「100のモノが語る世界の歴史 大英博物館展」 東京都美術館
上野
chariot

上野の東京都美術館では、「100のモノが語る世界の歴史 大英博物館展」が
開かれています。
会期は6月28日(日)までです。

7月14日から9月6日までは九州国立博物館、9月20日から2016年1月11日までは
神戸市立博物館で開かれます。

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副題は、『人類200万年の「傑作」たち』となっていて、大英博物館の所蔵する
膨大なコレクションの中から100点を選び、人類の歴史を辿る展覧会です。

プロローグ

「古代エジプトの棺」 紀元前600年頃 エジプト 木、彩色
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女性楽師の棺と書かれているのに、中に入っていたミイラは男性だそうです。

「棺桶(ライオン)」 2003年 ガーナ 木、布、塗料
国立民族学博物館の所蔵のライオンの形をした棺桶も置かれています。
明るいオレンジ色をしていて、ヒゲも生えています。
現代でもこんな棺桶があるのかと驚きました。


第1章 創造の芽生え

「オルドヴァイ渓谷の礫石器」 200万-180万年前 タンザニア、オルドヴァイ渓谷 石
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人類が使い始めた最初の道具です。
オルドヴァイ渓谷では多くの礫石器が発見され、オルドヴァイ文化とも呼ばれています。


第2章 都市の誕生

「ウルのスタンダード」 紀元前2500年頃 イラク 貝、ラピスラズリ、赤色石灰岩、歴青
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ウルはシュメールの都市で、旧約聖書によればウルはアブラハムの出身地です。
高さ21.6㎝で、片面は平和、もう片面は戦争を表しています。
用途は不明で、軍旗(スタンダード)のように掲げていたのではないかとの説もあって、
この名が付いているそうです。
宴会のテーブルセンターになりそうです。


第3章 古代帝国の出現

「リディア王クロイソスの金貨」 紀元前550年頃 トルコ 金
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リディアはトルコ西部にあった王国で、世界最初に硬貨を発行した国とされています。
とても小さな金貨で、ライオンと牛が彫られています。
リディアの金貨は池袋のオリエント博物館でも展示されていました。

「アレクサンドロス大王を表した硬貨」 紀元前305-前281年 トルコ 銀
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アレクサンドロス大王のディアドコイ(後継者)の一人、リュシマコスの発行した銀貨で、
表には羊の角を付けた鉢巻を締めたアレクサンドロス大王の横顔が彫られています。
羊の角はエジプトのアメン神の象徴で、大王のエジプト征服を表しています。
リュシマコスは自らの権威付けに大王を利用している訳です。

「ロゼッタ・ストーン(レプリカ)」 紀元前196年エジプト、エル・ラシード(ロゼッタ) 石
同じ文章が古代エジプトの神聖文字、民衆文字、ギリシャ文字で書かれた有名な石です。
日本でもオリエント博物館などにレプリカが展示されています。


第4章 儀式と信仰

「ミトラス神像」 100-200年 イタリア、ローマ 大理石
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ミトラス教は古代ローマで一時盛んだった宗教で、太陽神ミトラスを信仰しています。
高さ1mほどの大きな像で、マントをひるがえしたミトラスが雄牛を殺し、犬とヘビが血を舐め、
サソリが陰嚢に取り付いています。
被っているのはフリギア帽といって、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」やフランスの
シンボル、マリアンヌも被っています。
ミトラス教はローマでの同じ新興宗教のキリスト教のライバルでしたが、やがてキリスト教に
押されて衰退し、消滅しています。


第5章 広がる世界

「ホクスンの銀製胡椒入れ」 350-400年 イギリス、ホクスン 銀
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古代ローマの、高さ10㎝ほどの小さな銀製の容器で、裏側の穴には出て来る胡椒の量を
調節できる蓋が付いています。
胡椒は当時、インドから輸入された貴重品でした。
他の多くの財宝と一緒にサフォーク州ホクスンの地中に埋められていたのが、1992年に
発見されています。
407年にローマ軍団がイギリスから撤退した時に埋められたのではないかと考えられています。


第6章 技術と芸術の革新

「聖エウスタキウスの聖遺物容器」 銀器、金鍍金、水晶、玉髄、アメジスト、
 力ーネリアン、真珠、ガラス、黒曜石 スイス・バーゼル 1210年頃

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聖エウスタキウスは2世紀頃のローマの将軍で、狩の最中に輝く磔刑像を付けた
白い牡鹿に出合い、キリスト教に改宗したと言われています。
ハドリアヌス帝の時、棄教を拒んだため焼き殺され、聖人となっています。
高さは35cmで、中には布に包まれた骨片が入っていました。

デューラーの描いた版画の中に聖エウスタキウスを題材にした作品があります。

2010年に国立西洋美術館で開かれた、「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」の記事です。

「ルイス島のチェス駒」 1150‐1200年 
 イギリス、ルイス島 おそらくノルウェーで制作 セイウチの牙、クジラの歯

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映画の「ハリー・ポッター」にも登場したチェス駒で、キング、クイーン、ビショップ、ナイトなどが
揃っています。
駒の背中には北方的な渦巻き植物模様が彫られています。
インド生まれのチェスはヨーロッパに入った時にクイーンとビショップ(司教)が加わっています。
ルイス島はスコットランド西部の島ですが、ノルウェーの工房で作られたと思われるチェス駒が
なぜここにあったのかは不明です。

デューラー作 「犀」 1515年 ドイツ、ニュルンベルク 木版
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インドのグジャラート国王がポルトガル国王に贈ったインドサイが描かれています。
デューラーは実物を見ておらず、説明書きとスケッチを頼りに描いていて、
彼の存命中に4-5000枚も売れた人気作になっています。
想像で描いた分、かえって迫力のある姿です。


第7章 大航海時代と新たな出会い

「初めての世界通貨(ピースオブエイト)」 1573-1598年 ボリビアとメキシコ 銀
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スペインがメキシコやボリビアで採掘した銀で作った銀貨で、ヨーロッパやアジアでも流通し、
世界通貨となっています。
8レアルの価値があったので、ピースオブエイトとも呼ばれ、アメリカ合衆国では
1ドル銀貨として通用したので、メキシコドルとも呼ばれています。

「ベニン王国の飾り板」 1500‐1600年 ナイジェリア 真鍮
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ベニン王国は12世紀から1897年までナイジェリア南部にあった王国で、
ヨーロッパとの象牙、胡椒、奴隷などの貿易で栄えました。
飾り板は「オバ(支配者)とヨーロッパ人」「クロスボウを持つヨーロッパ人」
「火縄銃を持つヨーロッパ人」の3枚があって、ポルトガルとの接触の様子を伝えています。


第8章 工業化と大量生産が変えた世界

「自在置物(ヘビ)」 1800-1900年 日本 鉄、金鍍金(部分)
形を自由に変えられる自在置物は外国でも珍しがられたようです。
上野の東京藝術大学大学美術館で5月17日(日)まで開かれている、「ボストン美術館×
東京藝術大学 ダブル・インパクト 明治ニッポンの美」展でも、ボストン美術館の所蔵する
大きな自在置物が展示されていました。

「ダブル・インパクト展」の記事です。

「アフガニスタンの戦争柄絨毯」 1980-1989年 アフガニスタン 毛織物
1979年に始まるソ連のアフガニスタン侵攻を絵柄にしていて、戦車やヘリコプター、
頭に角を生やしたソ連兵と戦うアフガン義勇兵が織り出されています。
ソ連兵は悪魔の手先という意味でしょう。
古代にはアレクサンドロス大王がアフガニスタンに侵攻し、カイバル峠を越えて、
インドに向かっています。

『銃器で作られた「母」像』 2011年 モザンビーク 金属、プラスチック
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モザンビーク内戦で廃棄された銃を回収して物資と交換する、1995年から始まった、
「銃を鍬へ」プロジェクトで集められた武器で作られています。
ハンドバッグはカラシニコフの弾倉、肩は拳銃の銃把など、銃の部品で作られた像です。
「母」は再生を象徴しています。

「クレジットカード」 2009年 アラブ首長国連邦 プラスチック
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現代は金銀ではなく、プラスチックが貨幣の役割を果たしています。
ICチップを埋め込んだカードはシリコンという石を使っているので、
現代は新・石器時代とも言えます。


人類の歴史という巨大なテーマを、世界各地の太古から現在までの貴重な品々によって
解説する、とても興味深い展覧会です。

会場入り口にはルイス島のチェス駒があって、記念撮影が出来ます。
中央がキング、左がクイーン、右がナイトです。

英IMG_0370 - コピー


私はオープンの初日に行きましたが、来館者が多い上に展示物は小さい物が多いので、
会場はかなり混んでいました。
人気のある展覧会なので、早めに行かれることをお勧めします。

展覧会のHPです。

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【2015/04/25 19:13】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんばんは。
  • 確かに大英博物館から古代エジプト、オリエント、ギリシャのエルギン・マーブルなどを除いたら、かなりつつましくなってしまいます。
    大英帝国の栄光が巨大だっただけに、その差は激しいですね。

    【2015/04/26 20:56】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 大英ですが
  •  大英博物館と良いながらイメージはエジプトとオリエント。イギリス独自の物は案外クローズアップされることが無いという矛盾。ま、歴史的なスケールが違いすぎるからかなぁ。かつての世界帝国故の悲劇ですかねぇ。

    【2015/04/26 14:29】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















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