「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」 練馬区立美術館
中村橋
chariot

練馬区立美術館では開館30周年記念、「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」が
開かれています。
会期は9月6日(日)までです。

舟越002


戦後日本を代表する彫刻家、舟越保武(1912-2002)の初期から晩年の作品、
約60点とドローイングが展示されています。

舟越保武は岩手県出身で、高村光太郎訳の「ロダンの言葉」に感銘を受け、
彫刻家を志しています。
東京美術学校在学中の1937年から終戦の年の1945年まで、練馬駅近くの
アトリエ付き長屋に住み、同級の佐藤忠良らと共同生活をしていました。

「隕石」 大理石(紅霰) 1940年 岩手県立美術館
1940年に初めて石彫に取組んでいます。
椎名町の大理石工場で見かけた、ほのかに赤い大理石を見て一目ぼれし、
質屋で金を工面して大理石を買い、近所の石屋の親方から道具の使い方を
習って、彫り始めたそうです。
この作品も赤い大理石で、舟越保武の特徴の端正な作風が表れています。

「萩原朔太郎」 ブロンズ 1955年 岩手県立美術館
舟越004

1942年に亡くなった萩原朔太郎の頭像です。 

「若き石川啄木」 ブロンズ 1965年 盛岡市
同じ岩手県出身の石川啄木の頭像です。
顔をつくるのに苦労していた時、夢に啄木が現れ、自分の側を通り過ぎて行ったので、
その顔を捉えて記憶に留め、作品にしたそうです。

「長崎26殉教者記念像」 FRP 1962年 岩手県立美術館
1597年に豊臣秀吉の命により長崎で磔にされ、殉教した26人のカトリック信者の像です。
処刑地である西坂の丘に建てられた26人の等身大のブロンズ記念像のレプリカで、
4体が展示されています。
合掌し、中空に浮かんで、天に召される様を表しています。
舟越保武の父はカトリック信者で、自身も1950年に洗礼を受けています。

「原の城」 ブロンズ 1971年 岩手県立美術館
舟越005

島原の乱で滅びたキリシタンの武士の像で、「長崎26殉教者記念像」の除幕式に
出席した折に訪れた、一揆の拠点、原城跡で受けた感銘を作品にしたとのことです。
十字架の印を付けた鎧を着て両腕を垂らし、目は空ろになった、亡霊のような姿です。
鎧の背中には字が彫ってあります。

 いえずす
 さんたまりあ
 寛永十五年
 如月二十八日
 原の城
 本丸にて没

一揆の立てこもった原城は寛永15年(1638)の2月28日に陥落し、一揆勢は全員が
殺されています。

「ダミアン神父」 ブロンズ 1975年 岩手県立美術館
高さ約2mの立像で、ハワイのモロカイ島でハンセン病患者のために献身的に活動した、
ベルギー出身のダミアン神父(1840-1889)の姿を表しています。

「ダミアンの手」 ブロンズ 1977年 個人蔵
舟越007

「聖セシリア」 ブロンズ 1979年 岩手県立美術館
舟越010

聖セシリアは古代ローマの殉教者で、音楽家と盲人の守護聖人とされています。
舟越保武はこのような端正で清楚な女性像を多く制作しています

「聖クララ」 砂岩(諫早石) 1981年 岩手県立美術館
舟越001

聖クララ(キアラ)(1194-1253)はアッシジで聖フランチェスコに従って
修道生活を送り、女子修道会を設立しています。
青みがかった石で、作品が少し冷たく感じられるので、試しに紅茶を少し
塗ってみたところ、温かみのある色合いになったそうです。
優しいまなざしをしていて、頬のあたりなどにほんのり赤みがさし、
表情に潤いがあります。

「聖マリア・マグダレナ」 茶コンテ・紙 1984年頃 個人蔵
舟越008

真横から描いていて、ルネッサンス風の趣きがあります。
ドローイングは息子で同じ彫刻家の舟越桂さんのドローイングにも
似たところがあります。

「ゴルゴダ II」 ブロンズ 1993年  岩手県立美術館
舟越009

舟越保武は1987年に脳梗塞を起こし、右半身不随となりますが、
左手で制作を続けています。
それまでは端正で、磨き上げられた像でしたが、本質を掴み取ったような
荒々しい造形に変わります。


初期の作品から、カトリックの信仰に根差した崇高さに満ちた作品まで、
観ていて心が清められる思いがしました。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は開館30周年記念、「アルフレッド・シスレー展―印象派、
空と水辺の風景画家―」です。
会期は9月20日(日)から11月15日(日)までです。

シスレー001

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【2015/08/08 19:22】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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