「藤田美術館の至宝 国宝 曜変天目茶碗と日本の美」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
chariot

六本木のサントリー美術館では、「藤田美術館の至宝 国宝 曜変天目茶碗と日本の美」展が
開かれています。
会期は9月27日(日)まで、休館日は火曜日です。
8月31日までの前期と9月2日からの後期で、展示替えがありますので、展覧会のHPの
作品リストをご確認ください。

藤田001


明治の実業家、藤田傳三郎(1841-1912)とその子息の収集した美術品、約2000件を
収蔵する、大阪の藤田美術館のコレクションを初めて東京で展示する展覧会です。

第1章 傳三郎と廃仏毀釈

関西の実業家として活躍していた藤田傳三郎は美術への関心が高く、
明治の神仏分離令に伴う廃仏毀釈運動による文化財の破壊や海外流出を防いでいます。

「千体聖観音菩薩立像」 平安時代 12世紀
藤田017

平安末期から鎌倉時代にに掛けて、多くの仏像仏画をつくるほど功徳になるとの
考えが広まり、さまざまな千体仏が制作されています。
興福寺にあった千体仏の一部で、明治39年に売却されています。
興福寺では明治初めの廃仏毀釈により荒廃し、数多くの仏像が失われています。

「地蔵菩薩立像」 快慶作 鎌倉時代 13世紀 重要文化財 
藤田018

雲に乗った形をしていて、人々を救済するため現れた様を示しています。
快慶後期の作で、袈裟には截金が施され、衣の模様も3種類あるていねいなつくりで、
快慶らしい極めて優美な姿です。
光背にある梵字は文殊菩薩を表すことから、光背は他の仏像からの転用かもしれない
とのことです。

「両部大経感得図」 藤原宗弘筆 保延2年(1136) 国宝 
前期の展示です。
廃仏毀釈のため廃寺となった、天理市の内山永久寺に伝来した仏画です。
密教の経典である大日経と金剛頂経にまつわる伝承を描いています。

右:善無畏金粟王塔下感得図
藤田011

密教の祖師の一人、善無畏は北インドの金粟王塔の下で、文殊菩薩によって
湧き上がった雲の上に出現した金色の文字を写し取り、大日経の欠けている
部分を感得しています。

左:龍孟南天龍孟南天鉄塔内相承図
藤田010

龍孟が南インドの鉄塔の中に納められ、神々に護られていた金剛頂経を
数日かけて暗誦し、塔から出て書写しています。


第2章 国風文化へのまなざし

「玄奘三蔵絵」 十二巻のうち第一巻(部分) 鎌倉時代 14世紀 国宝
藤田004

玄奘三蔵の一生を描いた絵巻物で、インドに赴くことを決心したときに
玄奘が見た夢を描いています。
荒海の向こうにある須弥山に渡ろうとすると海中に蓮の花が現れ、
それを伝って渡ることが出来たというものです。

「大伴家持像(上畳本三十六歌仙切)」 鎌倉時代 13世紀 重要文化財
藤田016

三十六歌仙絵巻の断簡で、畳の上に座っているのでこの名があります。

 さをしかのあきたつをのゝあきはきを
  たまとみるまてをけるしらつゆ


第3章 傳三郎と数寄文化

藤田傳三郎は茶の湯を好み、三井物産の益田孝(鈍翁)や、同じ長州出身の
井上馨らと交流しています。

大燈国師や一休宗純の書、馬遠や狩野正信の絵などが展示されています。


第4章 茶道具収集への情熱

「曜変天目茶碗」 南宋時代 12~13世紀 国宝
藤田002

碗の内側には曜変が星のように散らばり、青くオーロラのように光る部分もあります。
同種の曜変天目茶碗は日本に3点あるだけで、他に静嘉堂文庫と大徳寺龍光院が
所蔵しており、すべて国宝です。
外側にも曜変が見られるのはこの碗だけで、徳川家康から水戸徳川家に渡り、
1918年に長男の平太郎が入手しています。
日本が第1次世界大戦による大戦景気に沸いていた頃です。
 
「田村文琳茶入」 宋~明時代 13~15世紀
藤田012

文琳とはリンゴのことで、リンゴのような丸い形をしています。
田村右京太夫の所持とも言われていることからこの名があります。
藤田傳三郎はこの茶入をようやく入手し、同じく入手を願っていた
「交趾大亀香合」と取り合わせた茶会を開きたいと思っていたそうです。

「交趾大亀香合」 明~清時代 17世紀
藤田005

交趾とは、中国の広東地方で焼かれ、ベトナム南部の交趾支那(コーチシナ)との
貿易船によって運ばれてきた陶器を言います。
背中の甲羅の色合いの面白い、可愛い香炉です。
藤田傳三郎は亡くなる10日前になって入手しています。
「田村文琳茶入」と取り合わせた茶会は叶いませんでした。

「銹絵絵替角皿」 10枚 尾形乾山作 尾形光琳画 
藤田015

 江戸時代 18 世紀 重要文化財

尾形光琳が絵付けをし、弟の乾山が焼いた皿で、梅、柳、菊、竹、鶴、布袋、
大黒など、目出度い絵柄が伸び伸びとした筆遣いで描かれています。


第5章 天下の趣味人

能をたしなみ、同時代の日本画も収集しています。

「大獅子図」 1902年頃 藤田美術館
鳳凰008

前期の展示です。
1900年に渡欧した時にアントワープの動物園で観たライオンの姿で、
帰国を遅らせてまで重ねた写生を元にしています。
金地に等身大より大きめのライオンだけを置き、たてがみや顔の毛も細かく
描き分け、瞳の光まで描き出していて、近くで観ると、噛みつかれそうな
迫力があります。
獅子からライオンに変わるための、竹内栖鳳の写実への執念が偲ばれます。


仏教美術、絵画、茶器など、収集の範囲は幅広く逸品揃いで、それらをまとめて
観ることの出来る、とても贅沢な展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「久隅守景展(仮称)」です。
会期は10月10日(土)から11月29日(日)までです。

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【2015/08/26 20:43】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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