田渕俊夫展
三越前
chariot

日本橋三越新館7階ギャラリーで1月18日(日)まで開かれている「画業40年
東京藝術大学退官記念 田渕俊夫展」に行ってきました。

三越新館の正面入口です。
年末に行きましたが、門松も飾られています。

三越2


田渕俊夫は平山郁夫に師事した日本画家で、東京藝術大学副学長を勤め、
画風は緻密な線描と色彩の深さに特徴があります。

伝統的な日本画の技法に依りながら、近代的な感覚を取り入れた、正統的な
日本画を描いています。
線描を駆使して対象を徹底的に細かく描きこむ技法で、都市を描いた風景画では、
写真のような正確な線描で対象を描き出しています。

ベトナムの街角を描いた「時の証人」は、駆け抜けるバイクの群れを、まったく同じ
絵柄のバイクに乗った人物を少しづつずらしながら描く技法で表現して、その喧騒を
うまく表しています。
伝統的な日本画というより、現代アートの趣があります。

自然の風景や植物も葉の一枚一枚までていねいに描きこみますが、線がすっきり
しているので、しつこさはありません。

色彩は、個別の対象に色を付けるだけでなく、色面として使ったりもします。

絵具は天然顔料をもっぱら使うとのことで、あまり多くの色は使わず、緑青、群青、
朱の色が際立ちます。
色数を抑えた分、画面に奥深さを感じます。

水墨画も手掛けていて、永平寺や鶴岡八幡宮に描いた襖絵も出展されています。
永平寺の襖絵では墨の濃淡を使って森、霧、雪、水を巧みに描き分け、いかにも
禅宗寺院にふさわしい、清澄な画面になってます。

枝々に細かい若葉の生えた巨木を見上げて描いた屏風絵の「緑溢れる頃」は、
水墨画でありながら、確かに溢れる緑を想像します。

田渕俊夫は東京藝術大学入学時の成績はあまり良くなく、在学中も低迷気味で、
迷いの中で描いた大学院の卒業制作が思いがけず一等になり、それ以降自信が
ついて画業が伸びたということです。

その作品と同じ図柄の「水」が出展されています。
近所の江戸川を描いたそうですが、後の画風と異なり、線描の無い、暗い色面の
抽象画のような絵で、どこが江戸川なのかよく分かりません。
全体の画面構成の確かさが評価されたのでしょうか。

先日、遺作展を観た高山辰雄の卒業制作が、砂丘に座る女子学生を描いた、
線描による、明るい、自信に満ちた作品なのとは大きな違いです。
しかし、その後二人とも画風が大きく変わったこと、細かい筆遣いを積み上げた
描き方をすること、デッサンを徹底的に行なうことは共通しています。

展覧会のHPです。


【2009/01/03 08:00】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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