「青児とパリの美術~東郷青児のコレクションより」展 新宿 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館
新宿
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新宿の東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館では12月23日(水)まで、
「青児とパリの美術~東郷青児のコレクションより」展が開かれています。

東郷001

同館ゆかりの画家、東郷青児(1897~1978)の戦前から戦後にかけての作品、
約70点を中心に展示する展覧会です。
同館は東郷青児(1897-1978)から自作約200点と東郷の収集した作品約250点の
寄贈を受けて発足しています。


[「巴里の女」 1922年
東郷007

東郷青児は1921年からフランスに留学し、リヨン美術学校に学びますが、
1923年の関東大震災で仕送りが途絶えたため、パリに居付いて、
若い芸術家たちの集まるモンパルナスで暮らすようになります。

この絵にはセザンヌやモンパルナスに集うエコール・ド・パリの画家たちの
影響が感じられます。
こちらをまっすぐ見つめた顔はやや憂いを含んでいます。


「婦人像」 1936年
東郷001

東郷青児は1928年までフランスに滞在して帰国しています。
1933年からは損保ジャパン日本興亜の前身である東京火災保険の印刷物の
デザインを手掛けています。
この作品は1937年刊の火災保険案内の表紙の原画です。

「紫」 1939年
華やかな紫色のドレスをまとった女性で、筆触をまったく見せない、
デザイン的な感覚の東郷青児のスタイルが戦前の時点で出来上がっています。

「赤いベルト」 1953年
東郷002

戦後しばらくはフランスとの交流も途絶えていたため、戦前のパリの雰囲気を
思い出して描いていたそうです。

「望郷」 1959年
迷002

戦後の代表作で、東郷青児のスタイル加えて、シュルレアリスムの気分を
かすかに残した夢幻的な作品です。

「遥かなる山」 1961年
東郷003

外国との交流が再開すると、人びとの直面する現実を反映した作品も描くようになります。
エプロンをした働く女性はどこか寂しく儚げです。

「干拓地」 1966年
東郷005

会長を務めていた二科会がパリのサロンと交流し、東郷もパリの展覧会に
出品しています。
牧歌的な雰囲気の男女というテーマは、サロンやピカソなどの前衛芸術家に
好まれたということです。
構図は浮世絵に想を得ているようにも思えます。

「ラムセスの寵姫」 1976年
古代エジプトの女性を抽象画風の画面の中で描いています。
晩年には北アフリカの砂漠で、トゥアレグ族と一緒に生活したこともあり、
作品もエキゾチシズムへの傾倒を深めていきます。

「ベランダ」 1977年
東郷004

保険会社のカレンダーの原画です。
晩年の東郷のエキゾチシズムはやや難解な面もあるので、カレンダーには
親しみやすい、フランスなどヨーロッパのイメージによる作品を描いています。

「パリ郊外(2枚組)」 1972年
東郷006

水彩の小品で、おしゃれで軽快な雰囲気です。
服を着たニワトリもいます。


東郷青児の手掛けた洋菓子店のパッケージも展示されていて、いかに彼の絵が
人気があったかが分かります。

自由ヶ丘の「モンブラン」は1933年創業で、日本で最初にモンブランを販売したお店です。
HPには東郷青児の絵が小さく載っています。

渋谷の「フランセ」は1957年創業で、2006年に閉店し、現在は「横濱フランセ」として
ミルフィユなどを販売しています。
渋谷の「フランセ」閉店を知らせるHPには現在も東郷青児の絵が載っています。

成城の「アルプス」は1965年の創業です。


東郷青児は早くに自分のスタイルを確立し、商業的にも成功しています。
しかし、よく知られた「東郷青児」風の作品ばかりでなく、人びとの苦しみをテーマにしたり、
晩年には厚塗りの粗いタッチを試みたり、砂漠の風土に惹かれた作品を描いたりしています。
それらを観ていると、画家としての成功と、評判となった作品スタイルが却って
東郷青児の重荷にもなって、そこから脱却しようとしているように思えます。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「絵画のゆくえ2016 FACE受賞作家展」です。
会期は2016年1月9日(土)から2月14日(日)までです。

絵画001


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