔に
惹かれたからだということです。
五三の桐模様の装束を着た尊氏は、かなりデフォルメされた垂れ目ですが、
活き活きとして存在感があります。

「面構 狂言作家河竹黙阿弥・浮世絵師三代豊国」 
 1983年 神奈川県立近代美術館

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黙阿弥の代表作、「白波五人男」と作家が揃って、賑やかなことになっています。

「面構 浮世絵師歌川国芳と浮世絵研究家鈴木重三先生」
 1988年 北海道立近代美術館

片岡005

鈴木重三は日本の近世文学や浮世絵の研究家で、片岡球子に浮世絵資料を提供しています。
国芳が筆を執って鈴木重三の顔を写し取ろうとしています。
背景は鈴木重三の所蔵する、「七浦大漁繁昌之図」です。

「面構」シリーズでは、上杉謙信や写楽のように、肖像が残っておらず、
まったく顔の分かっていない人を多く描いています。
自由に想像を働かせて、を描きたかったのでしょう。


4章 絵画制作の根本への挑戦―裸婦

あまり知られていませんが、晩年には裸婦像を何点も描いていて、展覧会にも10点、
展示されています。

「ポーズ4」 1986年 札幌芸術の森美術館
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装飾性は無く、対象を掴むことに専念しているようです。

特集 スケッチブック 渡欧関係資料

片岡球子は欠かさずスケッチをしていて、展覧会でも展示されています。
ヨーロッパ旅行の時のスケッチやメモ書きもあって、特にパリではジョアン・ミロの
展覧会に出会い、何回も通っています。


展覧会に出された大作が多く、風景画も面構シリーズも、その色、形、勢いに圧倒されます。
観ているうちに、こちらもエネルギーをもらって、何だか元気が出てきます。

現在の院展は品の良い、おとなしい作品が多いのですが、片岡球子のような型破りの絵を
描く作家がもっと居ても良いのにと思います。

展覧会のHPです。

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【2015/04/16 20:24】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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