「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20’s paris」展 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館
新宿
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新宿の東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館では11月8日(日)まで、
「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20’s paris」展が開かれています。

印象001


印象派の後の20世紀初頭、フォーヴィズムやキュビズムなどの前衛的な芸術運動に
加わらず、親しみやすい作品を描き続け、「アンティミスト(親密派)」と呼ばれた
画家たちに焦点を当てた展覧会です。
若い芸術家たちの発表の場として1900年に第1回の展覧会を開いた、フランスの
画家彫刻家新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)に属していた約20名の作品、
約80点が展示されています。
多くのメンバーは国立美術学校(エコール・ド・ボザール)の出身です。

エドモン・アマン=ジャン 「リンとフランソワのアマン=ジャン兄弟」 1907年 個人蔵
最013

犬と猫を抱き、後ろには赤い花の咲いている、親密な雰囲気の情景です。

エドモン・アマン=ジャン(1858-1936)は1878年に国立美術学校に入学し、
エルネスト・ローラン(1859-1929)やジョルジュ・スーラ(1859-1891)と同級で、
共にアンリ・レーマンに学んでいます。
その後、美術学校を離れ、シャヴァンヌに師事し、叙情性のある象徴主義的な
作品を描いています。

エドモン・アマン=ジャン 「囚われの女」 1913年 個人蔵
最002

ヴィクトル・ユーゴーの初期の作品、「東方詩集」の中の、異国の王のために
囚われの身となった女性の嘆きを綴った詩を元にしています。
女性は東洋風の衣装を着け、ターバンを巻いていて、東方趣味(オリエンタリズム)に
拠っていますが、波打つような色彩には情感があります。

エルネスト・ローラン 「背中」 1917年 個人蔵
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シャヴァンヌの影響を受け、伝統的手法とシャヴァンヌ風の象徴主義を合わせた
画風とのことで、アンリ・レーマンのアトリエで同級だったスーラの点描を取り入れた、
柔らかな画面をつくっています。

アンリ・マルタン 「野原を行く少女」 1889年 個人蔵
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花をまとった春の妖精が野を進んでいます。
アンリ・マルタン(1860-1943)は国立美術学校ではジャン=ポール・ローランスに学び、
イタリア留学時に、同じく留学していたアマン=ジャンやローランと親しくなっています。
点描も取り入れ、明るい色彩で象徴性のある風景や人物を描いています。

アンリ・マルタン 「緑の椅子の肖像、マルタン夫人」 1910年 個人蔵
最001

明るい日向の庭を背景にして、人物を影にして浮かび上がらせ、椅子の緑の曲線が
画面を安定させています。

アンリ・ル・シダネル 「日曜日」 1898年 ドゥエ、シャルトル―ズ美術館
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象徴派の詩人、マックス・エルスカンの「生への賛歌」に着想を得た作品で、
柔らかな光の中に浮かぶ女性たちを描いています。
藤色の柔らかな光に包まれた象徴的な世界です。

アンリ・ル・シダネル(1862-1939)は国立美術学校ではアレクサンドル・カバネルの
アトリエに学んでいますが、印象主義に傾倒し、学校を離れ、アマン=ジャンや
マルタンと親しくしています。
印象派とは少し違った、光に注目した静謐な作品を描き、やがて人物もいない、
静かな夕暮れの情景を描き続けるようになります。

アンリ・ル・シダネル 「コンコルド広場」 1909年 トゥルコワン、ウジェーヌ・ルロワ美術館
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パリのコンコルド広場の雨の夜の情景で、地面も光を反射しています。
街灯、噴水、馬車と一緒に自動車らしい形も見えます。

アンリ・ル・シダネル 「赤色のテーブルクロス」 1931年 ドゥエ、シャルトル―ズ美術館
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人の姿は無く、窓から室内に光が広がっています。

2012年に損保ジャパン東郷青児美術館(当時の名称)で開かれた、
「アンリ・ル・シダネル展」の記事です。

アンリ・デュエム 「羊飼いと羊の帰還」 制作年不明 ドゥエ、シャルトル―ズ美術館
最014

バルビゾン派風の農村風景で、沈む夕陽の赤色が印象的です。

エミール・クラウス 「リス川の夕陽」 1911年 個人蔵
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エミール・クラウス(1849~1924)はベルギーの画家で、パリに滞在した時に印象派、
特にモネの影響を受けています。
作風はフランスの印象派の影響を受け、光を強調したルミニスム(リュミニスム)
(光輝主義)を代表する作家の中心として活躍します。
シダネルとも親しく、シダネルの呼びかけに応じて画家彫刻家新協会に参加しています。
1882にベルギーのリス川(フラマン語でレイエ川)沿いにアトリエを建てています。
夕陽が林の向こうに差し掛かった瞬間を捉えていて、情景には詩的な雰囲気もあります。

エミール・クラウス 「私の庭」 1922年 個人蔵
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光を浴びた庭の花を愛着をもって描いています。

2013年に東京ステーションギャラリーで開かれた、「エミール・クラウスと
ベルギーの印象派展」の記事
です。

アルベール・バールトソン 「ロンドン、カノン・ストリート・ブリッジ」 1918年 個人蔵
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アルベール・バールトソン(1866-1922)もベルギーの画家で、パリに出て
アマン=ジャンたちと親交を結んでいます。
画面は暗く、深みのある風景画です。
エミール・クラウスと同じく、シダネルの誘いを受けて画家彫刻家新協会に
参加しています。

アルベール・バールトソンの作品は2009年に損保ジャパン東郷青児美術館(当時の名称)で
開かれた、「ベルギー王立美術館コレクション ベルギー近代絵画のあゆみ展」にも
エミール・クラウスの作品とともに展示されていました。
その時の日本語表記はアルベルト・バールツンです。

「ベルギー王立美術館コレクション ベルギー近代絵画のあゆみ展」の記事です。

ジョン・シンガー・サージェント 「ハロルド・ウィルソン夫人の肖像」 
 1897年 東京富士美術館

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ジョン・シンガー・サージェント(1856-1925)はアメリカ人で、国立美術学校に学んでいて、
肖像画に優れ、パリ、後にロンドンで活躍しています。
モネとも親交を持っていましたが、作品は古典的な技法に拠っています。

ジャン=フランソワ・ラファエリ 「ヴィクトル・ユゴー80歳を祝う祭り」 
 1902年 ヴィクトル・ユゴー館

最010

ジャン=フランソワ・ラファエリ(1850-1924)はドガの推薦で第5回と第6回の印象派展に
出品していますが、作風が写実的なため、印象派展の趣旨に合わないとして
モネはこれに反対し、ドガと仲違いしています。
ラファエリは貧しい人びとをよく描いた画家ですが、この作品を観る限りでは、
印象派の絵と比べてあまり違和感は感じません。

ウジェーヌ・カリエール 「カリエール夫人」 1883年 個人蔵
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輪郭をぼかした、かすむような褐色の画面が特徴で、何か精神的なものを感じます。
ウジェーヌ・カリエール(1849-1906)は国立美術学校に学び、アレクサンドル・カバネルの
指導を受けています。
後に自ら美術学校を設立し、マティスやドランが学んでいます。


画家彫刻家新協会は第1次世界大戦後の1922年の展覧会を最後に、メンバーの多くが
死去したことに伴い、活動を終了しています。
多くの画家たちは国立美術学校の出身ですが、そのアカデミズムと対立した印象派の
影響を受け、日常のさりげない情景を描いていて、どの作品も親しみすく魅力があります。
さらに象徴主義的な雰囲気を持つ作品も多いようです。
さすがに歴史画や宗教画を中心としたアカデミズムの時代ではなくなっていています。

印象派からフォーヴィズムやキュビズムへと進み、近代絵画の主流となった流れとは
別の系統の人たちで、知らない名前も多いですが、その分目新しく、面白い展覧会です。

展覧会の公式URLです。


次回の展覧会は「青児とパリの美術 東郷青児のコレクションより」です。
会期は11月21日(土)から12月23日(水)です。

東郷001


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【2015/09/10 19:47】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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