「ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展」 パナソニック汐留ミュージアム
新橋・汐留
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新橋のパナソニック汐留ミュージアムでは、12月20日(日)まで、
「ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展」が開かれています。

ゴーギャン001


19世紀の末にフランス、ブルターニュ半島のポン=タヴァンにはポール・ゴーギャン
(1848‐1903)が
滞在し、エミール・ベルナールたちと「総合主義」という方式を生み出しています。
また、ポール・セリュジエはゴーギャンの指導を受け、モーリス・ドニたちによるナビ派の
結成のきっかけとなっています。

このポン=タヴァンの画家たちの作品73点を展示する展覧会です。

パリで株式仲買人だったゴーギャンは相場の暴落から失職し、今まで趣味で
絵を描いていたのを、画家で身を立てようと思い立っています。
あちこちを転々とした後、1886年に家族を置いて赴いた先がポン=タヴァンでした。
ポン=タヴェンはブルターニュ半島南側の村で、ケルト文化につながる伝統を残し、
物価も安く、多くの芸術家が集まっていたそうです。

始めは印象派風の絵を描いていたゴーギャンは、ここでエミール・ベルナール
(1868‐1941)と知り合います。
そして二人は、客観的な観察と主観的・象徴的な意識を総合して描くという
総合主義を生み出します。
見たものしか描かないという印象派への反動として生まれた運動と言えます。
太い輪郭線と平坦な色面による平面的表現を用いるクロワニズムという技法に
拠っていて、日本の浮世絵、ステンド・グラス、フランスの民衆版画である
エピナル版画などに影響を受けているとのことです。

エミール・ベルナール 「会話(ステンド・グラスのエスキス、サン=ブリアック)」
  水彩、紙 1887年 ブレスト美術館

ポン=タヴァン002

サン=ブリアック=シュル=メールはブルターニュ半島北岸の町で、
エミール・ベルナールはここに一時滞在していました。
ステンド・グラスの原画として描かれていますが、ステンド・グラスは
実現しなかったそうです。
ステンド・グラス特有の太い輪郭線と、平面的な画面が特徴です。

ゴーギャンとエミール・ベルナールは後に喧嘩別れています。
ゴーギャンは以前にピサロとも仲違いし、ゴッホとの共同生活も破たんしているので、
かなり我の強い人だったようです。

ポール・ゴーギャン 「玉ねぎと日本の版画のある静物」 
 1889年 ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館、コペンハーゲン

ポン=タヴァン004

ゴーギャンはセザンヌの影響を受けていて、この絵もセザンヌ風の趣きがあり、
日本趣味も入っています。

ポール・ゴーギャン 「2人のブルターニュ女性のいる風景」 
 1888年 ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館、コペンハーゲン

ポン=タヴァン006

遠近感のあまり無い平面的な画面で、切り貼りしたように民族衣装の女性が
描かれています。

ゴーギャンは1888年の手紙で、「要点は、自然をあまり素直に描き過ぎては
いけないということだ。芸術は象徴なのだ。」と書いているそうですが、
確かに素直には描いていません。

ポール・ゴーギャン 「2人の子供」
 1889(?)年 ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館、コペンハーゲン

ポン=タヴァン005

黄色と青という補色を使い、色面も大きく均一に塗られ、平面的な画面になっています。
奥の子の目は点になっていて、何か不安な印象を与えます。

ゴーギャンの作品からは、予定調和を嫌う、何か魔的な衝動を感じます。
その衝動がタヒチまで行かせたのでしょうか。


ポール・セリュジエ(1864‐1927)はポン-タヴェンに通い、ゴーギャンから
刺激を受けています。
セリュジエがゴーギャンの指導を受けて描いた作品、「タリスマン(護符)」は
極度に抽象化された風景画で、仲間のモーリス・ドニやピエール・ボナールたちから
賞賛を受け、ナビ派を結成する基となります。

ポール・セリュジエ 「呪文或いは物語 聖なる森」 1891年 カンペール美術館
ポン=タヴァン001

ブルターニュの伝説に想を得た作品で、3人の人物が森の中で祭儀を行なっています。
ポール・セリュジエは神秘的な世界を好んで描いています。

ポール・セリュジエがブルターニュをテーマにした作品は2011年に東京都庭園美術館
で開かれた、「森と芸術」展にも展示されていました。

「森と芸術」展の記事です。


モーリス・ドニ 「小舟のブルターニュの女性」 1891-92年 カンペール美術館
ポン=タヴァン003

モーリス・ドニ(1870‐1943)はポール・セリュジエが伝えた、対象の固有色にこだわらずに
自由に彩色するというゴーギャンの教えに驚きます。
そして、セリュジエ、ボナールらと共にナビ派を結成します。
ナビ派には後にフェリックス・ヴァロットンも参加します。
ナビ派の考えは、ドニの語った、「絵画とは、ある一定の秩序のもとに集められた
色彩によって覆われた平坦な表面」に代表されます。
これは抽象画につながる考えでもあります。

モーリス・ドニ 「ブレストの港(部分)」 1932年頃 ブレスト美術館
ポン=タヴァン007

ブレストは軍港で、軍艦が並んでいます。
甲板や藤色の水面は日に輝き、小舟がのどかに走り回っています。
モーリス・ドニは明るく楽し気な色彩をよく使います。
対象の固有色に捉われない描き方と言えます。

印象派の後に続く絵画の流れの一つの拠点となったポン=タヴァンに注目した、
興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。

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【2015/11/05 19:13】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんにちは。
  • ポン=タヴァンに注目した、興味深い展覧会でした。
    ゴーギャンはアクの強そうな画家ですが、近代絵画に大きな影響を与えたことが分かります。

    【2015/12/23 08:46】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • こんにちは。
    私も『ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち』展を見てきましたので、私も『ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち』展を見てきましたので、この美術展が作品の魅力が鮮明に目に浮かんで、美術展を追体験することができうれしくなりました。
    ゴーギャンがブルターニュのポン=タヴァンで、エミール・ベルナールらと出会い、お互いに影響を受けつつ「総合主義」という前衛的な美術を築いていく過程が理解できてよかったと思いました。

    私はブログで、今回の『ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち』展の展示に沿って、過去に来日した傑作も含めてゴーギャン絵画の変遷を私なりに整理してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただける感謝致します。

    【2015/12/22 22:27】 url[dezire #Whktmru.] [ 編集]
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