「川端康成コレクション 伝統とモダニズム」展 東京ステーションギャラリー
東京
chariot

東京駅の東京ステーションギャラリーでは、「川端康成コレクション 伝統とモダニズム」展が
開かれています。
会期は6月19日(日)まで、入館料は一般1000円です。

川端008


美術品の愛好家としても知られた川端康成(1899-1972)の蒐集した古美術や
近代芸術の作品を展示する展覧会です。
ほとんどの作品、資料は公益財団法人川端康成記念会が所蔵しています。

展覧会の副題に「伝統とモダニズム」とある通り、川端康成は古美術を愛好する一方で、
古賀春江や草間彌生のようなモダンアートに関心を持っています。

古賀春江 「煙火」 1927(昭和2)年 
川端002

パウル・クレーの影響を受けていた頃の作品です。
川端康成は古賀春江(1895-1933)と親しく、重病になった古賀の入院の世話もしています。
川端は古賀の作品の中にある童話的な要素に惹かれていたようです。
古賀春江の作品は11点、展示されています。

草間彌生 「不知火」1955(昭和30)年
川端は草間彌生(1929-)がまだ無名であった頃、作品を購入しており、
草間はその折に川端にじっと見つめられて当惑した経験を後に語っています。
初期の草間彌生に目を留めたという眼力には驚きます。

川端は、古美術を見ているときの自分だけがこの生につながっていると感じ、
そうでない時の自分を極めて否定的に捉えています。
聖徳太子の「世間虚仮、唯仏是真」を思い出させる感慨です。

「埴輪 乙女頭部」 古墳時代(5-6世紀)
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川端は、この像に日本の女の根源、本来を感じ、切り抜かれた目の奥に
深い暗があるから可愛さや甘さにとどまらないと述べています。

浦上玉堂 「凍雲篩雪図」 江戸時代(19世紀初) 国宝 
川端003

5月8日までの展示です。
浦上玉堂の晩年に描かれた代表作です。
雪の情景を墨の濃淡で近景から遠景に積み重なるように表しています。
よく観ると、所々に赤い点々が入っています。

池大雅 「十便図」の内「釣便」 1771(明和8)年 国宝 
川端001
展示期間は5月24日~5月29日です。
池大雅・与謝蕪村の国宝、「十便図」「十宜図」は画面を替えて、会期中に
各10面すべてを展示します。
新潮社の発行した川端康成全集の印税のおかげで入手出来たそうです。
川端康成全集の表紙絵全16図は安田靫彦が描いています。

ロダン 「女の手」 
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高さ12㎝の小さな像で、川端はいつも手許に置いていたということです。
女性の手ですが、川端は早くに亡くなった友の横光利一の手を思い出すと
述べています。

東山魁夷  「北山初雪」 1968(昭和43)年
川端004
 
川端のノーベル賞受賞を記念して贈られた作品です。
北山の林業家によれば、このような雪景色が見られるのは年に1日あるか
無いかだそうです。
東山魁夷の作品は14点、展示されています。

「三島水指」 李朝(17世紀)
川端005
 
茶碗にも見えますが、小振りの水指となっています。

工芸品では、黒田辰秋、北大路魯山人、富本憲吉などの作品もあります。

珍しい品では、「夢記」の断簡もありました。
「夢記」は鎌倉時代の明恵上人が自分の見た夢を約40年間にわたって
記録したものです。


川端康成は第一高等学校の学生の時に本郷壱岐坂のカフェ「エラン」の
女給をしていた伊藤初代と知り合い、後に結婚を決意しています。
その伊藤初代からの10通の手紙と、投函されなかった川端からの手紙1通も
展示されています。
伊藤初代との出会いと別れは川端文学の原点ともなったとされている出来事で、
晩年まで手紙を保管していた川端の思いが伝わります。

太宰治が1936年に第3回の芥川賞を自分に下さいと、審査委員をしていた川端康成に
頼む手紙も展示されています。
長い巻紙に毛筆のとても大きな字で書かれており、読んでいて暑苦しく感じるほど
切々と訴えています。
受け取った川端もさぞ困ったことでしょう。
結局、太宰は芥川賞を受賞することはありませんでした。

私の高校時代に「伊豆の踊子」が国語のテストに出されたことがあり、その時に出された
問題と私の回答をなぜか今でも覚えています。
主人公が踊り子たちと別れた後の船中での心情の描写だったのですが、
それを思い出してみると、川端康成の感覚の鋭さに改めて気付きます。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「12の部屋、12のアーティスト UBSアートコレクションより」です。
会期は7月2日(土)から9月4日(日)までです。

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【2016/05/05 19:04】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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