「着想のマエストロ 乾山見参!」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
chariot

六本木のサントリー美術館では、「着想のマエストロ 乾山見参!」展が
開かれています。
会期は7月20日(月・祝)まで、休館日は火曜日です。
会期中、展示替えがありますので、展覧会のHPの中の作品リストをご確認ください。

乾山001


尾形乾山(1663-1743)は京都の呉服商、雁金屋に生まれています。
琳派の絵師、尾形光琳の弟です。

若いうちに隠居して、野々村仁清に陶芸を学び、元禄12年(1699)には
本格的に作陶を始めています。
窯のある鳴滝が京都の乾(北西)に当たることから、乾山と号しました。

「色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿」 元禄15年(1702) MOA美術館
乾山003

12枚セットになっていて、陶器で正方形の画面を作り、色紙のようにして
絵を描いています。
裏に乾山の書で、藤原定家の歌が書いてあります。
絵は狩野探幽の絵を忠実に写したものだそうです。
この皿は正月で、柳にウグイスです。

「色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿」 江戸時代 18世紀 出光美術館
こちらは狩野派と琳派の画風の皿を交えています。

「銹絵山水図四方鉢」 宝永2年(1705) 個人蔵
乾山002

こちらは黑褐色の鉄釉を使って、水墨画の雰囲気を出しています。
このような中国画風の作品としては最古例とのことです。

『銹絵楼閣山水図八角皿「寶永年製」銘』 1704-1710年 出光美術館
仁清007

唐の詩人、章八元の「題慈恩寺塔」に依った絵柄です。

十層突兀在虛空 四十門開面面風と書かれていて、描かれている絵はここには
書かれていない、滿城春樹雨濛濛の詩句を想像させています。
描かれた絵から書かれていない言葉を引き出す、「当てもの」の趣向になっていて、
乾山は当てものを多く手掛けています。

「銹絵山水文四方火入」 尾形乾山作・尾形光琳画 江戸時代 18世紀 大和文華館
乾山008

兄の光琳との合作で、光琳は4面に雪舟の山水図のような絵を描いています。

「銹絵玉取獅子摘四方香炉」 正徳5年(1715) 個人蔵
根003

四角い香炉で、摘みは高欄の中で鞠を持つ獅子です。
同じデザインで大きさの違う、出光美術館所蔵の香炉も展示されています。

「色絵花唐草文水指」 江戸時代 18世紀 妙法寺
乾山005

明の赤絵の陶磁器を写した、華やかな水指です。

「色絵阿蘭陀写花卉文八角向付」 江戸時代 18世紀 出光美術館
乾山009

西洋風の図柄のセットです。

乾山は中国やオランダなどヨーロッパの陶磁器の写しをよく作っています。
オランダ渡りの陶磁器を目にする機会があったのでしょう。

「銹絵染付金銀白彩松波文蓋物」 江戸時代 18世紀 出光美術館 重要文化財
仁清006

蒔絵硯箱などの木器を元にしたと思われ、素地の上に金銀や白、染付を使って
松を描いています。
内側は白化粧に金彩と染付で波を描き、砂浜の松林を表す意匠になっています。
銀彩を使うのは乾山では珍しいそうです。

「白泥染付金彩芒文蓋物」 江戸時代 18世紀 サントリー美術館 重要文化財
乾山012

外側に薄の原を描き、内側は染付の花襷四葉文という、まったく違う図柄を
取り合わせています。

「銹絵染付梅波文蓋物」 江戸時代 18世紀 MIHO MUSEUM
乾山006

外側を梅の花で埋め尽くし、蓋を取ると流水が現れます。
光琳の「紅白梅図屏風」を思い出す図柄です。

「銹絵染付白彩梅花文蓋物」 江戸時代 18世紀 MOA美術館
乾山007

外側の梅花模様が透き通って内側に映っているように見えます。

乾山の蓋物は外側と内側の図柄の取り合わせを考え、面白い趣向にしています。

乾山は正徳2年(1712)に、窯を鳴滝から二条丁子屋町に移し、その頃盛んに
作られるようになった懐石料理の器の制作を多く手掛けるようになります。

「色絵菊図向付」 江戸時代 18世紀 五島美術館
乾山010

菊の花の集まりをかたどり、1枚ごとに少しずつ絵柄を変えてあって、
デザイン性にあふれています。
裏に書かれた「乾山」の字は、ブランドのロゴマークの役を果たしています。

「夕顔図黒茶碗」 江戸時代 18世紀 大和文華館
乾山011

源氏物語の夕顔の巻にちなんだ図柄です。
厚塗りで大きく夕顔の絵が描かれ、茶碗の曲面まで絵画の画面として使われています。
室町時代の歌人、三条西実隆の歌が書かれています。

よりてだに露の光りやいかにとも思ひもわかぬ花の夕がほ

「色絵竜田川文透彫反鉢」 江戸時代 18世紀 出光美術館
乾山004

鉢の外側にも内側にも紅葉と川波を描いています。
秋の竜田川の水面を切り取って器に仕立てたような造形です。

乾山の陶磁器は京焼の伝統に連なっていますが、とても絵画的で、デザイン性にすぐれ、
文芸に通じ、その着想は独創的です。

京都ではやがて尾形乾山の系統は絶えていますが、江戸では酒井抱一が尾形光琳を
顕彰する過程で、乾山の系統を発見しています。
その系譜はバーナード・リーチや富本憲吉にまで連なっているそうです。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「藤田美術館の至宝 国宝 窯変天目茶碗と日本の美」展です。
会期は8月5日(水)から9月27日(日)です。

関連記事

【2015/05/31 19:34】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
please comment















管理者にだけ表示を許可する

trackback
trackback url ↓
http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/2664-b4c801ab

プロフィール

chariot

Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム |