「江戸絵画への視線-岩佐又兵衛から 江戸琳派へ-」展 山種美術館
恵比寿
chariot

広尾の山種美術館では開館50周年記念特別展、「江戸絵画への視線-岩佐又兵衛から
江戸琳派へ-」展が開かれています。
会期は8月21日(日)までです。

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山種美術館の所蔵する江戸絵画の展示で、創立者の山﨑種二は小僧時代
に酒井抱一の絵を見たことがきっかで、美術品の蒐集を始めています。

この展覧会では、伝俵屋宗達 「槙楓図」など、一部の作品が撮影可能です。

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「新古今集鹿下絵和歌巻断簡」 俵屋宗達(絵) 本阿弥光悦(書) 17世紀
金銀009

宗達と光悦の合作です。
画面上に金泥、下に銀泥を塗り、金泥を使った優美な筆遣いで、
振り返る鹿の姿を描いています。
歌は、新古今集の西行の作です。

  こころなき身にも哀はしられけり鴫たつ澤の秋の夕暮

元は巻物で、三井財閥の益田鈍翁の所蔵していたものが、戦後になって切り離され、
現在のような断簡になっています。

「四季草花下絵和歌短冊帖」 俵屋宗達(絵) 本阿弥光悦(書) 17世紀
金銀003

短冊に金銀泥で四季の草花を描き、和歌を書いた短冊です。

伝俵屋宗達 「槙楓図」 17世紀
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右側に大きく曲がった幹と直立した幹の槙を置き、槙と楓の葉が左上に力強く
伸びていく、躍動感のある画面です。
下に女郎花と桔梗も見えます。
槙の葉は大きく描かれ、全体に重い印象があります。

酒井抱一 「秋草鶉図」 19世紀 重要美術品
江戸7-19-2010_003

薄、女郎花、露草、楓の茂る中にウズラが群れています。
薄の葉は細くリズミカルに描かれ、繊細で、デザイン感覚に満ちています。
銀の月も低く置かれ、落着いた風情と品の良い華やかさがあります。
月の黒いのは銀が酸化したのではなく、銀の上に黒を塗ってあるそうです。
ウズラは土佐派の好んだ画題で、この作品も土佐派に倣った画風です。
金箔地に描かれているので、照明の具合によってかなり作品の雰囲気が変わります。

酒井抱一 「菊小禽図(部分)」 1823-28年頃 
琳派002

小鳥の重さで菊の枝が大きくしなり、小鳥が今にも飛び立ちそうで、飛び立った後の
赤い菊花の揺れまで予感させ、抱一の感覚の繊細さを見せています。

鈴木其一 「牡丹図」 1851(嘉永4)年 
冨士002

白、薄紅、赤と色を変え、蕾から盛り、しおれ始めまでを
一つの絵の中に収めています。
この作品は中国画風の細密な写実で、琳派とは少し雰囲気が異なっています。

鈴木其一 「四季花鳥図」 19世紀
右隻
 
江戸絵画2

春夏の図で、向日葵、朝顔、燕子花、オモダカ、菜の花、立葵などと一緒に
鶏のつがいと雛が描かれています。

左隻
江戸絵画1

秋冬の図で、薄、菊、女郎花、竜胆、ナナカマド、ワレモコウなどの下に
つがいのオシドリが居ます。
さまざまの草花を活け花のように手際よくまとめ、濃密に描き出した画面は
とても豪華です。

岩佐又兵衛 「官女観菊図」  17世紀前半 重要文化財
金銀008

乗った牛車の簾を上げ、道端に咲く菊を官女が眺めているところです。
料紙に金泥を薄く塗る、雲霞という下塗りを施した上に描かれていて、深みのある
画面になっています。
岩佐又兵衛の特徴とされる、豊頬長頤といわれる下ぶくれの顔で、墨一色の中に
唇と頬にわずかに紅を差しています。
又兵衛風といわれた人物画の最初の作品とのことですが、端正な中にも戦国の
名残の力強さを見せています。

元は福井の豪商、金屋家の所蔵の「金谷屏風」と呼ばれた屏風で、六曲一双だったものが、
明治時代になって別々に剥がされた、そのうちの1枚です。

伊藤若冲 「伏見人形図」 1779(寛政11)年
江戸絵画0

伏見人形は伏見稲荷の参詣土産に売られていた土人形です。
若冲晩年の作で、この頃は深草の石峯寺の門前に住み、伏見人形の絵を
よく描いています。
団扇を持った布袋さんが行列していて、ざらついた触感の絵具などを使って、
人形の素材感を出しているそうです。
細密な作品を手掛けたり、このようなほのぼのとした絵を描いたり、若冲は多彩です。

椿椿山 「久能山真景図」 1837(天保8)年 重要文化財
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旅004

久能山は徳川家康を祀った久能山東照宮のある所です。
松林の下の参道を赤い着物のお坊さんと青い着物の従者がトコトコと
登って行きます。
真景図とは写生を元に描いた絵という意味ですが、この絵は上からと下からの
視点が混じっていて、東洋画の大らかさを感じます。

椿椿山(つばきちんざん:1801~1854)は槍奉行同心の子で、谷文晁や
渡辺崋山に学んでいます。
肖像画に秀でた画家で、渡辺崋山や高野長英の肖像画で有名です。
椿椿山は師の渡辺崋山にならって各地を旅行し、写生していて、この絵も訪れて
10年後に描いたそうです。

伝 長沢芦雪 「唐子遊び図」  18世紀 重要美術品
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文人の嗜みである四芸(琴碁書画)と唐子を組合わせた絵柄です。
芭蕉と唐子の取合わせは、兵庫県の大乗寺に残る円山応挙の襖絵、
「郭子儀図」に倣ったものだろうとのことです。
こっけいな表情や目尻の垂れた黒目がちの目元は長沢芦雪のスタイルに近い
とのことですが、碁でけんかになって頬っぺたを引張られている子は
ますます垂れ目になっています。

岸連山 「花鳥図」 19世紀
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右隻
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金を散らした画面に、品良く、装飾的に描かれていて、薔薇の絡む松、
竹、丹頂、オウム、白鷺が描かれています。

左隻
江戸絵画4

桜、牡丹、孔雀、白閑鳥(はっかん)です。
白閑鳥は雉科の鳥で、くっきりとした白と黒が特徴です。
閑と鳥で1字になります。

岸連山(1804-1859)は京都生まれで、岸駒に師事し、岸派のスタイル
に四条派の瀟洒な画風を加味したとされています。


第2室では開館50周年を記念して、山種美術館と縁の深い近代日本画家の作品数点が
展示されています。

横山大観 「喜撰山」 1919(大正8)年
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百人一首の喜撰法師の歌を元にしています。
喜撰法師は京都の東南、宇治に住んでいたとされます。

 わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり

裏に金箔を押した鳥の子紙の表面を薄く剥いだ、金箋紙という紙に描いた
最初の作品で、明るく温かい地色が浮かんでいます。
京都の土の赤さを表現するために使ったと考えられるそうで、金箔の継ぎ目の線
(箔足)も見えます。

川合玉堂 「山雨一過」 1943(昭和18)年 絹本・彩色
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雨上がりの山道の情景です。
谷から吹き上がる風に木々も草も馬子の蓑も揺れ、雲も千切れて飛んで行きます。
この季節にふさわしい、さわやかな作品です。

上村松園 「蛍」 1913(大正4)年 
上村001

こちらも、この季節に合った作品です。
江戸時代の風俗で、浴衣姿の女性が蚊帳を吊ろうとして、足元に蛍を見つけ、
ふと手を止めている瞬間です。
日常の何気ない仕草の中に、美しいものを見出すという、松園らしい作品です。
帯は江戸時代特有の、ぼってりした感じですが、浴衣の模様は絞り染めの大きな百合で、
流行のアール・ヌーヴォーを取り入れているそうです。
帯が横向きなのは就寝前の着方だそうです。
蚊帳から浴衣が透けて見えるところも、美人画家としての技です。


山種美術館のHPです。


次回の展覧会は開館50周年記念特別展、「浮世絵 六大絵師の競演
-春信・清長・歌麿・写楽・北斎・広重-」展です。
会期は8月27日(土)から9月29日(木)までです。

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【2016/07/12 19:03】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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