「村上華岳―京都画壇の画家たち」展 山種美術館
恵比寿
chariot

広尾の山種美術館では、特別展、「村上華岳―京都画壇の画家たち」展が開かれています。
会期は12月23日(水・祝)までです。

村上001

村上華岳(1888-1939)の「裸婦図」が2014年に重要文化財に指定されたのを記念して、
村上華岳を中心に京都の日本画家たちの作品を展示する展覧会です。
現在、村上華岳の作品は13点、展示されています。

村上華岳 「羆」 1907年 京都市立芸術大学芸術資料館
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京都市立美術工芸学校の卒業制作で、ヒグマの毛触りまで写実的に描いているところは
工芸学校の先生だった竹内栖鳳ゆずりです。

村上華岳 「二月乃頃」 1907年 京都市立芸術大学芸術資料館
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京都市立絵画専門学校の卒業制作で、吉田山から銀閣寺の方向を眺めた景色です。
早春の雰囲気がよく表されていて、絵画専門学校の先生でもあった竹内栖鳳も
この絵を高く評価しています。
今は建物で埋め尽くされていますが、100年前はこんな農村風景だったことが分かります。

村上華岳 「驢馬に夏草」 1908年 さいたま市立漫画会館
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馬具類まで細密に描かれ、重く、蒸せるような夏の空気が表されています。
村上華岳はあまり動物を題材にしていません。

村上華岳 「春日春耕図」 1916年 京都市立芸術大学芸術資料館
掛軸で、縦長の画面に、牛を使って耕す農民が描かれています。
この頃になると、村上華岳らしい、溶けるような柔らかい雰囲気が現れてきます。

村上華岳 「阿弥陀之図」 1916年 京都市美術館
大きな作品で、法隆寺金堂壁画を基にして阿弥陀三尊や諸菩薩を描いています。
金堂壁画のきっかりとした線描とは異なり、柔らかな筆遣いです。

村上華岳 「裸婦図」 1920年 山種美術館 重要文化財
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村上華岳の初期の代表作です。
イタリア絵画風の背景で、女性の輪郭線に影を付けて立体感を出しています。
一方で、上半身は正面を向き平面的に描かれていて、西洋と東洋の融合を
図っていることが分かります。
後の、菩薩を描いた仏画シリーズの基となる、聖性と女性美とを兼ね備えています。

1918年に京都市立絵画専門学校の同窓だった村上華岳や土田麦僊、小野竹喬たちは
新しい日本画を目指して、国画創作協会を設立しています。
その後、仲間である土田麦僊や小野竹喬たちが渡欧しているのに対し、病弱だった
村上華岳は渡欧を果たしていません。
それもあって、西洋の技法や表現をただ模倣するのではなく、西洋と東洋の精神の
在り方の違いを意識し、その融合を目指しています。

上村松園 「蛍」 1913年 山種美術館 
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江戸時代の風俗で、浴衣姿の女性が蚊帳を吊ろうとして、足元に蛍を見つけ、
ふと手を止めている瞬間です。
日常の何気ない仕草の中に、美しいものを見出すという、松園らしい作品です。
帯は江戸時代特有の、ぼってりした感じですが、浴衣の模様は絞り染めの
百合で、かなり豪華です。
帯が横向きなのは就寝前の着方だそうです。
蚊帳から浴衣が透けて見えるところも、美人画家としての技です。

岡本神草 「口紅」 1918年 京都市立芸術大学芸術資料館
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燭台の明かりで化粧する舞妓です。
袖から腕を出して口紅を塗っている、舞台裏の姿を描いていて、妖艶ながら
癖のある描写です。
同じ頃の京都でも、上村松園の描く理想的な像とはかなり異なります。
第1回の国画創作協会展の入選作で、土田麦僊が強く推しています。
岡本神草(1894-1933)は京都市立絵画専門学校の卒業ですが、早くに亡くなっています。

竹内栖鳳 「班猫」 1924年 山種美術館 重要文化財
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竹内栖鳳の代表作です。
沼津の八百屋さんの飼い猫が、宋の徽宗(きそう)皇帝の描いた猫と
同じ柄なので、貰い受けて京都に連れて帰り、描いた作品です。

徽宗皇帝の猫の絵は、目を見開いて前足を舐めている姿ですが、
こちらは背中を毛繕いしながら、こちらを見上げた瞬間を捉えています。
細かい筆遣いで柔らかい毛並みの柔らかさまで表現され、瞳孔の細くなった
緑色の目が印象的です。
「班猫」は普通、「斑猫」と書くところですが、竹内栖鳳の箱書きには「班猫」と
なっているそうです。

西村五雲 「白熊」 1907年 山種美術館
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大作で、白熊がオットセイを捕まえている姿です。
西村五雲(1877-1938)の若い時の力作です。
京都市動物園で写生した白熊を元に自然の中の荒々しい姿を写実的に描いています。
師の竹内栖鳳がアントワープの動物園でライオンを写生して、1902年に「大獅子図」を
描いたのに倣っての作品と思われます。

西山翠嶂 「狗子」 1958年 山種美術館
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写実的で、毛並みの質感まで感じさせます。
ちらりとこちらを見ているところなど、可愛いところを見せています。
西山翠嶂(1879-1958)は竹内栖鳳に師事し、後に女婿となっています。

竹内栖鳳に習った画家は誰も動物を写実的に描くのに巧みです。

小野竹喬 「郷土風景」 1917年 京都国立近代美術館
手前に、縦に伸びた樹の幹、遠くに三角形の山という構図は、セザンヌの
「サント・ヴィクトワール山」のシリーズとよく似ています。
西洋の絵画をどう取り入れるか苦心していることが分かります。
この作品は文展に落選し、それがきっかけとなって、文展の在り方に不満を持っていた
小野竹喬は村上華岳たちと共に国画創作協会を設立しています。

小野竹喬 「沖の灯」 1977年
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夕陽に焼けた雲の色が海に映り、沖には漁火が見えます。
最晩年の作で、色も形も単純化され、本質だけになっています。


山種美術館のHPです。


次回の展覧会は特別展、「ゆかいな若冲・めでたい大観-HAPPYな日本美術-」展です。
会期は2016年1月3日(日)から3月6日(日)までです。

若冲001

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【2015/12/10 19:00】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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