「1920s-30s モダン・エイジ-光と影の造型美」展 三の丸尚蔵館
大手町
chariot

宮内庁三の丸尚蔵館では、「1920s-30s モダン・エイジ-光と影の造型美」展が
開かれています。
会期は12月6日(日)までです。
休館日は月曜・金曜で、入館は無料です。

モダン001


第一次世界大戦後の1920年代の復興期から太平洋戦争前の1930年代にかけて、
皇室に贈られた国内外の美術工芸品を展示する展覧会です。
会期中、以下の通りの展示替えがあります。

前期:9月12日(土)~10月12日(月・祝)
中期:10月17日(土)~11月8日(日)
後期:11月14日(土)~12月6日(日)

ハーバート・ヒュー・スタントン 「ヴェルダン戦蹟之図」 1918年
モダン002

皇太子時代の昭和天皇は大正10年(1921)の欧州歴訪の際、ペタン元帥の案内で、
第一次世界大戦の激戦地だったフランスのヴェルダンを訪れています。
独仏両軍の砲撃で破壊されたヴェルダンの町を描いた作品で、作者である
イギリス王立水彩画協会会長のハーバート・ヒュー・スタントン(1870-1937)
本人から皇太子に献上されています。

ヴェルダンの戦いでは両軍合わせて700,000人以上が死傷したとされ、
ドイツの画家、フランツ・マルク(1880-1916)はこの戦いで戦死しています。
フランツ・マルクの作品は2010年に三菱一号館美術館で開かれていた、
「カンディンスキーと青騎士展」にも展示されていました。

「カンディンスキーと青騎士展」の記事です。


「現代風俗絵巻」のうち、第5図、遠藤教三「百貨店」 昭和3年(1928)
モダン007

部分
モダン006

皇太子(昭和天皇)の御成婚を祝して、文部官一同より献上された絵巻物で、
松岡映丘を中心とする新興大和絵の12名の画家による合作です。
遠藤教三(1897-1970)は東京美術学校を卒業し、松岡映丘らの結成した
新興大和絵会に参加しています。
大正時代には「今日は帝劇、明日は三越」という宣伝文句が流行り、
百貨店は都市生活の象徴でした。
女性はほとんど着物姿で、下駄や草履の売場も見えます。

「現代風俗絵巻」は第1図の松岡映丘「宮城」に始まり、第12図の山口蓬春「ゴルフ」で
終わっています。
小村雪岱は第1図で、歌舞伎の「京鹿子娘道成寺」の場面を描いています。
他に「演習」「収穫」「捕鯨」「紡績工場」など、平和と繁栄の御代を寿ぐ題材が
選ばれています。


鏑木清方 「讃春」 6曲1双 昭和8年(1933)
右隻
モダン003

左隻
モダン004

左隻部分
モダン005

中期の展示です。
この作品は2009年に東京国立博物館で開かれた、「皇室の名宝―日本美の華」展
でも展示されていました。
昭和天皇御即位記念の献上品で、右隻の皇居前広場では紺のセーラー服姿の
女学生が二人、タンポポを摘んだり、松の根元で休んだりしています。
向こうには当時の黒塗りの箱型自動車や、富士見櫓が見えます。
万葉集の巻頭歌、菜を摘む乙女に呼びかけたとされる、雄略天皇の歌を
思い出します。

左隻は隅田川に小舟を浮かべた水上生活者の情景です。
赤い着物のおかっぱ頭の小さな女の子が船底を覗き、中から母親が
優しく見上げています。
金具も捲れた古い和船ですが、バケツには桜の枝が活けてあります。
遠くの清洲橋の吊橋型の橋がぼんやり浮かんでいます。
近代的な鋼鉄橋を、鏑木清方らしく浮世絵風にあしらっています。
舟には七輪が載っていて、火が起きています。
仁徳天皇の「民のかまどはにぎはひにけり」の故事に依っているのでしょう。

城櫓に自動車、鋼鉄橋に和船と、江戸と近代を上手く取り合わせていて、
上流家庭の子も庶民も、共に春を慶ぶ情景を描いたものですが、
隅田川の貧しい水上生活者を選んだのは、さすが鏑木清方だと思います。
光とともに影も濃かった時代でもあります。
昭和8年は満州事変の起きた年で、この後10年余りで東京も戦災に
見舞われてしまいます。


楠部彌弌 「彩埏蟠桃文花瓶」 昭和13年(1938)
 モダン008

前期の展示です。
目出度い桃の絵柄は艶やかで、浮彫のような厚味があります。
楠部彌弌(1897-1984)は彩埏(さいえん)と呼ばれる、白色の磁土に顔料を混ぜ、
薄く溶かしたものを厚く塗り重ねる技法を考案し、第2回新文展に出品したこの作品で
初めて発表しています。

この時代はアール・デコの時期にあたるので、工芸品類は近代的ですっきりした形の
作品が多くなっています。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「北欧の工芸―自然が生み出す」展(仮称)です。
会期は2016年1月9日(土)から3月13日(日)までです。

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【2015/10/19 19:44】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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