「西田俊英展」 ギャラリートーク 日本橋髙島屋
日本橋
chariot

日本橋髙島屋の美術画廊の「-いのちの景色- 西田俊英展」での西田さんの
ギャラリートークを聴きました。
展覧会の会期は10月27日(火)までです。

以下はそのあらましです。

「聖牛」 2015年
西田004

私が画壇に出た時の絵も牛を題材にしており、若い頃にインドに行った時も
先ず牛を描いていた。
師の奥村土先生も、インドから贈られた牛を写生するため、長野県の善光寺まで行き、
「聖牛」(1953年)を描かれている。

右 「火喰鳥」 2015年
左 「エミュー」 2015年

西田010  西田007

丹頂鶴を写生に動物園に行ったが、動きが多くて写生が難しく困っていたら、
この火喰鳥と目が合い、その睨み付けるような目付きに魅せられた。
このような感じの絵は売れないと思うが、当り障りの無い絵ばかり
描いていてはいけない。

「潜む」 2015年
西田003

画龍点晴という言葉があるが、私の場合は先ず目から描き始めている。
画家もマンガ家も目を最後にする人もいれば、最初に描く人もいる。
他の部分は豹の目の邪魔にならないように描いている。
木の葉なども豹のいる何層か向こうの空間にあるようにしている。

「ゼウスの世界」 2013年 再興第98回院展
院004

桜と犬を描こうと思い、紹介してもらって会ったのが、ボルゾイ犬のゼウス。
ボルゾイはロシア皇帝も愛した犬で、ゼウスは砧公園で咲いている
桜の木の下で休んでいた。
会った瞬間に、描く世界がはっきり見えた気がした。
作品にするときは豪徳寺の枝垂桜と組み合わせた。

「月窓」 2014年 再興第99回院展
西田012

部分
西田011

構想から数えると10年かかった作品。
始めは窓の外の月と桜を考えていたが、それでは物足りないので、
室内に人物を配することにした。
ゼウスと出会ったので、ゼウスと女性を組み合わせることにして、
デッサンを重ねた。
しかし、女性だとロマンチックになりすぎるので、考えあぐねた結果、
自分自身が月光を浴びている気持ちを描くつもりで、男性に替えた。
モデルは前衛舞踏のダンサーに頼んで、少しニヒルな雰囲気を出した。
さらに、人物と犬で偶数だとバランスが悪いと思い、イグアナを加えた。
映画監督がキャストを決めるような感じだった。

絵の中心である月には色を塗っておらず、地の紙の色のまま。
最初から、月をどう描くかが大きなテーマだった。

必要だと思った色を塗ると、その色は必ず応えてくれるので、
それを出すために50回も塗りを重ねることもある。
それが、命を含んだ色になる。
何かが絵の中から静かに湧いてくるのが日本画の真髄だと思っている。

「ゼウス」 2015年
西田001

ゼウスの座るソファに(中国)皇帝の使用する文様をあしらって、
その高貴な姿を表した。

「観」 2014年
西田005

これは大下絵で、本作は島根県の足立美術館にある。
ゼウスと一緒に暮らしていた同じボルゾイのタチアナが死んだ後、遺骨を置いた部屋で、
その霊が昇っていくのを見るように、ゼウスは上を見続けていたというお話を飼い主の
方から伺って描いた作品。
横山大観先生の仰られた「天霊地気」のごとく、対象の周りの空間、宇宙といったものを
如何に描き出すかが大事。

最近、友人の宮廻正明氏から、密に描いて疎に至る稀有な作家になったとほめてもらった。
空間を描けたご褒美のようなものだと思う。

絵を描いていても、肩は凝る、目は痛む、指は腱鞘炎になるで、楽しいと思うことは無い。
しかし、上手い人に負けないためには、練習しかないと思って描き続けている。
一日中描き続け、夜も疲れて指から筆を取り落としてやっと気付き、寝ているような毎日。
「月窓」を観た巨匠の方からも、もう少し描き込むのを控えたら良いと忠告されているが、
体力のある今のうちは何かにしがみつくようにして描いていきたい。


とても興味深い内容で、西田さんの誠実な人柄の伝わるギャラリートークでした。

展覧会はこの後、大阪、京都、名古屋、松山、横浜の各髙島屋を巡回します。

「-いのちの景色- 西田俊英展」の記事です。

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【2015/10/26 19:35】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんにちは。
  • 西田さんの人柄も伺える面白いお話しで、制作にはいろいろな苦労、工夫があるものだと思いました。
    おかげで、作品の観方も深まりました。

    【2015/10/28 06:55】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • ギャラリートーク
  • こんばんは
    流石にシャリオさんはすごいですね!
    詳細にして要領を得た観覧記。改めて楽しみました。

    【2015/10/27 23:17】 url[マサちゃん #-] [ 編集]
    please comment















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