「没後100年 宮川香山展」 六本木 サントリー美術館
六本木・乃木坂
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六本木のサントリー美術館では、「没後100年 宮川香山展」が開かれています。
会期は4月17日(日)まで、休館日は火曜日です。

宮川001


長年、宮川香山の作品を収集してきた田邊哲人氏のコレクションを中心に、
約150点が展示されています。

京都の陶工、初代宮川香山《1842(天保13)年~1916(大正5)年》は1870(明治3)年に
横浜に窯を開き、輸出用の陶器の製造を始め、横浜眞葛焼として売り出します。
最初は海外で評判の良かった、金彩を使う薩摩焼風の陶器を作っていましたが、
金彩は費用がかかるため、独自の技法として、立体的な動物や植物を
器の表面に貼り付ける高浮彫を開発します。
1876(明治9)年のフィラデルフィア万博で評判となり、これを機に海外での人気が
高まります。

「高取釉渡蟹水盤」 初代宮川香山 大正時代
眞004

香山004


東京国立博物館所蔵の自身の代表作、「褐釉蟹貼付台付鉢」(明治14年、重要文化財)を
写した作品です。
釉をざっと掛けた楕円形の大きな高取焼の器に2匹の渡り蟹が取り付いています。
蟹の甲羅は艶々と光り、今まさに器から這い出してきたようにリアルです。
1匹だけでも難しいのに、2匹も重なっていて、豪快さと高度な技術を見せています。

「高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」 初代宮川香山 
 明治時代前期 19世紀後期 田邊哲人コレクション

眞007

前と後ろから見たところです。
浮彫された紅白の牡丹の上には背を丸めた猫が置かれています。
眠りから覚めたところですが、切れ長の目に眉毛も付いた面白い顔をしています。
舌や歯も表現され、丸い背中やお尻も可愛く出来ています。

「高浮彫南天ニ鶉花瓶」 1対 初代宮川香山 
 明治時代前期 19世紀後期 田邊哲人コレクション

眞003

高浮彫で南天とウズラを表し、水仙や雀を描いていて、大和絵の雰囲気があります。
宮川香山は観賞用ということでり2点セットの花瓶を多く作っています。

「高浮彫桜ニ群鳩大花瓶」 1対 初代宮川香山 
 明治時代前期 19世紀後期 田邊哲人コレクション

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満開の桜に何羽もの鳩が群がる、華麗で賑やかな作品です。

一部の作品は撮影可能です。

「高浮彫蛙合戦花瓶」 初代宮川香山 
 明治時代前期 19世紀後期 田邊哲人コレクション

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扇子を持った大将や金棒を担いだ武者がいます。


「高浮彫四窓遊蛙獅子紐蓋付壷」 1対 初代宮川香山 
 明治時代前期 19世紀後期 田邊哲人コレクション

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窓の中には太鼓を叩く蛙や巻物を読む蛙が入っています。


「高浮彫桜ニ群鳩三連壷」 初代宮川香山 
 明治時代前期 19世紀後期 田邊哲人コレクション

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三連壷という面白い形で、雀はバラの蕾をくわえています。

他に熊や猿を表した作品もあります。


やがて、宮川香山は技術的達成感を得たことと、外国人が濃厚な高浮彫の
作風に飽きて、日本本来の趣向である清楚淡白な作品を好むようになって
きたため、更に新しい技法に取り組みます。
研究したのは清朝の磁器で、新しい釉薬や釉法を開発します。
そして、絵付けした下絵に透明な釉薬を上掛けし、高温で焼成する釉下彩の
技法による作品を制作します。
これにより、作品も陶器から磁器に変わります。

「釉下彩盛絵杜若図花瓶」 初代宮川香山
 明治時代中期~後期 19世紀後期~20世紀初期 田邊哲人コレクション

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薄く盛り上がったカキツバタの花のふわりとした広がり、すらりと伸びた葉が
表されています。
色彩も、焼成後とは思えないほど、自然な色が出ています。

「釉下彩白盛鶏図大花瓶」 初代宮川香山 
 明治時代中期~後期 19世紀後期~20世紀初期 田邊哲人コレクション

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羽根の1本1本まで、ていねいに描き上げられています。

「色嵌釉紫陽花図花瓶」 初代宮川香山 
 明治時代後期~大正時代初期 19世紀末期~20世紀前期 田邊哲人コレクション

香山001

香山003

アジサイの花は釉薬を盛り上げ、枝葉の輪郭と葉脈は線を削り出しています。


初代宮川香山は高浮彫と釉下彩というまったく異なる二つの技法を極め、
並んでいる作品を観ていると別人の作では思うほどです。
その際立った技量の高さには驚かされます。


初代香山が築き上げた横浜眞葛焼ですが、太平洋戦争末期の横浜大空襲に遭って
三代目が戦災死し、工房も消失して、再興出来ずに絶えています。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「原安三郎コレクション 広重ビビッド展」です。
会期は2016年4月29日(金・祝)から6月12日(日)までです。

広重001

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【2016/03/05 20:32】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんにちは。
  • 蛙と相撲を取る兎はいませんが、鷲が兎を捕える絵はありました。
    超絶技巧とはこの人の技を言うのだと思います。

    【2016/03/06 10:13】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • かえるにすずめに
  •  兎は居ません?
     しかし人間つきつめるとこんな事まで出来るんですねぇ。あ、誰でもは無理?そりゃそうだ。

    【2016/03/06 07:50】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















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