「旅への憧れ、愛しの風景 マルケ、魁夷、広重の見た世界」展 ホテルオークラ東京アスコットホール
六本木一丁目・神谷町
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虎ノ門のホテルオークラ東京アスコットホールではチャリティーイベント、
「第22回秘蔵の名品アートコレクション展」として、
「旅への憧れ、愛しの風景 マルケ、魁夷、広重の見た世界」展が開かれています。
会期は8月18日(木)までで、期間中は無休です。
展覧会の純益は日本赤十字社、NHK厚生文化事業団を通じて、社会貢献のために
寄付されます。

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英一蝶 「大井川富士山図」 紙本墨画淡彩 江戸時代 17~18世紀 大倉集古館
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富士山を背景に、大井川を渡る旅人たちを、穏やかな筆遣いで描いています。
涼しそうで、画題として好まれた図柄ですが、実景とは異なり、絵のようには
富士山は見えないとのことです。

横山大観 「波騒ぐ」 紙本彩色 1940年 霊友会 妙一コレクション
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横山大観 「砂丘に聳ゆ」 紙本彩色 1940年 霊友会 妙一コレクション
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皇紀2600年を奉祝して制作した「海山十題」の一部です。
太平洋戦争開戦の前年に当たります。
大観はその販売代金で購入した軍用機を軍に献納しています。
献納した機が飛行場を飛び立つ様を大観が眺めているフィルムも残っています。

「金太郎遊行図」1942年 泉屋博古館分館 
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おとぎ話の金太郎が斧を担ぎ、ブドウの房を持って嬉しそうな顔で、熊にまたがっています。
熊の背には実を付けたアケビの枝も載っています。
お孫さんをモデルにしていて、小杉放菴は金太郎の絵を好んで描いています。

赤松麟作 「夜汽車」 油彩、キャンバス 1901年 東京藝術大学
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明治時代の夜汽車の車内の情景です。
女の子を寝かしている母親、煙草に火を点ける老人、窓の外の景色に
見入る老人、話し込む人など、さまざまな人たちが描かれています。
草鞋履きの足も見え、足元にはお茶の土瓶やみかんも皮も転がっていて、
季節を感じさせます。
車内灯の光、入口に立つシルエット、マッチの光、暗い車外の景色など、
光を効果的に使っています。

牧野義雄 「テームス河畔」 水彩、紙 制作年不詳 東京藝術大学
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牧野義雄(1870-1956)はイギリスで活動した画家で、霧のロンドンの景色を好み、
よく描いています。
ロンドンに留学していた夏目漱石がロンドンの霧を厭わしく思っていたのと対照的です。

児島虎次郎 「フランスの森」 油彩、キャンバス 制作年不詳 丸紅株式会社
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パリ郊外のグレー村の景色を印象派風の筆遣いで描いています。
グレーは黒田清輝の滞在していた所です。
児島虎次郎(1881~1929)は1908年にヨーロッパに留学し、はじめフランスに滞在した後、
ベルギーに移っています。
大原美術館の創設者、大原孫三郎の援助を受け、大原コレクションを形成する作品の
ヨーロッパでの買い付けも行なっています。
作風はヨーロッパ留学により、明るく濃密なものになりますが、残念なことに
47歳で亡くなっています。

佐伯祐三 「エッフェル塔の見える街角」 油彩、キャンバス 1925年 四日市市立博物館
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重く暗い空の下、裏町の風景で、遠くにエッフェル塔が見えます。
道路の描き方などはヴラマンク風です。
佐伯祐三(1898-1918)は1924年にパリに渡り、健康悪化のため26年に一旦帰国します。
しかし日本の風景が自分の画風に会わないことに悩み、無理をして27年に
再びパリに渡り、28年にフランスで亡くなっています。
パリではヴラマンクやユトリロの影響を受けた作品を描いています。

佐伯祐三 「広告と蝋燭立」 油彩、キャンバス 1925年
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佐伯祐三はセザンヌの影響も受けています。
同じ頃にパリに滞在していた前田寛治が所蔵していた作品です。


今回はアルベール・マルケ(1875-1947)の作品18点が展示されています。

アルベール・マルケは官立美術学校のギュスターヴ・モローの教室で、
マティスやルオーの同窓で、マティスたちのフォーヴィズムに加わりますが、
作風は荒々しいフォーヴィズムとはかなり異なり、色彩も柔らかく、穏やかです。

日本には1920年代前半にはマルケの作品がもたらされているそうです。

アルベール・マルケ 「コンフラン=サント=オノリーヌの川船」 
 油彩、キャンバス 1911年 公益財団法人吉野石膏美術振興財団

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コンフラン=サント=オノリーヌはパリ北西のセーヌ川沿いの町で、河川輸送が盛んです。

アルベール・マルケ 「霧のリーヴ・ヌーヴ、マルセイユ」 
 油彩、キャンバス 1918年 公益財団法人吉野石膏美術振興財団

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アルベール・マルケ 「ル-ブル河岸」 油彩、キャンバス 1906年 ヤマザキマザック美術館
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向こうにノートルダム大聖堂が見えます。

アルベール・マルケ 「ノートルダム曇天」 油彩、キャンバス 1924年 BBプラザ美術館
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アルベール・マルケ 「ポン・ヌフとサマリテーヌ」 
 油彩、キャンバス 1935年頃 サントリーコレクション

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サマリテーヌは1869年に開業した百貨店です。

アルベール・マルケ 「ポン・ヌフ夜景」 油彩、キャンバス 1938年 サントリーコレクション
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サマリテーヌの明りが、かたまりとなっています。

アルベール・マルケ 「冬のパリ(ポン・ヌフ)」 
 油彩、キャンバス 1947年頃 公益財団法人上原美術館上原近代美術館

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亡くなった年の作品です。

アルベール・マルケ 「アルジェの領事館」 油彩、キャンバス 1921年 ポーラ美術館
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マルケは1920年に初めてアルジェリアを訪れています。

アルベール・マルケ 「アルジェの港」 油彩、キャンバス 1942年 松岡美術館
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港は夕暮れの紅色に包まれています。
第2次世界大戦中の連合軍によるアルジェリア上陸作戦の前でしょうか。

アルベール・マルケ 「アルジェの港、ル・シャンポリオン」 
 油彩、キャンバス 1944年頃 ヤマザキマザック美術館

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東山魁夷の作品も11点、展示されています。

東山魁夷 「スオミ」 紙本彩色 1963年 泉屋博古館分館
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スオミとはフィンランド語で「湖沼」という意味で、フィンランドの
自国での呼び名です。
東山魁夷は1962年に3か月かけて北欧を旅行しています。
青の持つ精神性を好んだ画家ですが、北欧から帰国後さらに青を基調と
するようになったそうです。

東山魁夷 「早春のディアハーベン」 紙本彩色 1963年 キリンホールディング株式会社
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デンマークのコペンハーゲン近くの風景で、葉を落とした木々の群れは幻想的です。


美人画も展示されています。

上村松園 「菊の香」 紙本彩色 1945年頃 公益財団法人吉野石膏美術振興財団
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勝山髷に鹿の子絞りの着物の女性が菊の香を楽しんでいます。

鏑木清方 「江の嶋」 紙本彩色 1933年頃 培広庵コレクション
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笠を被り、杖を突いて、日本三大弁天の一つ、江の島弁財天に参詣する女性です。
江戸時代後期には大山、江の島、鎌倉を通り、金沢八景を結ぶ観光ルートが流行したそうです。


展示の最後は歌川広重の保永堂版東海道五十三次です。

「日本橋 朝之景」
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「御油 旅人留女」
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「大尾 京師 三条大橋」
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展覧会のHPです。

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【2016/08/06 19:28】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんにちは。
  • 児島虎次郎はベルギーで印象派の画家に師事したので、絵も印象派風になりました。
    私の中学校の美術の先生もフランスに留学して帰ってきたら、画風がすっかり変わって明るくなったので、驚いたことがあります。

    【2016/08/07 17:41】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 児島虎次郎 「フランスの森」て思いっきりルノワールしてますな。影響受けすぎ?

    【2016/08/07 00:21】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















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