「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」 六本木 国立新美術館
乃木坂
chariot

六本木の国立新美術館では、「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」が
開かれています。
会期は8月22日(月)までで、火曜日は休館日です。

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パリのオルセー美術館とオランジュリー美術館の所蔵する、ピエール・ オーギュスト・ ルノワール
(1841-1919)の作品、約80点を中心にした展示です。

展覧会では、肖像画、風景画、現代生活、子ども、静物、裸婦といったテーマ別に
展示されています。

I章 印象派へ向かって

「陽光のなかの裸婦(エチュード、トルソ、光りの効果)」 
 1876年頃 オルセー美術館

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印象派の画家としての始まりを示す作品で、1876年の第2回印象派展に出展されています。
顔や体の肌はかなりまだらな色に塗られているので、当時の古典主義の絵を見慣れた
人たちには異様な絵に思えたようです。


II章 「私は人物画家だ」:肖像画の制作

ルノワールは他の印象派の画家に比べると、人物画を多く描いています。
あくまで人の描写に興味があったのがルノワールの特徴で、モネが風景から進んで
光を追求していったのと違うところです。

「読書する少女」 1874-76年 オルセー美術館
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モデルはマルゴという女性で、後ろからの光がその姿を浮かび上がらせています。

他にモネやシスレー、ジョルジュ・シャルパンティエ夫人などを描いた作品もあります。


III章 「風景画家の手技(メチエ)」

風景画は8点、展示されています。

「草原の坂道」 1875年頃 オルセー美術館
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明るい日の光の下で、坂道を下りてくる人たちの動きが画面を活き活きとさせています。


IV章 “現代生活”を描く

「ぶらんこ」 1876年 オルセー美術館
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モンマルトルにあったアトリエの裏の庭での情景で、ぶらんこに乗っている
女性の名はジャンヌです。
木漏れ日の下のひと時を巧みに捉えています。

「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」 1876年 オルセー美術館
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横176.5㎝の大作で、ルノワールの代表作です。
モンマルトルのダンスホール、ムーラン・ド・ラ・ギャレットでの日曜日のダンスパーティを
描いています。
真ん中で中腰になっている女性はジャンヌ、ベンチに腰掛けている女性は
妹のエステルで、後ろのピンクのドレスの女性はマルゴです。
彼女たちはモンマルトルでお針子などをしていて、ルノワールの友人たちとともに、
よくルノワールの作品のモデルになっています。

絵の前に集まって鑑賞しているお客さんの向こうからは、木漏れ日の下、
休日を楽しむパリの庶民のさざめきが聞こえてくるようです。
今の季節にもちょうど合っていて、この1点だけでも展覧会を観る価値のある、
素晴らしい作品です。

ルノワールはお針子の子どもたちの託児所を開くための資金集めのため、
仮装パーティを開いたこともあったそうです。
ルノワールの人柄の伝わるエピソードです。

左:「田舎のダンス」 1876年 オルセー美術館
右:「都会のダンス」 1876年 オルセー美術館

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2点揃っての展示です。
「田舎のダンス」のモデルは、後にルノワールの妻になるアリーヌ・シャリゴです。
テラスでのダンスでしょうか、奥に人の顔も見えます。
嬉しそうな顔のアリーヌは扇子を広げ、赤いボンネットはやや野暮ったく、
床にはカンカン帽が転がり、どんちゃん騒ぎの趣きがあります。
「都会のダンス」のモデルは、後に自身も画家になり、ユトリロの母にもなる、
シュザンヌ・ヴァラドンです。
こちらは都会というだけあって、シックな感じで、白いドレスの描き方も見事です。
始めは二つともシュザンヌをモデルにするつもりだったところ、アリーヌが嫉妬して、
片方はアリーヌをモデルにしたそうです。
シュザンヌもいろいろ話題の多い人です。

東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館でひらかれた、「ユトリロとヴァラドン 
母と子の物語」展の記事
です。


V章 「絵の労働者」:ルノワールのデッサン

デッサン類の展示です。
印象派の画家は屋外でカンヴァスに直接描くことが多いのですが、ルノワールはよく
デッサンを描いています。

「座る裸婦あるいは身づくろい」 1890年頃 オルセー美術館
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鉛筆、白チョーク、サンギーヌなどを使っています。 


VI章 子どもたち

「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」 1887年 オルセー美術館
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印象派の画家、ベルト・モリゾはマネの弟、ウージェーヌ・マネと結婚していて、
1879年にジュリーが生まれています。
少し憂いのある表情のジュリーに抱かれた猫は気持ち良さそうに眠っています。
ジュリーが16歳のとき、父母が亡くなり、ルノワールたちはジュリーの
後見人になっています。

「道化師(ココの肖像)」 1909年 オランジュリー美術館
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ルノワールはよく自分の子どもたちを描いています。
三男のクロードがモデルで、3人の中ではクロードが最も多くモデルを務めています。
クロードはこの衣装が嫌いで、モデルになると半日学校を休めることだけが
嬉しかったそうです。


VII章 「花の絵のように美しい」

花などの静物画も4点あります。


VIII章 「ピアノを弾く少女たち」の周辺

「ピアノを弾く少女たち」 1892年 オルセー美術館
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印象派の作品の中で国家買上げとなった最初の絵で、制作依頼を受けて制作した
6点のヴァージョンのうち、美術長官によってこの作品が選ばれています。
裕福な家庭の情景で、華やかで輝くような色彩が魅力的です。
間仕切りのカーテンを描き入れるなど、古典的な画面構成で、ルノワールが
古典に惹かれていたことが分かります。

「ピアノを弾くイヴォンヌと クリスティーヌ・ルロール」 1897-98年頃 オランジュリー美術館
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画家のアンリ・ルロールの娘たちを描いていて、白い服がイヴォンヌです。
服の色に合わせて、2人の肌の色も少し違えてあります。
壁にはドガの、競馬と踊り子を描いた絵が飾ってあります。
ピアノは裕福な家庭の象徴で、ルロール家の雰囲気を伝えています。
アンリ・ルロールのサロンにはドガ、ルノワール、ウジェーヌ・カリエール、
ドニ、マラルメ、ジッド、ヴァレリーなどが集っていました。


IX章 身近な人たちの絵と肖像画

晩年の肖像画の展示です。


X章 裸婦、「芸術に不可欠な形式のひとつ」

「浴女たち」 1918-19年  オルセー美術館
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1919年に亡くなったルノワールの最晩年の作品です。
リュウマチで苦しむ手で描かれたとは思えないほど、豊かで力強く輝いています。
古典絵画を下敷きにした世界ですが、ルノワールの理想郷を描いているようです。
ルノワールも、「ルーベンスだってこれには満足しただろう」と自信ありげに語っています。


肖像画や庶民の生活を描くことから始まったルノワールが、豊麗な裸婦像に行き着くまでの
様子がよく分かります。
ルノワールの展覧会は開かれる機会が多いですが、いつでも観る人を幸福な気持ちに
させてくれます。

2013年に三菱一号館美術館でひらかれた、「奇跡のクラークコレクション―ルノワールと
フランス絵画の傑作―」展の記事
です。

2010年に同じ国立新美術館で開かれた、「ルノワール~伝統と革新」展の記事です。

展覧会のHPです。

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【2016/06/04 19:32】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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