「ボルドー展―美と陶酔の都へ―」 国立西洋美術館
上野
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上野の国立西洋美術館では、「ボルドー展―美と陶酔の都へ―」が開かれています。
会期は9月23日(水・祝)までです。

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フランス、ボルドーの先史時代から現代までの歴史を紹介する展覧会で、
約200点が展示されています。

ボルドーは大西洋に面したアキテーヌ地方のジロンド県にあります。
ガロンヌ川沿いの港町として栄え、ガロンヌ川が市内で三日月型に
湾曲していることから「月の港」と呼ばれています。

「角を持つヴィーナス(ローセルのヴィーナス)」 
25000年前頃 アキテーヌ博物館

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アキテーヌ地方の洞窟で発見された、旧石器時代の浮き彫りです。
岩の曲面を巧く利用していて、腰の部分が突き出て来るように見えます。
持っている角の意味は不明ですが、豊穣を表すのではないかとされています。
まだ農耕の始まっていない時代です。

ボルドーはガリア人の建てた町で、ブルディガラと呼ばれていました。
紀元前1世紀にカエサルのガリア征服によってローマ領となっています。

「ボルドー・ワイン用のアンフォラ」 
テラコッタ製 1世紀半ば アキテーヌ博物館

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アンフォラは2つの持ち手のある運搬・保存容器です。
通常のアンフォラは細長い形をしていますが、こちらはずんぐりしています。
1世紀末にはこの地域はワインの醸造地として知られるようになっています。

「ボルドー市の紋章」 石灰岩 14世紀末-15世紀初頭 アキテーヌ博物館
イングランドが支配していた時代の紋章で、ガロンヌ川とボルドー市庁舎の上に
3頭のライオンが彫られています。
3頭のライオンはイングランド王室の紋章で、イギリスの国章にも使われています。
アキテーヌ女公のアリエノール・ダキテーヌと後のイングランド王ヘンリー2世の結婚により、
アキテーヌ地方は12世紀からイングランド領となりますが、百年戦争の末期の1453年に
イングランド軍は撤退しています。

やがてボルドーは、ヨーロッパの製品をアフリカに、アフリカの黒人奴隷をアンティル諸島に、
アンティル諸島の大農園で栽培したコーヒーや砂糖をヨーロッパに送る三角貿易の
拠点として発展し、18世紀に最盛期を迎えます。

「ボルドーの港と河岸の眺め(シャルトロン河岸とバカラン河岸)」
  ピエール・ラクール(父) 1804-1806年 ボルドー美術館

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横340㎝の大作で、川岸にはネゴシアン(ワインの醸造・卸売業者)の館や倉庫が建ち並び、
小舟からは建築資材が陸揚げされています。
ピエール・ラクールはボルドー美術館の学芸員で、絵の中に柵の横でスケッチしている姿を
描き込んでいます。
日傘をさして覗いているのは妻で、左隅でやはりスケッチをしている人物は息子です。

「玉座の聖母子と聖ヒエロニムス、聖アウグスティヌス」 
 ピエトロ・ヴァンヌッチ、通称ペルジーノ/ジョヴァンニ・バティスタ・カポラーリ、
 通称ピッティ(工房)/エウセビオ・ダ・サン・ジョルジョ 
 1500‒1510 年頃 ボルドー美術館

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横217㎝の大きな作品で、左の赤い服はラテン語訳聖書のヴルガータ聖書の
翻訳者とされる聖ヒエロニムスです。
右は聖アウグスティヌス古代キリストの神学者です。
ボルドー美術館は、フランス革命戦争で各国から集めた美術品をフランス各地に
分配するために1801年に設立された美術館です。
この絵も1797年のナポレオンのイタリア遠征による戦利品です。

「フェードルとイポリット」 ピエール・ナルシス・ゲラン 1815年 ボルドー美術館
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「フェードルとイポリット」はラシーヌ作の悲劇で、継子のイポリットを恋してしまった
フェードルの物語です。
身に降りかかった嫌疑に驚くイポリット、疑う父のテゼー、うろたえる妻のフェードル、
悪知恵を吹き込む乳母のエノーヌを緊迫した一場面の中に描き込んでいます。
ピエール=ナルシス・ゲラン(1774-1833)は新古典派の画家で、人物も磁器のように
玲瓏としています。
この作品は、アイルランド出身のネゴシアン、ウォルター・ジョンストンのボルドー郊外の
別荘の図書室に飾られていました。

「ライオン狩り」 ウジェーヌ・ドラクロワ 1854-55年 ボルドー美術館
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横360㎝の大作で、躍動的で色彩豊かな、東方趣味にあふれた作品です。
1855年のパリ万博のために政府の依頼により制作され、後にボルドー市に送られましたが、
1870年の火災のために、上の方を損傷しています。
ドラクロワは幼年時代をボルドーで過ごし、後にゲランに師事していますが、作風は整然とした
新古典主義とは対照的で、躍動的なロマン主義です。

「ライオン狩り」(ドラクロワ作品に基づく模写) 
 オディロン・ルドン 1860-70年 オルセー美術館(ボルドー美術館へ寄託)

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サイズを縮めた模写で、原作の今は火災で失われた部分も描かれています。
ルドンは少年時代をボルドー近郊のペイルルバードで過ごしています。
初期のルドンは黒と白の作品で知られていますが、早くから色彩への関心を
持っていたようです。

「ボルドー・ワイン」 クロード・モネ 
 1857年 マルモッタン・モネ美術館

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モネは10代の頃、戯画を描くのを得意としていました。
栓抜きになった顔の酔っ払ったような赤い鼻と頬のあしらいが巧みで、
ブドウの紫や緑と釣り合っています。

「ボルドー―港、歴史建築、ワイン」 
ジャン・デュバ 1937年 アキテーヌ博物館

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ポスターでしょうか、アール・デコ調の作品で、帆船の載ったブドウの柱、
蒸気船の載った歴史的建造物の柱を女性が支えています。


ワインで知られるボルドーの、先史時代からの歴史をたどることが出来る、
とても興味深い展覧会です。
特に「ローセルのヴィーナス」とドラクロワの「ライオン狩り」は印象的でした。

展覧会のHPです。

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【2015/06/29 19:36】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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