「ボッティチェリ展」 東京都美術館
上野
chariot

上野の東京都美術館では日伊国交樹立150周年記念、「ボッティチェリ展」が開かれています。
会期は4月3日(日)までです。

ボッティチェリ002


「ヴィーナスの誕生」や「春(プリマヴェーラ)」で有名なルネッサンスの画家、
サンドロ・ボッティチェリの作品を中心にした展示です。

ボッティチェリの師だったフィリッポ・リッピと、フィリッポの子でボッティチェリの弟子だった
フィリッピーノ・リッピの作品も多く展示されています。


第1章 ボッティチェリ時代のフィレンツェ

サンドロ・ボッティチェリ(1445?-1510)はフィレンツェで生まれ、活躍しています。

当時のフィレンツェにゆかりの品とともに、フィレンツェの画家、彫刻家の
アントニオ・デル・ポッライオーロや、アントニオ・デル・ヴェロッキオの作品が
展示されています。


第2章 フィリッポ・リッピ、ボッティチェリの師

ボッティチェリは15歳の頃にフィリッポ・リッピ(1406-1469)の工房に入門し
、3年ほど修業しています。
フィリッポ・リッピの作品は約10点が展示されています。

「聖母子」 フィリッポ・リッピ 
 1436年頃 テンペラ ヴィツェンツァ市民銀行

ボッティチェリ004

貝殻のような装飾の付いた壁龕を背景にして、荘厳さを表しています。


第3章 サンドロ・ボッティチェリ、人そして芸術家

「バラ園の聖母」 サンドロ・ボッティチェリ
 1468-69年頃 テンペラ ウフィツィ美術館

ボッティチェリ006

アーチの中に座る聖母マリアの手にしているのはザクロで、復活を象徴しています。
ボッティチェリはヴェロッキオの工房にも参加していて、初期の作品にはフィリッポ・リッピや
ヴェロッキオの影響が感じられます。

「ラーマ家の東方三博士の礼拝」 サンドロ・ボッティチェリ
 1475-76年頃 テンペラ ウフィツィ美術館

ボッティチェリ003

ボッティチェリ013

ボッティチェリ012

大きな作品で、マリアを頂点にした三角形の奥行きのある構図です。
幼子イエスを礼拝している人物が、メディチ家のフィレンツェ支配を確立した
コジモ・デ・メディチで、画面にはメディチ家の人物が何人も描き込まれています。
右端に描かれているのはボッティチェリの若い自画像で、自信ありげな顔をしています。
若さと勢いの感じられる作品です。

ラーマ家はフィレンツェの支配者、メディチ家と関係の深かった家です。

「書斎の聖アウグスティヌス(聖アウグスティヌスに訪れた幻視」 
 サンドロ・ボッティチェリ 1480年頃 フレスコ フィレンツェ、オニサンティ聖堂

ボッティチェリ007

縦2mほどの大きな作品で、フレスコ画らしい乾いた色調です。
著作を執筆中の神学者、聖アウグスティヌス(354-430)が聖ヒエロニムス(340-420)に
手紙を書いていたところ、聖ヒエロニムスの声が聞こえたという逸話を描いています。
聖ヒエロニムスは神学者でラテン語訳聖書(ヴルガータ聖書)を完成させたとされています。
下から見上げることを意識した、堂々とした画面です。
本に書かれているのは古代ギリシャの数学者、ユークリッドの著作で、その中に当時の
イタリア語で書かれた、修道士が逃げ出したという文も混じり込んでいるそうです。
ヴァザーリの「芸術家列伝」によれば、ボッティチェリはかなり悪戯好きな人物だったようです。
ボッティチェリはこのオニサンティ聖堂に葬られています。

「若い男の肖像」 
 サンドロ・ボッティチェリ 1482-85年頃 テンペラ ワシントン・ナショナルギャラリー

ボッティチェリ008

2月25日までの展示です。
顔を傾け、やや憂いのある表情を見せている、ボッティチェリらしい描き方の肖像です。

「美しきシモネッタの肖像」 サンドロ・ボッティチェリ
 1480-85年頃 テンペラ 丸紅株式会社

ボッティチェリ009

日本に1点だけある、ボッティチェリの作品です。
フィレンツェ一の美女と謳われ、若くに亡くなった、シモネッタ・ヴェスプッチ
(1453-1476)の肖像で、彼女は「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスのモデルにも
なっています。
ルネッサンスの肖像画の一つの典型の真横からの像で、窓枠で背景を区切り、
顔を際立たせています。
くっきりした線描を用い、金色に波打つ髪の表現は装飾的です。

「聖母子(書物の聖母)」  サンドロ・ボッティチェリ 
 1482-83年頃 テンペラ ミラノ、ポルディ・ペッツォーリ美術館

ボッティチェリ014

とてもていねいに描かれた作品で、幼子イエスを見る聖母マリアの表情は優しく
、聖母子の肌はつややかに耀き、マリアの外衣の青色は深く澄んでいます。
本の開かれたページに書かれているのは、旧約聖書のイザヤ書の一節です。
後ろの陶器はマヨルカ焼で、盛ってあるのはサクランボ、プラム、イチジクです。
金箔やラピスラズリなど高価な材料を使っていることから、特別な注文によるものと
考えられます。
この展覧会の中でも随一の作品だと思います。

「パリスの審判」  サンドロ・ボッティチェリと工房 
 1485-88年頃 テンペラ ヴェネツィア、チーニ邸美術館

ボッティチェリ011

ギリシャ神話のパリスの審判を海辺の景色の中で描いています。
パリスや三美神は風景の中に貼り付けたような感じです。

イタリアは1494年にフランス軍に侵攻され、フランス軍を簡単にフィレンツェ市内に
入れてしまったメディチ家は市民の怒りを買って、フィレンツェを追放されます。
替わって、修道士ジローラモ・サヴォナローラ(1452-98)による神権政治が
始まりますが、ボッティチェリはこのサヴォナローラに帰依して、画風も
変わってしまいます。

「アペレスの誹謗(カルンニア)」 サンドロ・ボッティチェリ 
 1494-96年頃 テンペラ ウフィツィ美術館

ボッティチェリ015

ボッティチェリ016


古代ギリシャの画家、アペレスの描いたとされる「誹謗」を再現した作品です。
黑い服の「憎悪」の擬人像に手を引かれた「誹謗」が「不正」の前に「無実」を
引きずり出しています。
回りには「欺瞞」や「無知」などが取り付き、裸体の「真実」が嘆き、「悔悟」が
それを見ています。
画面は明るく、きちりとした描き方なのですが、それまでの作品と違って、
冷え冷えとした感情に覆われ、ボッティチェリの持ち味だった甘い華やぎは
消えてしまっています。
「ラーマ家の東方三博士の礼拝」のような祝祭的な高揚はもう見られません。
誹謗とは、サヴォナローラへの、そしてサヴォナローラに帰依している
ボッティチェリ自身への誹謗を指すのではないかと考えられています。
サヴォナローラはあまりにも厳格な政治を嫌われ、1498年に反対派によって
火刑にされています。

「オリーブ園の祈り」 サンドロ・ボッティチェリ 
 1495-1500年頃 テンペラ グラナダ、王室礼拝堂

ボッティチェリ010

最後の晩餐の後、イエスはオリーブ山のゲッセマネの園で神に祈り、十字架の苦難を
表す杯を天使から受け取っています。
弟子のペテロ、ヤコブ、ヨハネは眠り込んでしまっています。
象徴的に描かれた園が柵で仕切られているのは、神の領域を表しているのでしょうか。
1495年に印刷されたサヴォナローラの説教集の挿絵木版画の忠実な引用とのことです。

「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」 サンドロ・ボッティチェリ 
 1505年頃 油彩 パラティーナ美術館

ウ010

聖母マリアから幼子イエスをヨハネが受け取ろうとしていますが、マリアもイエスも
目をつむって憂いを含み、イエスの十字架降下やピエタを暗示しています。
この作品は2015年にBunkamuraザ・ミュージアムで開かれた、「ボッティチェリとルネサンス
フィレンツェの富と美」展にも展示されていました。


第4章 フィリッピーノ・リッピ、ボッティチェリの弟子からライバルへ

フィリッピーノ・リッピ(1457-1504)はフィリッポ・リッピの息子で、1472年頃には
ボッティチェリの工房に入門しています。
フィリッピーノ・リッピの作品は15点が展示されています。

「幼児キリストを礼拝する聖母子」 フィリッピーノ・リッピ 
 1478年頃 テンペラ ウフィツィ美術館

ボッティチェリ005

ボッティチェリの工房に入った数年後の作品で、ボッティチェリの聖母子像と
よく似ています。
背景が綿密に描かれていて、北方フランドル絵画の影響があるとのことです。


多くのボッティチェリの作品が集まり、その画風の変化も確認出来る展覧会です。

2015年の「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」展の記事です。

展覧会のHPです。

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【2016/01/23 19:51】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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