「アール・ヌーヴォーの装飾磁器」展 三井記念美術館
三越前
chariot

日本橋の三井記念美術館では特別展、「アール・ヌーヴォーの装飾磁器」展が開かれています。
会期は8月31日(日)までです。

ヌーヴォー001


19世紀末から20世紀初頭にかけて流行したアール・ヌーヴォー様式による、セーヴルや
ロイヤル・コペンハーゲン、マイセンなどの陶磁器作品、約200点を展示する展覧会です。

第1章 フランス名窯の復活 ~フランス セーヴル~

19世紀後半の博覧会では評価の低かったセーヴル窯は1900年のパリ万国博覧会で
アール・ヌーヴォー様式による作品により復活を遂げています。

セーヴル 「上絵藤文花瓶」 1905年 ロムドシン蔵
ヌーヴォー1_1

展示室の最初に置かれています。
鮮やかな色彩で、長く垂れた藤を縦長の器に描いています。
セーヴルは19世紀末に新硬質陶器を考案しています。
従来の1400度前後の焼成に対し、1280度前後で焼成するもので、従来は美しく発色
できなかった絵具の使用が可能になっています。

セーヴル 「パツィオパット秋明菊文飾壷」 1899年 ロムドシン蔵
ヌーヴォー0

パツィオパットは、地塗りの上に白いスリップ(泥漿)を塗り重ねて
カメオのようなレリーフを作る技法です。
茎の長い秋明菊の姿を高さ1mほどの縦長の器に写しています。
セーヴルのアール・ヌーヴォーは、1897年から芸術監督を勤めた
アレクサンドル・サンディエによって指導されています。


第2章 釉下彩の先駆者 ~ロイヤル・コペンハーゲン、ビング&グレンダール、
     ロールストランド、ポルシュグルン~

デンマークのロイヤル・コペンハーゲンは釉薬の下にさまざまな絵具で絵付けをする
釉下彩(ゆうかさい)の技法を発展させています。
同じデンマークのビング&グレンダールは彫塑的な作品を多く手掛けます。

ロイヤル・コペンハーゲン 「釉下彩眠り猫」 1898-1922年 塩川コレクション
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小さな置物で、釉下彩がふわりとした色合いを見せています。

ビング&グレンダール 「釉下彩鷺センターピース」 1902-1914年 塩川コレクション
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高さ50㎝ほどの大きな作品で、フォルムはピエトロ・クローンが担当しています。
ピエトロ・クローンは1885年に芸術監督として招かれ、日本の芸術様式を参考にした
デザインを考案しています。
3羽の鷺の並び立つ見事なセンターピースですが、倒れたりしないか気になります。

第3章 東洋のアール・ヌーヴォー ~日本~

日本でも同じ頃に初代宮川香山などによる釉下彩の研究が進んでいます。

2016年にサントリー美術館で開かれた、「没後100年 宮川香山展」の記事です。


第4章 新たなる挑戦者 ~ドイツ・オランダ KPMベルリン、マイセン、
                  ニュンフェンブルク、ローゼンタール、ローゼンブルフ~

アール・ヌーヴォー全盛だった1900年パリ万国博で、ドイツのKPMベルリンやマイセンは
古い様式の作品を展示したため批判を浴び、以後は新しい潮流に加わります。

KPMベルリン 「金彩パツィオパット女性図皿」 1890-1900年 個人蔵
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天球儀に寄りかかる女性をパツィオパットによって描いていて、古典的なデザインの
金彩で縁取りをしています。
KPMベルリン(ベルリン王立磁器製陶所)は1763年にプロイセンの
フリードリヒ大王によって設立された製陶所です。

KPMベルリン 「上絵金彩エジプト女性センターピース」 1902年 阜県現代陶芸美術館蔵
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古代エジプト風の冠を着けた女性が凭れるようにして座っている、オリエンタリズム
による作品で、アール・ヌーヴォーの曲線模様をあしらっています。
宝飾品はKPMベルリンの得意とするジュール(釉薬の上にエナメルを粒状に塗ったもの)で
表しています。

マイセン 『釉下彩植物文デジュネ「サクソニア」』 1904-20年 ロムドシン蔵
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蓮のような大きな葉をあしらった、流れるようなモダンなデザインで、サクソニアとは
マイセンのあるザクセンのことです。

ローゼンブルフ 「上絵花図ティーポット」 1900年頃 岐阜県現代陶芸美術館蔵
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高さ15㎝の、エッグシェルと呼ばれるとても薄手の品で、このポットは泥漿を
型に流し込んでつくっています。
ローゼンブルフにアール・ヌーヴォーを取り入れたユリアーン・コークの考案で、
彩色には点描も使われています。
ローゼンブルフは1883年にオランダのハーグに設立された窯ですが、
1917年に閉じています。


第5章 もう一つのアール・ヌーヴォー 釉薬の妙技 ~結晶釉、窯変釉~

アール・ヌーヴォーの時代の西洋陶磁器は改良を重ね、釉薬の成分が結晶となって
現れる結晶釉や予期しない釉色や釉相の表れる窯変釉を生み出しています。

ロイヤル・コペンハーゲン 「結晶釉花瓶」 塩川コレクション蔵
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高さ15㎝ほどの小さな花瓶で、表面に雪のような結晶が現れています。


それぞれの窯がアール・ヌーヴォーを吸収し、繊細で優美な作品を生み出した様子の
よく分かる、楽しい展覧会です。

展覧会のHPです。


三井記念美術館では2015年に、「デミタス コスモス―宝石のきらめき
★カップ&ソーサー」展が開かれていました。
アール・ヌーヴォーと同じ時期に制作されたカップも多く展示されていました。

「デミタス コスモス―宝石のきらめき
★カップ&ソーサー」展の記事
です。


次回の展覧会は特別展、「松島 瑞巌寺と伊達政宗」展です。
会期は9月10日(土)から11月13日(日)までです。

瑞巌寺7-15-2016_010

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【2016/08/23 19:32】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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