「カラヴァッジョ展」 上野 国立西洋美術館
上野
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上野の国立西洋美術館では、「カラヴァッジョ展」が開かれています。
会期は6月12日(日)までです。

カラヴァッジョ001


イタリアのバロックの画家、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610)の作品と、
カラヴァッジョに強い影響を受け、後継者となった画家たち(カラヴァジェスキ)の作品を
展示する展覧会です。

カラヴァッジョはミラノ生まれで、ミラノで絵画の修業をした後、1592年にローマに出ています。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 「果物籠を持つ少年」
 1593-94年 ローマ、ボルゲーゼ美術館

パンフレットに使われている作品です。
カラヴァッジョ自身をモデルにしたと思われる人物はややぼかし気味にしてあるのに対して、
籠いっぱいのみずみずしい果物は細密に描かれ、その存在を強調しています。ています。
カラヴァッジョの描いた静物画はほとんど残っておらず、この作品は静物画の一種と
見ることもできるそうです。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 「マッフェオ・バルベリーニの肖像」 
 1596年頃 個人蔵

カラヴァッジョ009

後の迫真的人物像に比べると、まだ表現に硬さがあるように感じます。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 「女占い師」
 1597年頃 油彩、カンヴァス ローマ、カピトリーノ絵画館

カラヴァッジョ002

女が若い男の手を取って手相占いをするふりをして、こっそり指輪を抜こうとしています。
女のやや開いた口許がその悪巧みを巧みに表しています。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ  「トカゲに噛まれる少年」
 1596-97年頃 フィレンツェ、ロベルト・ロンギ美術史財団

カラヴァッジョ008

バラに触っていたらトカゲに噛まれて驚いている瞬間です。
「奇麗なバラにはトゲがある」の寓意ですが、ガラスの器に映った部屋の窓まで
描き込まれています。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 「バッカス」 
 1597-98年頃 油彩、カンヴァス フィレンツェ、ウフィツィ美術館

カラヴァッジョ012

ローマ神話のワインの神、バッカスに扮したカラヴァッジョがブドウの冠を被り、
ちょっと酔ったような無防備な顔でこちらを見ています。
片肌脱ぎをした右腕の手先だけ日焼けしているところまで描かれています。
ワイングラスを左手に持っているのは鏡を見て自分を描いたためだろうということです。
まだ絵の売れない初期の頃はモデルを雇う金が無いので、よく自分自身を
モデルにして描いています。

やがて、ローマでも評判が高くなり、有力な庇護者も得られるようになります。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 「ナルキッソス」 
 1599年頃 ローマ、バルベリーニ宮国立古典美術館

カラヴァッジョ003

ナルキッソスはギリシャ神話に出てくる美少年で、水に映った自分の姿に恋をしてしまいます。
ナルシズムの語源になったお話しで、接吻しようとして水に左手を入れたところを描いています。
明暗の対比が強くなり、劇的な効果が出ています。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 「洗礼者聖ヨハネ」 
 1602年 ローマ、コルシーニ宮国立古典美術館

カラヴァッジョ005

聖ヨハネの体は強い光に浮かび上がっています。
初めはヨハネは左手に十字架の杖を持ち、右上に描かれた羊を見ていたそうで、
後に画面を単純化するため塗りつぶされています。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 「エッケ・ホモ」
 1605年頃 油彩、カンヴァス ジェノヴァ、ストラーダ・ヌォヴァ美術館ビアンコ宮

カラヴァッジョ011

新約聖書のヨハネ福音書にある一場面で、裁判にかけられるイエスをローマ総督
ポンテオ・ピラトが「エッケ・ホモ(この人を見よ)」と言って群衆に指し示しています。
ピラトの顔は生々しく描かれ、ローマ総督というより、長老のような風貌です。

カラヴァッジョは短気で喧嘩っ早く、よく問題を残しています。
その時の裁判の記録も展示されています。
そして、1606年には喧嘩で人を殺してしまい、ローマから逃亡しています。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ  「エマオの晩餐」 
 1606年 油彩、カンヴァス ミラノ、ブレラ絵画館

カラヴァッジョ004

この展覧会で一番印象に残った作品で、逃亡直後に描かれたとされています。
新約聖書のルカ福音書にある話で、復活したイエスがエマオへの道で2人の弟子の前に
現れますが、弟子たちはそれに気付かず、エマオに着いてから食事に招き、そこでイエスが
パンを裂いた時に初めてイエスだと分かります。
その瞬間を描いていますが、光に浮かび上がる人物は当時の庶民で、極めて写実的に描かれ、
その姿には汗と埃まで感じます。
極めて写実的な描写は光の効果とともに劇的な場面を造り上げています。
左上の空間には元は窓のような物と外の景色が描かれてあったのが、
後で塗りつぶされているそうです。

いつも喧嘩沙汰を起こし、人生を狂わせてしまったカラヴァッジョがこのような綿密な写実性と
深い精神性を持つ作品を描いいたということが不思議でなりません。

カラヴァッジョは逃走中も有力者の庇護を受けて、絵を描き続けていますが、各地を放浪した後
、恩赦を受けるため船でナポリからローマに向かう途中、熱病か何かで38歳で亡くなっています。

カラヴァッジョは亡くなりますが、その明暗を強調した作風は多くの追随者を生み、彼らは
カラヴァジェスキと呼ばれるようになります。
やがてその影響はオランダではレンブラントやフェルメールにも及んでいます。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 「煙草を吸う男」 
 1646年 油彩、カンヴァス 東京富士美術館

カラヴァッジョ010

ロレーヌ地方の画家、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652)もカラヴァッジョの
影響を受け、明暗の対比を強調した作品を描いています。
ろうそくや松明などの光源を描き込むのが特徴です。

後の西洋絵画に大きな影響を与えたカラヴァッジョですが、日本で作品を観ることは
あまり無く、この展覧会は貴重な機会です。

私がカラヴァッジョを知ったのは、ブリヂストン美術館の土曜講座で若桑みどりさんの
解説を聴いたときでした。
お話しは「懺悔するマグダラのマリア」から始まったのを覚えています。

展覧会のHPです。

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【2016/03/12 19:39】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんばんは。
  • 圧倒的な写実の力と光の効果で、劇的な場面を描き出しています。
    乱暴者で有名だったというのに、描く宗教画の精神性の高さには驚いてしまいます。
    多くの画家がカラヴァッジョに追随したのもうなずけます。

    【2016/03/14 22:13】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • カラバッジョ礼賛
  • 私も12日に見てきました。400年以上前に、あんなにリアルに、或いは光を考えた作品を描いたのが凄いですね。後世への影響、模写が多いのも理解できました。それにしても懺悔したマグダラのマリアは、ポスターなど見当たらず、本物を見る価値も高いですね。

    【2016/03/14 21:21】 url[あかーる #X037UcDo] [ 編集]
    please comment















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