「うらめしや~、冥途のみやげ展」 東京藝術大学大学美術館
上野
chariot

上野の東京藝術大学大学美術館では、「うらめしや~、冥途のみやげ展」が
開かれています。
会期は9月13日(日)までです。

うら001


谷中の全生庵の所蔵する、三遊亭圓朝ゆかりの幽霊画のコレクションを中心にした、
夏らしい趣向の展示です。
多くの作品が8月16日までの前期と、8月18日からの後期に分けて展示されます。

I  圓朝と怪談

三遊亭圓朝(1839~1900)は幕末から明治にかけての落語家で、名人と謳われ、
「牡丹灯籠」「真景累ヶ淵」「怪談乳房榎」などの怪談噺を創作しています。
圓朝は幽霊画を収集していて、圓朝の墓のある全生庵は50幅を所蔵しています。

鏑木清方 「三遊亭圓朝像」 昭和5年(1930) 
 東京国立近代美術館 重要文化財

うら007

鏑木清方の父は圓朝と親交があり、清方自身も17歳の時に圓朝の取材旅行に
同行しています。
その頃を思い出して描いた作品で、圓朝は大柄で面長の顔をしていて、
紋付には高崎扇の紋が入っています。


II 圓朝コレクション

圓朝コレクションも8月16日までの前期と、8月18日からの後期に分けて展示されます。
展示室は照明を落とし、壁にぐるりと幽霊の掛軸がかかっていて、天井から途中まで
蚊帳が吊ってあり、雰囲気を出しています。

中村芳中 「枕元の幽霊」 全生庵
うら006

前期の展示です。 
女物の枕のように見えるので、後妻の枕元に現れた先妻の幽霊でしょうか。
中村芳中が描くと、幽霊も何だか可笑しみがあります。

鰭崎英朋 「蚊帳の前の幽霊」 明治39年(1906) 全生庵
うら004

行灯の光りに浮かぶ若い女性の幽霊が蚊帳を透かして見えます。
鰭崎英朋(ひれざきえいほう:1880~1968)は明治から昭和にかけての画家で、
美人画を得意としています。
この絵は初期の作品ですが、風情があり、美人画の一種とも言えます。

三代歌川広重 「瞽女の幽霊」
前期の展示です。
瞽女(ごぜ)は盲目の旅芸人です。
三味線を担ぎ、杖を手にして水の上に現れています。
瞽女の境遇を思うと、怖さより、哀れさを誘います。

月岡芳年 「宿場女郎図」
前期の展示です。
病のためか、痩せさらばえ、幽鬼のようになった宿場女郎が階段の途中で
振り返っています。
そこには生の悲惨さが表れています。

筆者不詳 「骨を打つ修羅」
前期の展示です。
修羅道に堕ちた女が打杖を振り上げて、野晒しになった白骨を打ち据えています。
どういう恨みなのか、白骨を責めるという、凄まじい怨念の感じられる絵です。


III 錦絵による〈うらみ〉の系譜

四谷怪談や番町皿屋敷などを題材にした浮世絵の展示です。

歌川国芳 「浅倉当吾亡霊」 嘉永4年(1851)大判錦絵
うら005

前期の展示です。
佐倉藩の苛政を徳川家綱に直訴し、処刑されたと云われる佐倉惣五郎を題材した歌舞伎、
「東山桜荘子(ひがしやまさくらそうし)」の一場面です。
磔の槍で突かれた血を首から流した浅倉当吾が幽霊となって現れています。
佐倉惣五郎は江戸時代以来、義民として高い人気を得ています。


IV 〈うらみ〉が美に変わるとき

伝円山応挙 「幽霊図」 江戸時代(18世紀) 福岡市博物館
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幽霊と言えば円山応挙とされるほど、応挙の描く幽霊は有名で、幽霊画の基本と
なっています。
髪は結わずに垂らし、足は描かれず、この絵では着物も輪郭線を用いない
没骨で描かれ、おぼろげな風を見せています。

松岡英丘 「伊香保の沼」 1925年 東京藝術大学
松007

10月30日までの展示です。
竹田信玄の箕輪城攻めの際、榛名湖に身を投げて蛇になったという
木部姫の伝説に拠った作品です。
足を湖水に入れ、朽木に掛けた姫は風に髪を乱し、物思わしげな風情です。
大きな掛け軸で、背景の榛名湖と榛名山の描写に存在感があります。


上村松園 「焔」 大正7年(1918) 絹本着色 東京国立博物館
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9月1日~9月13日の展示です。
上村松園(1875~1949)の代表作で、謡曲「葵上」の、光源氏の正妻、葵上に嫉妬する
六条御息所の生霊の姿です。
源氏物語の世界ですが、桃山時代の風俗で描かれています。
長い髪は煙るように流れ、裾はぼかされています。
細身の体に沿う長い藤の花と、怨念を表すかのような蜘蛛の巣の柄の小袖を
片袖脱ぎにして、物狂いの様を示しています。

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凄みのあるのは顔の描写で、頬や額は青ざめ、お歯黒の口は髪を噛んでいます。
能楽師の助言で、能面の目に金泥を塗る泥眼という技法を借り、絹地の裏から
目に金泥を塗って、異様な光を見せているとのことです。
指も細く、左手の小指も立って、感情の烈しさを表しています。


現代は即物的なためか、幽霊はあまり現れず、絵に描かれることもありません。
見かけは明るく平たい時代で、〈うらみ〉の居場所も無くなってしまったのでしょうか。


ミュージアムショップの方は白い着物で販売していましたが、男女とも襟は右前でした。
左前だと怖いことになります。


展覧会のHPです。

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【2015/07/31 20:23】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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