「逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
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六本木のサントリー美術館では、「逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし」展が
開かれています。
会期は11月29日(日)まで、休館日は火曜日です。

久隅001


狩野探幽門下の逸材と謳われながら、生没年不詳経歴もよく分からない謎の絵師、
久隅守景(くすみもりかげ)の作品の展示です。
会期中、かなりの展示替えがありますので、展覧会のHPの作品リストをご確認ください。

「四季山水図襖」 富山、瑞龍寺 明暦年間(1655~58) 高岡市指定有形文化財
久隅012

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初期の作品で、全8面を4面ずつ入れ替えて展示しています。
瑞龍寺は加賀藩2代藩主、前田利長の菩提寺である曹洞宗寺院で、加賀藩の
厚い庇護を受けています。
法堂の天井画を狩野探幽の弟の安信が描き、書院襖絵を久隅守景が担当し、
探幽の特徴の余白を大きく取る画風で描いています。

「十六羅漢図」 十六幅のうち一幅 神奈川、光明寺
久隅013

期間中、展示替えがあります。
龍が羅漢に耳の掃除をしてもらっています。

「舞楽図屏風」 六曲一双のうち左隻 根津美術館
絵の音003

11月11日からの展示です。
舞楽の演目の納曽利と蘭陵王が描かれています。
左側には雅楽を奏する楽人や大太鼓が見えます。
右隻では太平楽を舞う4人が剣を持って同じ所作で舞っています。

守景は探幽の妹の子を妻としており、娘の雪信と息子の彦十郎を得ています。
雪信も優れた絵師となりますが、狩野派の絵師と駆け落ちしてしまい、彦十郎も
放蕩のため探幽から感動され、何かの理由で佐渡にまで流されています。
そのためか、守景は探幽の許を離れ、加賀藩に招かれて、金沢で四季耕作図など
多くの作品を描いています。

四季耕作図は中国伝来の耕織図から発展した画題で、四季の移り変わりの中で
農民が平和に農作業にいそしむ様を描き、為政者のいましめとしています。
通常は右から左に季節が進みますが、久隅守景の場合は左から右に進む
作品が多いそうです。

中国の情景もあれば日本の情景もあり、雉や鷹狩、闘鶏、犬の喧嘩など動物を
描き入れたものなど、趣向もさまざまです。
どの作品も人物は細やかに描かれ、人びとへの親しみの情を感じます。
横山家旧蔵の、これも中国の画題の琴棋書画図が一緒になった耕作図屏風もあります。
横山家は加賀藩家老で3万石、豊臣秀吉の死後、前田利長が徳川家康に謀反の疑いを
掛けられた時には横山長知が家康の許を訪れ、弁明に務めています。

「四季耕作図屏風 旧小坂家本」 六曲一双のうち左隻 個人蔵 重要美術品
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「四季耕作図屏風 旧浅野家本」 六曲一双のうち左隻 個人蔵 重要美術品
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「鷹狩図屏風」 八曲一双 日東紡績株式会社
左隻
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右隻
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金地の屏風で、広々とした山野で白鳥を襲う鷹、追う鷹匠、遊ぶ子供たちなどが
描かれています。

「納涼図屏風」 二曲一隻 東京国立博物館 国宝
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11月3日までの展示でした。
久隅守景の代表作で、月夜の夕顔棚の下で涼む家族のおだやかな情景です。
淡く着色され、月は、輪郭に沿って外側を墨で塗る外隈(そとくま)という技法に
拠っています。
四季農耕図の一場面のような情景で、棚にぶら下がっている瓢箪がユーモラスな
味わいを見せています。
これは守景自身と娘の雪信、息子の彦十郎を描いた、家族の肖像ではないかとも
言われています。
東京国立博物館の所蔵なので、時々平常展に展示されているのを観ることができます。

同じ上野の国立科学博物館では企画展、「世界のヒョウタン展」が開かれているところです。

「賀茂競馬・宇治茶摘図」 六曲一双のうち左隻 大倉集古館 重要文化財
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賀茂競馬(かもくらべうま)は平安時代の寛治7年(1073)に始まる、
上賀茂神社で行なわれている競馬です。
毎年5月5日に行なわれ、2頭の馬が直線の馬場を並走します。
久隅守景は最晩年に京都に移り住んでいます。

「鍋冠祭図押絵貼図屏風」 二曲一隻 個人蔵
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11月3日までの展示でした。
滋賀県米原市の筑摩神社の鍋冠祭では、情を交わした男の数の鍋を被って
お詣りする風習がありました。
5つも鍋を被った美女と1つも被っていない女性を対比させて描いています。
何とも可笑しな絵で、狩野派の枠にはまらない久隅守景の一面を見せています。

 近江なる筑摩の祭りとくせなむ つれなき人の鍋の数見む
                             伊勢物語第120段

会場には雪信と彦十郎の作品も展示されています。
雪信の絵はどれも描線が繊細で、優美な画風です。


後に国宝となる作品を描きながら、よく知られていない久隅守景に近づき、
その作品をまとめて観ることの出来る、とても貴重な展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「水 神秘の形」です。
会期は12月16日(水)から2016年2月7日(日)までです。

水001

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【2015/11/07 22:30】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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